ALIVE資料集 No.8
「英国の主要な動物保護法」のご紹介
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地球生物会議(ALIVE)では、海外の動物保護法をシリーズで翻訳、刊行しています。
2000年1月に発行したこのシリーズのNo.2「英国の主要な動物保護法」は、動物の福祉に関わる英国の60以上の法律を要約して紹介した資料集です。
2003年1月に第3刷の印刷の際に、以下のあとがきを加えました。
(800円) |
発行者(ALIVE)からのコメント
この資料に紹介されている英国の動物福祉関連法は、2003年2月20日現在に至るまで(法のもとで定められる基準や倫理規程などを別とすれば)これといった改正はなされていません。(スコットランドではイングランド、ウェールズではまだ認められている、キツネ狩りなど犬を使った狩猟が2002年8月に禁止されました。)
しかし、2001年に省庁再編で発足したDEFRA(環境・食料・農村地域省。高水準の動物の健康・福祉の確保を6つの目的の一つに掲げています)は今後、これらの動物福祉関連法を総合的に見直してゆく計画を打ち上げました。
その主なねらいは、細分化されすぎ一部は内容が古くなってしまった旧来の法律を整理し、総合的な動物福祉法としてまとめ直すとともに、既存の法律で十分な規制がなされていないとの意見が多い分野、たとえば犬の断尾、サーカスの動物、エキゾチックアニマル、馬の預託施設、各種サンクチュアリなどへの規制をどうするべきか、国民や利害関係者の意見を聞いた上で、新たな動物福祉法に盛り込んでいくことです。
虐待を未然に防ぐために、不必要な苦しみを与える、という従来の定義からもっと踏み込み、不必要な苦しみを与える恐れのある状態に動物を置くことにも罰則を適用すべきか、ということも検討課題にあげられています。
新しい動物福祉法案(Animal Welfare Bill)が具体化するまでにはまだ長い時間がかかりそうですが、DEFEAは2002年1月2日、上にあげた点を含む質問書を国内の大学、獣医師組織、業界団体、動物保護団体、宗教団体、議会関係者、中央・地方行政組織などに送付し、国民一般にもよびかけて、4月末日までの4カ月間、広く意見を募集しました。質問書を送付された動物保護団体はRSPCAやWSPA、IFAWのような比較的穏健とされる福祉団体だけでなく、BUAVやNAVSなどの動物実験反対団体やANIMAL
AIDのようなアニマルライツ団体も含まれていることは注目されてよいでしょう。
このコンサルテーションの結果はただちに集約・分析され、質問項目以外にも多岐にわたる意見が収録された159頁にわたる報告書が8月に発行されました。DEFRAのウェブサイトでも公開されていますので、日本からでもPDF形式の報告書をダウンロードできます。
http://www.defra.gov.uk/animalh/welfare/domestic/awbillconsultanalysis.pdf
今回行われたように、国民から幅広く意見を募集し集約結果を迅速に公開するやり方は、動物愛護法関連のパブリックコメントで、いくら有益な意見が寄せられても(情報公開法に基づき公表が義務づけられているにもかかわらず)、これを一般に公開していない日本の環境省には、ぜひとも参考にしていただきたいと思います。
この報告書の中味をみると、どんな活動をしている団体が、どのような問題をかかえているか、省庁や議会が動物福祉法についてどう考えているかなどがわかります。国内外を問わず、動物福祉法の今後の動向に興味をおもちの方にはぜひご一読をおすすめします。
その他、Animal Welfare関連の法令や政策にかかわる公式情報も、逐次、DEFRAのホームページ
http://www.defra.gov.uk/animalh/welfare/default.htm
で閲覧することができます。
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