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畜産動物のことを知りましょう

ANIMAL MACHINES by Ruth Harrison

近代畜産を告発した最初の書

ルース・ハリソン著『アニマル・マシーン』の紹介

近代の集約畜産の問題を最初に告発した原点として知られるルース・ハリソンの『アニマル・マシーン』は、1964年にイギリスで出版されました。

本書は発売と同時に非常に大きな反響を呼び、欧州における畜産動物福祉の社会的、また法的、そして学問的取り組みを促す原動力となりました。

英国政府は、直ちに科学者による技術諮問委員会(ブランベル委員会)に、家畜の飼育実態と福祉に関する調査を委嘱しました。このブランベル委員会が、動物福祉の原則として最初の「5つの自由」を提言しています。

また、この委員会の勧告により農務省に家畜福祉に関する審議会が設置されることになり、ハリソンはその委員となり、欧州理事会における動物保護に関する専門家会議の助言者として発言、また米国議会の公聴会で証言するなど、畜産動物の保護のために公的な発言を行いました。

ハリソンは、設立当初から土壌協会と自然保護協会の理事であり、王立動物虐待防止協会の活動、および人間の社会福祉活動にもたずさわってきた幅広い視野と見識をそなえた女性でしたが、残念ながら1980年?に60歳で亡くなりました。

本書の序文は、『沈黙の春』で農薬・化学物質による環境汚染を告発したレイチェル・カーソンが書いています。

『沈黙の春』が、化学物質の乱用による生命と生態系への危機を知らせることで、その後の化学物質規制への原動力となってきたように、『アニマル・マシーン』はEUにおける家畜福祉への取り組みの制度化への原点でもありました。

日本語版(293ページ)は、1979年に講談社から出版されていますが、長らく絶版となっており、日本ではこの本の存在が一般にはほとんど知られていません。

けれども、BSE、鳥インフルエンザなど、次々と発生する家畜伝染病が社会を脅かしている今こそ、その本当の原因を知るために、本書が再び読まれることを願ってやみません。


アニマル・マシーン−近代畜産にみる悲劇の主役たち

ルース・ハリソン著 橋本明子・山本貞夫・三浦和彦 共訳 講談社 1979年10月刊 

目次

 訳者まえがき 
 日本語版への序文
 序             レーチェル・カーソン
 緒言           シドニー・ジェニングス
 謝辞
 凡例
 第一章  序論 −なにかが間違っている−
 第二章  ブロイラー・チキン  −合理化の極限、近代養鶏−
 第三章  ニワトリ処理場  −<製品>となるための最後の恐怖−
 第四章  ケージ養鶏 −ニワトリ<工場>の狂気−
 第五章  ヴィール・カーフ −貧血地獄にあえぐ幼い命−
 第六章  家畜工場のいろいろ −他の動物の場合−
 第七章 “たべもの”の質とは −<食品>ではなくてたべものを!
 第八章 食品の“質”を問う −毒物の洪水のなかで−
 第九章 動物の虐待と法的規制 −動物にも苦痛はある−
 第十章 結論 −動物と人間の健康のために−
 参考文献
 解説                三浦 和彦
 〔付〕ルース・ハリソン会見記   橋本 明子
 訳者あとがき  

『アニマルマシーン』日本語版への序文

私が本書のなかで論じているのは、家畜動物の取り扱いをどうするかの問題だけではない。むしろ私がほんとうに関心をもって論じたのは、私たち自身の生活の質が落ちてきており、これにどう対処すべきか、という点であった。

 農場の動物を生まれてから屠殺するまで永久に閉じ込めて収容するシステムが、この三十年ばかりの間に着実に成長し、その地歩を築いてきた。動物ばかりか時には畜舎ごとそっくり土から分離させているので、市販の配合飼料に完全に頼りきって、動物の糞尿をぜんぜん利用しないで済むような手段を講じてきている。

 これらのシステムのうちでも極端な方になると、数限りない動物をぎっしりと詰め込むので、彼らは手足を伸ばすこともままならず、やっと生きているといった始末である。彼らは目のあらい格子床の上に立っているのだが、その下ではいつも自分たちの糞尿が頑張っていて、どいてくれない。そしてお日様を拝むのは、屠殺のため外に連れ出される時一回だけということもしばしばある。健康を害するような環境で飼育されているため、頼みの綱は抗生物質やその他の薬剤である。それも日常的に使用しなければならない。

