2008年3月6日
兵庫県動物愛護管理推進計画(案)への意見
兵庫県 健康生活部 健康局 生活衛生課 動物衛生係 御中
地球生物会議 ALIVE
<該当箇所>P.9〜P.10
第2章 動物を取り巻く状況と課題
第一 2 動物による生活環境汚染等、同 3 人と動物の共通感染症
第二 1 動物虐待
<意見>
犬や猫の放し飼いや糞尿の放置等の問題があげられていますが、 それに止まらず動物の生理、習性、生態を理解したうえでの適正飼育は、動物自身の健康と福祉に寄与することを明記してください。
衛生上の悪化から感染症が発生することは確かでしょうが、それを言うなら、ペットの飼育に限定することなく、より危険度の高い実験施設や畜産施設由来の感染症についても記述するべきです。
鳥インフルエンザ、サルモネラ汚染、SARSなど、人と動物の共通感染症対策の例示し、家畜の飼育についての対策も含めてください。
兵庫県の計画では、なぜか産業動物(畜産動物)についての記述が欠落していますが、畜産動物も愛護動物であり、国の指針に則り本計画の中に位置づけられるべきであると考えます。(第一)
「(略)動物に対する嫌悪感が虐待という行動の引き金になった事例も少なくない」ことは事実かもしれませんが、「このため、動物管理対策の強化を行うことにより、動物に対する嫌悪感を払拭させる」ということに止まらず、動物の生理、習性、生態等に対する正しい理解を育むことの重要性を明記してください。
感情的な嫌悪感に対する対策は、正しい理解や共感に転換させていくことが、環境教育の観点からも重要だと考えます。
(第二)
<該当箇所>P.16〜P.18
第2章 動物を取り巻く状況と課題
第4 危機管理対策 ・
1 国内で未発生の共通感染症対策 ・
3 災害時の動物救護 ・
<意見>
災害時における、動物取扱業者の施設、特定動物の施設、実験動物施設、展示動物施設等、動物を多数飼育している施設についても動物救護対策が必要であることを明記してください。
<該当箇所>P.21
第4章 基本方針に基づく施設の展開
【基本方針1】 動物愛護センターを中核とした体制での推進
<意見>
「県下を数ブロックに分割し、それぞれの地域で動物愛護管理行政ができる拠点づくりを行う」との方針で、ブロックごとに動物の収容施設の改善・改築を行っていることは、地域密着型の行政を展開する上で有意義だと思います。この施設に多くの市民が訪れ、参加協力が行われる、地域に開かれた愛護行政となることを期待します。
一方、市民の誰もが訪れることのない(見学が許可されない)施設が、動物の殺処分のみを行っている動物管理事務所です。
ここで年間8000匹もの犬と猫が殺処分されていますが、兵庫県では殺処分施設を愛護施設から切り離したために、殺処分という現実が一般の目に見えにくくなっているとも考えられます。特に、行政に引取りを求める飼い主に対しては、殺処分の現実を直視してもらい、飼い主責任を問い、終生飼育の義務の啓発普及に役立てるべきです。
また、動物の福祉の観点から見れば、たとえ殺処分される動物であっても、そこに到る直前まで恐怖がないように、また致死措置も苦痛のない方法で行われなければなりません。しかし、兵庫県では処分施設を一切公開していないために、かなり問題のある状況で行われているのではないかと推測されます。年間8000匹もの殺処分の現実を市民の眼に見えるようにして啓発普及に取組んでください。
兵庫県内には、政令指定都市の神戸市のほか、尼崎市、西宮市、姫路市の3中核市があります。特に中核市における動物愛護行政の取組みについても、ここに明記してください。県内の取組の格差をなくするためには、中核市との連携をはかり一体的な取組がなされるようにしていただきたいと思います。
<該当箇所>P.27
【基本方針2】
第4 動物の飼い主等の役割
<意見>
動物の飼い主として、動物取扱業者、特定動物飼養・保管者、実験動物飼養・保管者が上げられていますが、畜産動物の飼養・保管者が記されていません。畜産動物は法律で守られている愛護動物であり、虐待や遺棄は禁止されています。また、その適正飼養を定めた基準もあり、近くその改正も検討されているところです。
世界的に認知されている動物福祉の基本原則「5つの自由」は、特に畜産動物に対して適用される概念です。2010年には日本も加盟しているOIE(世界動物保健機構)が家畜の飼養保管基準を定めようとしており、農水省でもアニマルウェルフェアに対応した飼養管理の検討会を設けて指針の制定をめざしています。
