現在、北海道では牛乳が生産過剰となり、3月中に1万トンを廃棄処分にするとのことです。
牛が体力の限りを尽くして搾り出している牛乳は、牛の血と涙の結晶です。それなのに、いったい、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。
消費者が牛乳を飲まなくなったせいだ、だからもっと消費の拡大と主張されています。
牛乳を出している牛の立場から考えて見ましょう。
これまで、日本では経済性追求のために、乳牛は高泌乳、牛乳は高脂肪であることが至上価値とされています。牛は、草を食べる動物で、大量の草をゆっくりと反芻しながら消化するのが本来の生理です。ところが、いま牛たちには大量の外国産の穀物飼料が与えられています。
北海道の広い牧場には、放牧されている牛の姿はほとんど見かけません。牛たちは牛舎にいれられ、さらには首を固定され、たたみ1枚ほどのスペースでほぼ一生をすごします。
不自然な飼育方法のせいで母牛の体はさまざまな病気に脅かされ、医薬品の投与が欠かせない状態です。牧場で放し飼いにしていれば十数年は健康で生きていけるのに、わずか7〜8歳で「老廃牛」とされてしまいます。
動物の生理、習性を無視した経済効率一辺倒の集約畜産の結果としてもたらされる畜産製品が、人間の健康や環境の保全にとってもいいものであるはずがないのです。集約畜産は、牛の健康をおびやかすばかりか、大量の糞尿による土壌や河川の汚染、穀物資源の乱費、地球温暖化といった、さまざまな悪影響をもたらしています。
牛が生命力を犠牲にして絞り出している牛乳が生産過剰だというのであれば、牛に青草を食べさせ、戸外で運動させ、牛を本来の姿にもどしてやったらどうでしょう。
この問題の対処法は単純明快です。牛が牛本来の姿で生きていけるようにすることです。そして消費者の側も、そのような「本来の牛のミルクをいただきたい」という意識を持つことです。
●牛は牧場でのびのびと育っているのですか?
いいえ、牛たちは生まれたときから死ぬまで、牛舎に首を固定してつながれ、あるいは牛舎を一歩も出ることなく拘束されています。
●牛は緑の草を十分食べているんでしょうか?
いいえ、牛たちには常に大量の濃厚(穀物)飼料が与えられています。そのために、牛の消化器病が多発しています。
●牛に与える穀物はどこからくるの?
牛たちに与えられる穀物飼料の90%以上はアメリカなど外国から輸入されています。(粗飼料の麦わらや稲わらまでも外国から輸入されています)。一方、世界には8億もの人間が明日食べるものもなく飢えています。
●なぜ、牛にトウモロコシや大豆などの穀物を与えるのでしょう?
高脂肪で大量の牛乳を出してもらうために、また廃牛(6〜7歳)で肉にするときに、脂身を多くするために、だとのことです。つないだままで運動をさせないのも、脂肪ぶとりにさせるためです。
●高脂肪、高カロリーの牛乳や肉はヘルシーでしょうか?
高カロリー、高脂肪の食品は、かつての貧しい時代にはごちそうで体にもよかったでしょうが、毎日このような食生活を続けると、人間も肥満になったり、さまざまな慢性疾患、生活習慣病におかされるようになります。
●牛乳は牛の赤ちゃんに与えられているのでしょうか?
いいえ、牛の赤ちゃんは生まれた直後に母牛から引き離され、代用乳(人工乳)が与えられています。自分の母牛の乳首を吸うことも許されていません。今回、牛乳のだぶつきのために、北海道ではなんと13年ぶりに、子牛に生乳を飲ませるよう奨励されています。
●余った牛乳は脱脂粉乳やバターなどに加工してはどうでしょう?
いまや乳製品加工メーカーの処理能力を越えてしまったので、処分せざるを得なくなったわけです。また近年はヘルシー志向が広がり、乳製品の消費は減少しつつあります。
●北海道であまったは牛乳は他府県にもっていったらどうでしょう?
他府県でも生産過剰で、乳業メーカーはこれ以上引き受けられないとしています。
●それでは、どうしたらいいのでしょう?
牛の本来の食べ物である草や粗飼料を与え、穀物の投与を大幅に減らす(あるいはなくする)ようにすればいいのです。そして高価な医薬品や穀物相場にわずらわされず、牛を健康にして長生きさせるべきでしょう。
牛の体に無理をさせないように飼育することで乳量はおのずと減少します。それにより仮に牛乳の値段が上がったとしても、牛にやさしく環境にも配慮し人の健康にもよい製品を、私たち消費者として支持することだと思います。
<JA北海道の方針>
2月27日
道内の生乳生産量を3月単独で1万トン削減方針を発表
1日当たり役3トン、生産量の3%に相当
3月16日
生乳を産業廃棄物として処分決定。処理費用は生乳1キロ当たり20円、
1000トン処理で2000万円。1万トンの処理費用は2億円となる。
3月18日
道内3カ所の産廃処理施設で廃棄作業を開始。
※牛乳の処分費用はJAの負担であり、個別農家には課せられない。
最も身近な動物を知ろう −乳牛−