 管理が簡単だ、楽だとはやしたてながら、業界はこぞって革新に次ぐ革新を重ね、新しい技術を導入してきた。そして各社は自社製品の売り込みに余念がない。動物工場は複雑で精巧な装置ならびに機械機器類に依存している。機械化の程度は相当なもので、生きた動物の飼育自体がいまではひとつの工業と考えられている。それはコンベアー・ベルトで生命のない物体のみを扱う工場となにも変わらない。さらにいうなら、規模と設備が効率を決定すると考える点でも、両者はまったく同じである。

 本書で疑問を提起しておいたが、経済効率という狭い見地から農業問題を判断し尽くせるものだろうか。そのような見方しかできないということでよいのだろうか。農業はやはり、生命のない物体を扱うのではなくて、生きとし生けるものとその生物学的生活過程を扱うのである。食糧の供給という点で私たちは、現在も農業に依存しているし、将来も依存するのだから、未来の子孫から農業を奪うようなことはできない。だから連綿と続く生命の継承を考慮に入れないような処置をとってはならない。私たちの生命が食物の絶えざる供給に依存していることは当然であるが、もっと正確にいえば、健康によい食物の絶えざる供給に依存しているのである。したがって、土壌、植物、動物、そして最後に人間、また土壌・・・とめぐる生命のサイクルのおのおのの環において、この健康が維持されていること、これが健康ということに違いない。

 ほかにもたくさん問題はある。たとえばより豊かな国では、着実に伸びる肉の需要を満たすために、家畜動物用飼料の原料を安くどっさりと輸入することに慣れっこになっているが、こんなやり方をしていて世界の資源を公平に分け合っているといえるだろうか。飼料のこの輸入分は未来の子孫の利用分ではなかろうか。彼らも現在の私たちが消費するのと同じぐらいの肉が必要なのではないか。だから全般にわたって、生産量を落として健康によい肉を生産するほうが、より良いことなのではなかろうか。

 また農業の分野での薬剤の使用を抑えようとしている国もあるが、それらの試みは私たちの健康を十分に守れるほど進んでいるのだろうか。薬剤が単独で、また組み合わさって及ぼす作用について、現在なお、私たちは十分このことを知っているといえるだろうか。人口が都市に集中しているために、食品の中には防腐剤が不可欠になっているものもあるが、食物管理をきちんとしようとした場合に、食品添加物のような代役はどんなことがあっても使わないようにする方が賢明ではないか。

 動物工場からの廃水も焦眉の問題になっており、それを解決すべくいろいろと試みられている。下水に流す者もおれば、海まで出ていってどっさりぶち投げてくる者もいる。ガス焼却するところがあるかと思うと、もういちど動物に食べさせられるよう、それから飼料をつくるところさえある。ときには<犠牲の空間>を設けて、そこならどんどん捨ててもよいことにしているところもあるが、いちどこのように使った土地は、向こう何百年も食物の生産ができなくなるのである。さらに水の汚染、臭気の迷惑、騒音公害、ハエやネズミの被害など一連の問題がある。これはめったに口に出してはいわれないが、世の中の人びと全員の健康を危険にさらすのだから、社会の損失であり、したがって社会全体で支払うコストになっている。

 石油はこれまではふんだんにあったが、いまでは底をつきかけている。ここでもまた浪費のシステムが未来の子孫から資源を略奪しており、事態は早晩抜き差しならなくなっている。

 これらの問題はすべて一つの回答に通じるように思われる。すなわち、本当の効率、あるいは真の進歩というものは、私たちがやってきたように、一方の極端から他方の極端へと揺れ動くことではなくて、科学が私たちに提供するために貯え持っているものを、全人類の未来永劫の幸福のために、しっかりした見識をもって使用することである。それには自制することを知っていなければならないし、健康と調和と果てしない未来に基礎を置いた政策を実行しなければならない。

 最後に一言。本書は動物の受難を扱っている。視力が落ちて見えなくなった目を彼らの受難に向けて、凝っと見て我が身を振り返り考えていただきたい。私たち人間自身もだんだん力が衰えてきたのではなかろうか。人間による人間の扱いの点でもいよいよ冷酷無情になっているのではなかろうか、と。

1977年12月

ルース・ハリソン


 
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