兵庫県でも、畜産動物を動物愛護行政の対象から欠落させることのないように、本計画にきちんと位置づけてください。
<該当箇所>P.30
【基本方針3】
第3 野生動物関連部局との連携 ・
<意見>
「有害鳥獣対策として、捕獲等が行われた動物の保管に関しては、動物愛護管理法の飼養・保管基準が適用されることになるため、有害鳥獣担当部局に対して適正飼養・保管を働きかける」ことはたいへん有意義です。ほかにも、鳥獣保護法、特定外来生物法、種の保存法、ワシントン条約、遺伝子組み換え生物規制法といった関連法がありますので、必要に応じて情報を共有化して、動物の個体の保護と生態系の保全の両立を図るように取り組んでいただきたいと思います。
<該当箇所>P.31
【基本方針3】
第4 警察署との連携 ・
<意見>
動物の遺棄・虐待についても、警察との連携を進めてください。1997年に神戸で発生した連続児童殺傷事件では、動物虐待が前兆としてありながら、これを見過ごしたことが惨事を招いたとの指摘もあり、これをひとつの契機として1999年に動物愛護管理法が改正され罰則の引き上げがなされました。動物虐待は犯罪ですから、そのような情報が寄せられた場合は警察に通報あるいは告発して捜査がなされるべきです。
また、遺棄についても、捨てられた動物は「犯罪の証拠物件」として警察に届出を行うものとするように周知徹底をはかってください。
<該当箇所>P.32
【基本方針4】 具体的な事業の構築と積極的な実施
<意見>
項目1の動物管理対策の強化の中に、産業動物の飼養施設対策を含めてください。
項目2の動物愛護対策の推進の中に、犬猫の引取り時における啓発普及を含めてください。
項目4の危機管理対策の中に、人と動物の共通感染症対策を含めてください。
<該当箇所>P.33
第5章 具体的な事業 ・
第1 動物管理対策の強化 ・・
1 動物の適正飼養の推進 ・
<意見>
個人の飼育能力の限界を超えている多頭飼育については、周辺環境の悪化や飼育崩壊に到る前に、情報が寄せられた段階で現地に出向き、飼い主に改善指導をするものとしてください。
「野生動物や外来生物については、基本的には飼養しないよう強力に指導を行う」とのことは、たいへんよいと思います。
<該当箇所>P.36
第5章 具体的な事業 ・
第1 動物管理対策の強化 ・・
2 動物取扱業者・実験動物飼養施設対策 ・
<意見>
動物の繁殖販売業者の施設では、狭い檻の中に閉じこめたまま衛生状態も悪いといった例がしばしば指摘されています。動物取扱業者の遵守基準に厳密に照らし合わせて、飼育状況を点検し、劣悪な場合は改善指導をすすめるものとしてください。
動物の販売業者については、生年月日や生産地情報(繁殖施設名)など個体の情報が明示されているかの確認、特に通信販売等の施設を持たない動物取扱業に対しては、登録の確認及び広告における登録の表示の確認等を行うものとしてください。犬猫の場合は生後8週齢にも満たない幼齢個体が店頭に出されないように指導してください(環境省中央環境審議会動物愛護部会での審議事項)。
野生動物は基本的に飼育しないように指導することと同様に、野生動物は基本的に販売しないようにすることが重要です。野生動物を本来の生息環境から引き離して飼育すること自体が動物虐待になりかねません。
さらに、海外からどのような未知の感染症が持ち込まれるかもわからず、また逸走した場合には生態系に悪影響を及ぼすこともありえます。野生動物の輸入販売業者に対しては特に台帳の提示を含め、厳しく監視対象としてください。
また、インターネット等による動物の通信販売が広く行われるようになり、仲介代理業者と繁殖保管施設が別個に営業することが多くなっています。施設が県外にある場合であっても適正な登録がなされているか、基準が遵守されているかを確認するため、他府県等と連携して、取り締まりにあたることとしてください。
兵庫県では、実験動物施設を届出制にしていることを生かして、3Rを含む実験動物基準が遵守されているかの確認を行ってください。
また、産業動物施設についても、畜産分野との連携をはかり、実態把握を行い、適正使用に関する啓発普及を行ってください。
<該当箇所>P.36
第5章 具体的な事業
第4 危機管理対策
<意見>
1995年の阪神・淡路大震災では、動物園や水族館、動物実験施設、産業動物施設も被災しました。特定動物等の逸走防止と同様に、展示動物、実験動物、産業動物の逸走防止対策も必要です。これらの施設においても危機管理対策マニュアルを策定するものとしてください。
以上