平成20(2008)年1月22日
宮崎県動物愛護管理推進計画(案)に対する意見
地球生物会議 ALIVE
<はじめに>
本計画全体において内容が抽象的で、具体性に乏しい印象です。宮崎県の現状を示す数値データがほとんどなく、それに故に、どこの部分について、実際どのように取り組んでいくのか、意見をのべることが難しい状態です。
<該当箇所>P.8
T 総論
5 宮崎県の動物愛護の現況
(1)動物愛護関係指標の現況
@法第35条に基づく犬及びねこの引取頭数
<意見>
県の平成18年度の引取り状況は、犬が2,117頭、ねこが3,709頭とのことです。10年前の平成8年度と比べると、犬の引取り頭数が5,400頭、ねこが3,285頭となっており、犬については39.2%に減少したものの、ねこについては12.9%の増加とのことです。
犬猫の殺処分数を10年後に半減させるためには、引取りの状況や飼育放棄される理由等について調査を行い、その対策を講じない限り、実現は不可能と思われます。平成18年度に宮崎県で一般譲渡された犬の数は183頭ですので、譲渡率はわずか8.6%(殺処分率91.4%)です。また、ねこについては、一
般譲渡が行われていないため殺処分率は100%です。
このほかに「狂犬病予防法」及び「宮崎県犬取締条例」で捕獲抑留された犬が1,526頭もいますが、飼い主への返還率は11%(殺処分率89%)です。
もう少し引取りの原因を詳細に把握した上で、具体的な数値目標のある計画を立てる必要があります。
<該当箇所>P.8
A不適切な飼育に起因する苦情相談受付件数
<意見>
平成18年度に県内の各保健所に寄せられた苦情は3,383件だとのことですが、その苦情の内容も分けて集計を取り、それぞれの苦情に対してどのような対策が必要かを検討していく必要があります。
<該当箇所>P.8
T 総論
5 宮崎県の動物愛護の現況
(2)動物愛護管理施設の現況
<意見>
県の動物保護管理所は元来で捕獲抑留した犬を管理する施設(犬抑留所)であり、老朽化が甚だしく、収容環境が劣悪であることが指摘されています。施設の改善を図る必要がありますが、その設置について県民の理解を得るためには、本計画においてもう少し、危機的な現状が一般の人々に伝わるようにしていただきたいと思います。動物愛護の拠点施設を設置するためにも、引取り数の減少を図る施策の推進や一般譲渡を進める取り組みの必要性を強く打ち出してください。
<該当箇所>P.9
6 動物愛護管理推進目標の設定
(1)犬及びねこの引取り頭数
<意見>
引取り数の半減計画は結構ですが、具体的にどのような手順で実現していくのかを詳述してください。
<該当箇所>P.15
U 各論
3 県民参加型の動物愛護推進のための体制づくり15
<意見>
県民が、積極的に参加できるようにするためにも、保健所単位で動物愛護の拠点づくりを行い、住民が気軽に立ち寄り情報を得たり動物とふれあい、また譲渡を受ける事ができるような施設・設備を設けることをご検討ください。
<該当箇所>P.19
5 動物取扱業者への指導と啓発
(1)動物取扱業者への適正飼養管理の指導
<意見>
動物の繁殖・販売業者の施設では、しばしば世話や管理が行き届かず、飼育怠慢や飼育放棄状態になりがちです。問題のある業者についての情報が寄せられた場合は、速やかに体入り調査を行い、改善指導に勤めてください。
<該当箇所>P.21〜22
6 犬及びねこの引取業務の改善
(1)定時定点引取りの縮小化
<意見>
定時定点引取りにおいては、引取りの現場で飼い主と対面して、飼育できなくなった理由を聞き取り、不妊去勢の必要性や新たな飼い主探しの努力等についての啓発普及を行うことが困難です。また、従って、定時定点収集を続けている限り、引取り数を減少させることができないことになりかねず、この削減・廃止は速やかに取り組んでいただきたいと思います。
市町村別の引取り頭数削減目標をたてることはいいですが、計画の中に市町村別の引取り数や捕獲数を明記しておくべきでしょう。また、 動物愛護の啓発普及のためには市町村との協力は特に重要と思います。市町村役場の窓口や広報においても、啓発普及の協力を進めていただきたいと思います。
<該当箇所>P.22
6 犬及びねこの引取業務の改善
(2)引取り手数料の設定
<意見>
引取り手数料を取ることは「受益者負担」の原則から当然ですが、その際、飼育できない理由についての聞き取りを行い、その場で必ず啓発普及を行ってください。引取りの現場における指導が最も効果的です。
<該当箇所>P.23〜24
7 譲渡の推進
(1)「みやざきドッグ愛ランド」譲渡システムの推進と普及啓発
(2)引取りを行った犬・ねこについての譲渡への取り組み
<意見>
「みやざきドッグ愛ランド」譲渡システムとはどのようなことをいうのか、少なくとも本計画に明記していただきたいと思います。確かに、宮崎県のように動物愛護施設が存在しないところでは、引取りを行う前に譲渡できる譲渡システムは有効だと思います。そのことにより、施設の収容保管の労力が省け、感染症の罹患といったリスクもなくなります。一方、安易な譲渡により、再び飼育放棄されたり、業者に売られたりすることのないように、譲渡後のフォローの仕組みが必要と考えられます。できれば、このような活動に動物愛護推進員の協力を得ることもいいのではと考えられます。
<該当箇所>27〜28
10 健康危機管理と災害時対策
(1)動物由来感染症に関する正しい知識の普及
(2)動物由来感染症の情報収集とその提供
(3)動物由来感染症マニュアルの作成
(4)災害時の動物救護対策
<意見>
宮崎県では養鶏施設において鳥インフルエンザが発生し、経済的も大きなダメージを受けました。ペットや実験用、展示用にも鳥が飼育されていることから、すべての飼い主に感染症に対する監視や情報の提供を行うようにしていただきたいと思います。また大規模災害時には、実験動物施設、畜産施設など動物を多頭飼育している施設が、感染症の観点からも最も問題となります。これらの施設の所在等を把握し、適切に対処できるように、動物愛護の観点から地域防災計画の中に書き込んでいただきたいと思います。
<追加すべき施策>
本計画には、実験動物に関する事項が欠落しています。宮崎大学における実験動物の取扱が不適切であったことが指摘されています。「3Rの原則」の普及のためには、どこにどのような施設があるか所在および実態の確認をしなければなりません。ぜひ実態把握に取り組んでください。
同じく、本計画には、産業動物に関する事項がありません。近く、産業動物の飼養及び保管に関する基準の改定が行われますし、農林水産省でも国際動向に応じて家畜福祉に配慮した飼養保管指針の策定に取り組んでいます。
国の基本指針に即して、実験動物、産業動物についても、基準の遵守義務があることを明記してください。
以上