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幼猫に対し大きな鍋で与えた水。鍋に落ちてずぶぬれ状態。
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玉ネギの網袋に入れられたまま放置されている子猫。
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市町村・保健所等の一時収容施設の改善
環境省の「動物愛護管理行政事務提要(平成22年度)」によると、全国の自治体で犬猫を引取り保管している施設は、犬が518、猫が455施設あります。
多くの自治体が、犬抑留所や保健所で一時保管しており、北海道などでは保健所で殺処分も行われています。
また、犬猫の引取り窓口が市町村にあり、これを定時定点収集している自治体では、持ち込まれた犬猫が数日間も市町村の保管場所に置かれることもあります。
とりわけ、市町村の保管施設や、保健所・抑留所は、捕獲または引取った犬猫を数日間保管するだけの施設で、施設の快適性はまったく考慮されていなません。
特に、まだ離乳していない幼齢個体は授乳や適切な温度管理がなされないと、衰弱したり死んでしまいます。
一般的に、子犬子猫や老犬老猫は、体温調節がよくできないため、簡単に、夏は熱中症で脱水死したり、冬は凍死するといったことが起こります。給餌給水についても、土日や祭日は行われないところもあります。個体の日齢に応じて、適切なフードが必要ですし、水は、常時飲めるように給水ボトルの設置が必要です。しかし、残念ながらこのような対処をしている自治体は少ないのが現状です。
行政の収容施設の地域格差の解消
私はこれまで、北海道から九州まで何十カ所もの犬猫の収容施設を見てきたのですが、地域格差が非常に大きいと感じます。
そもそも、動物取扱業者や一般飼い主の、劣悪飼育を改善指導する立場の行政の施設が、あまりに劣悪だというのでは話になりません。犬猫の保管や殺処分等を実際に取り扱う職員に、基本的知識がないことが多いのも問題です。現業職員についての研修制度もないと聞きます。
自治体ごとに、犬猫の収容中死亡数が大きく異なるといった地域格差をなくしていくためには、行政の収容施設の基準を設ける必要があると考えます。
自治体等の犬猫の収容施設も登録制とする
行政の施設の一部または全部について、業務や運営を外部の業者に委託している自治体が多くなっています。福井県は施設の業務から動物愛護週間等の啓発普及まですべてを外部委託しています。熊本市などのように愛護団体との連携を進めている自治体も増えてきています。
さらに、行政の施設でもふれあい展示を行うなど、動物取扱業に等しい業務をしているところもあります。
今後、犬猫の譲渡活動を進めるためには、行政の犬猫収容施設は市民、住民に開かれた施設になっていき、愛護団体やグループとの連携も進むことになるでしょう。そのようなことを考慮すると、行政の施設も登録制とし、適正な飼養保管の基準を定める必要があるはずです。
動物愛護センターはシェルターに転換
犬猫の殺処分数は、毎年大きく減少してきています。これに伴い、行政の収容施設は、今後、殺処分施設から一時保護施設(シェルター)、譲渡施設に転換していく必要があるでしょう。今後はそのような目的に適うように、ハード面でも施設が改築され、ソフト面でも運営が改善されていかなければなりません。
改善を進めるためには、市民や住民の参加、協力規定が必要と考えられます。すでに一部の施設では、犬猫の新しい飼い主探し、保管時の散歩やケア、土日の給餌給水などに愛護団体等が協力しています。
行政の施設が動物愛護の手本となるように、市民等と連携して、よりよい改築、改善がなされるように願いたいと思います。
2012年動物愛護法改正に向けて
2012年の動物愛護法改正に向けて、環境省による検討作業が行われています。平成23年8月には、「自治体の収容施設」について議論が行われました。
・ 収容施設等の基準(自治体の収容施設、飼養方法、公開基準等の基準化の検討)
・ 犬猫の殺処分方法の検討(苦痛のない安楽殺処分等の基準化の検討)
・ 犬猫の引取りルール(同じ飼養者・事業者等からの引取の規制の検討)
議事要旨、資料は以下の環境省サイトから見ることができます。
⇒ 中央環境審議会動物愛護部会
動物愛護管理のあり方検討小委員会(第19回)議事要旨
⇒ 環境省作成資料「自治体等の収容施設について 」