法律:行政による犬猫の引取り
飼い主が何らかの理由で飼えなくなった犬や猫について、行政に引取りを求められた場合、これ引き取らなければならないことになっています(動物愛護管理法第35条1項)。
この場合は、行政の窓口で、飼えなくなった理由を詳細に聞くことや、終生飼養の責任などを啓発普及することが引取り数を減らすことに役立ちます。
一方、 飼い主が不明の犬や猫についても、持ち込まれた場合に行政が引取らなければなりません。(動物愛護管理法第35条2項)
この場合は、飼い主が不明、または飼い主がいないため、 飼い主責任を問うことはできませんが、拾得または保護した場所や状況などを聞き取り、対策を考えることはできます。
いずれの場合においても、 行政は犬猫の引取りを無条件に行うのではなく、どうしてもやむを得ない場合に限定するように、条件を定める必要があります。
現状1:行政の施設に収容される犬猫の70%は飼い主不明
当会の調査(平成21年度「全国動物行政アンケート結果報告」)では、上記の行政に持ち込まれる飼い主のいる犬猫と、飼い主不明の犬猫とを分けて、アンケート調査しています。
そこから判明したことは、犬については、収容される総数の約73%が、飼い主不明の犬(捕獲と持ち込み、負傷犬を含む)であるという事実です。猫についても、
収容総数の約70%が、飼い主不明の猫なのです。すなわち、行政の施設に収容される犬猫の7割は、飼い主がいないか、もしくは飼い主が不明の犬猫なのです。
現状2:猫の殺処分数の78%が子猫
当会の調査では、さらに、飼い主持ち込み、飼い主不明の猫それぞれについて、成猫、子猫の区別をして調査しています。
それによると、猫の殺処分数のうち、70%が、飼い主不明の猫となっています。また、猫の殺処分数のうち、78%が子猫です。
従って、犬猫の殺処分数を減らしなくしていくためには、何よりも飼い主のいない猫の繁殖制限を行うことが要であるということがわかります。
対策:飼い主のいない猫の繁殖制限
飼い主は、自分が飼っている犬や猫が増えすぎて飼えなくなることのないように、繁殖制限をする責任があります。しかし、飼い主のいない猫については、誰がその責任を持つのでしょうか。
多くの動物愛護団体や個人の方々が、のら猫の不妊去勢手術費用を自費で行っていますが、それには限界があります。市区町村などの自治体で、手術の助成金を補助しているところも増えていますが、とても十分とはいえません。
モデルとして「地域猫」活動があり、有志が費用を出し合う、地元獣医師が協力する、行政が補助金を出す、といった地域の連携による取り組みが、期待されます。
※動物愛護管理法では、犬猫を含む、飼い主のいない愛護動物も保護の対象とされています。
一方、人間の餌に依存しない猫と犬は、鳥獣保護法で、ノネコ、ノイヌとされ、狩猟や有害駆除の対象動物とされています。(毎年、狩猟と駆除で400~500匹程度)
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