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2006年12月18日

イギリスで新・動物福祉法成立

ALIVE資料集 No.26「英国新動物福祉法」の紹介

2006年11月8日、英国における新動物福祉法が議会を通過したのち、
女王の勅裁を受けて、成立しました。
英国では1822年にはじめて動物虐待防止法が制定され、以来、数多くの
動物保護に関する個別法が制定されてきました。
しかし、法律の数が多く煩雑化してきたこと、時代のニーズに合致しな
い内容やカバーしきれていない分野の問題が増えてきたことなどから、
より包括的な新しい動物福祉法の立法化が必要とされてきました。
動物福祉法を所轄するDEFRA(環境・食料・農村地域省=2001年に
省庁再編で発足した省)では、同省が掲げる6つの目的の一つとして、
高水準の動物の健康と福祉の確保を挙げ、新動物福祉法の制定に
取り組みました。
具体的には、2002年から国内の様々な動物保護団体や関係機関、
国民に呼びかけて幅広く意見を募集し、それを法案に反映させるという
手続きを4年間も重ねてきました。
そして、この11月に、農業動物および非農業動物に関する20以上の
動物福祉法を改正・統合した「動物福祉法2006」として成立させました。

本法の主な内容は、

○飼養責任者が動物のニーズに見合うものを確保しなければいけない
とする「飼養(ケア)の義務」という概念を導入し、
○ 飼養下にある動物のニーズに見合うものを提供しない場合、これを
違法とし、
○これまでよりかなり早い時期に動物を保護するための措置を取る、
つまり、動物が苦痛の兆候を示すまで待つことなく、動物が実際に苦し
む前に法の執行者が介入することを可能にし、
○動物の所有者・飼養者が自らの責任を理解し、動物のニーズに見
合ったものを提供するのに必要なすべての合理的な手段を取る義務が
あることを、これまで以上に重要視する。

というものです。
DEFRAのHPによると、
「この1世紀近くで最も根本的な動物福祉法が成立した」
「この法により、動物の飼養(ケア)の義務が拡大され、コンパニオン動物
にも農業動物(家畜)と同じ法的地位が与えられることになる」
と述べています。

ALIVEでは、この新動物福祉法を翻訳し、1月中旬に資料集として刊行の
予定です。
ご希望の方は、ALIVEのHPより、お申し込みください。

2006年07月09日

ALIVE海外ニュース更新

ALIVE News No.69を発行しました。
海外ニュースは、ALIVEのサイトで掲載しています。
http://www.alive-net.net/world-news/content.html


【アメリカ】
全米動物災害計画へ向けたサミット
http://www.alive-net.net/world-news/wn-vet/69-1.html
2006年5月、およそ100の政府機関、獣医学団体、動物福祉団体、業界団体からの代表が、アメリカ獣医師会(AVMA)の全国動物災害サミットに集まった。昨年のハリケーン・シーズン中に起こった動物関連の被害を、将来の災害時には未然に防ごうというのが目的だった。

【スペイン】
大型類人猿に「権利」が与えられる可能性も
http://www.alive-net.net/world-news/wn-apes/69-2.htmlスペインの与党、社会党は、人間との類似性に基づいて大型類人猿へ権利を与える案を議会に発議しようとして物議をかもしている、と報道された。
動物の権利団体ADDAによれば、この発議が承認されれば、スペインは類人猿の権利を公に保護する最初の国のひとつとなる。

【アメリカ】
オオカミを殺処分しても農家の長期的問題は解決されない
http://www.alive-net.net/world-news/wn-wildlife/69-3.html
合衆国西部では、一時は絶滅寸前まで駆除されたオオカミが人工的に野生に再導入され、現在、全部で5000頭ほどいるが、しばしば家畜を襲い、個体や群れが牧場主や政府の動物管理局職員に殺されることもある。しかし、新しい生態学の研究は、牧場主に家畜の被害を償ったほうがより良い解決策だと示唆する。