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アニマルウェルフェアに対応した家畜の飼養管理指針

「家畜福祉」が次第に世論に

ALIVE No.86 (2009.5-6)


 2009年3月29日、農業と動物福祉の研究会主催によるシンポジウム「世界は動く 畜産改革への動き」が開催されました(ALIVEも後援、協力)。
 午前9時から午後6時までという長時間のプログラムでしたが、JAの国際会議場がほぼ満員になるほどの盛況でした。午前中の第一部は、産直の会社や外食産業、流通企業などの取り組みが語られ興味深いものでした。消費者団体、動物福祉団体、都市と農業の交流を手がける団体などからのコメントを受けて、進行役を務めました。当日、会場でまとめきれなかった部分も含めて、家畜福祉の動きを紹介いたします。


アニマルウェルフェア対応の飼養管理指針について

 日本には約1000万頭の豚、約450万頭の牛、約3億〜6億の鶏というおびただしい数の家畜が飼育されていますが、これらの動物の福祉をはかるための具体的な飼養基準は存在しません。唯一あるのが、動物愛護法に基づく「産業動物の飼養保管基準」ですが、単に一般原則を述べるに留まり、効力に乏しいうえ、一般には基準の存在すら知られていません。

 BSEや鳥インフルエンザなど、人畜共通感染症が国境を越えて襲来する事態となってはじめて、農林水産省は「家畜の飼養衛 生管理基準」(「家畜伝染病予防法施行規則」によるもの)を制定し、2004年12月に施行しました。ここで初めて家畜の健康についての日常的管理や獣医師の関与が明記され、また、家畜の健康を阻害する「過密飼育」をしないようにとの記述がなされ ました。しかし、これはあくまで衛
生基準であり、家畜の幸せのためによりよく飼育するという、動物福祉の視点はありません。

 一方、国際的には衛生の観点ばかりではなく、動物保護の見地から家畜福祉への取り組みが広がっています。鳥インフルエンザなど国境を越えて広がる人と動物の感染症の対策を取る国際機関に世界動物保健機関(OIE)があります。OIEは家畜の病気は、家畜の健康や福祉をかえりみずに経済効率のみを追求してきた飼育方法がこの危機を生み出しているとの認識から、家畜の福祉を図るための各種指針の策定に取り組み、2004年には、「世界家畜福祉宣言」を採択しました。以後、2005年に輸送、と殺等の指針を策定し、2010年には飼養管理指針を策定する予定です。

 ここに至ってようやく日本では2007年度から、農水省が畜産技術協会に委託する事業で「アニマルウェルフェアに対応した家畜の飼養管理についての検討会」が設けられました。2年間の検討を経て、この3月末に、採卵鶏と豚に関する指針が取りまとめられました。2009年度末までには、乳用牛、ブロイラーの指針もできる予定です。

 事業の名称「家畜生産新技術有効活用総合対策事業(新家畜飼養管理国際基準等対応事業)」からもわかるように、黒船のように外からやってきたものについて「対応」するという、はなはだ受け身の姿勢であると感じられます。2010年にOIEの国際指針が制定される際に、国内に何も存在しなければこれを受け入れざるを得ないため、とりあえずは国内での指針を作ることで対応しようとするものかもしれません。

アニマルウェルフェア対応の指針の評価と課題

 今回の指針の制定は、今までに何もなかった現状からすれば、一歩前進とは言えます。しかし、EUなどの法的拘束力を有する指令と比較すれば、実効性があるのか、疑問です。今後、啓発普及に努め、家畜福祉が一般社会の常識となるようにしていくことが、大きな課題です。

 生産者、産業サイドでは、家畜福祉は生産性を低下させるのではないかとおそれています。そのため、家畜の飼育実態を一般に知らせることを怠り、動物福祉に関する研究への支援もほとんどなされてきませんでした。社会への情報提供の欠如や家畜福祉研究の遅れは、最終的には消費者の食の安全を損なうものともなっています。

 検討会では、研究知見が乏しいため諸外国の文献調査から始め、飼育のエンリッチメントがどのような影響を与えるかといった試行試験も大急ぎで行われました。今後は「動物福祉学」という研究分野を確立し、ここに資金を投入してさらなる知見を蓄積していく必要があります。また、社会的要請や研究の進展に伴い、随時、指針の改正をしていく必要があります。

 検討会には動物愛護法を所轄する環境省がオブザーバーとして参加していますが、特に動物愛護法の観点からの意見が取り入れられる必要があります。

 家畜福祉についての今後の課題といては、以下のような事項が必要です。
1、家畜福祉学の構築、福祉の科学的根拠の知見を集積する
2、畜産学、獣医学の分野で動物福祉教育の推進を図る
3、それによって畜産に関心をもつ若い世代を育成する
とりわけ、
4、一般消費者に家畜飼育の実態を広く知らせる
5、家畜福祉認証制度を設けて、消費者が選択できるようにする
6、流通企業は、積極的に家畜福祉製品をPRする

 食の安全は、家畜が健康でより幸せに飼育されることと不可分であり、それはまた、環境や生物多様性の保全とも結びついていることが、広く知られ、それによって私たちのライフスタイルが変わっていくことを、強く期待したいと思います。

記:野上ふさ子(地球生物会議ALIVE 代表)

 


 
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