生物多様性基本法の制定
ALIVE NEWS 2008年5月28日
「生物多様性基本法」が、衆議院、参議院とも全会一致の議員立法で可決、成立しました。ALIVEも参加
している野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークでは、この 10年の間、野生生物を包括的に保護する法律の制定を求めて活動
してきましたが、本「生物多様性基本法」は、私たちが提案してき た法律案を参考にして作られており、今後の野生生物保護活動の
バックボーンとなることが期待されています。
特に、これまでは野生生物の中にでも「鳥・獣」、「絶滅のおそれのある種」、「特定外来生物」というように限られた種を取り上げて保護(または排除)することでよしとするのではなく、個々の生物が群れや社会を構成し、また多種多様な生物と相互に係わり合っている生態系そのものを守っていくことが明記されていることは、自然保護・野生生物保護の運動において、大きな前進と言えるでしょう。
基本法は、家で言えば柱を立てたようなもので、これからまだ屋根をかけたり壁を張ったりしなければ、棲家としては心もとないものです。今後は、個々の具体的な問題に対処できるように、個別法の改正や施策の充実に向けて、さらなる活動が必要と考えられます。
◆生物多様性基本法(全文)
<経過>
・5月20日:衆議院環境委員会で、質疑(衆議院会議録)
盛山正仁議員(自民党)、田島一成議員(民主党)、江田康幸議員(公明党)
委員長提案により全会一致で可決
・5月22日:衆議院本会議で、全会一致で可決
⇒衆議院インターネット中継:ビデオライブラリ
・5月27日:参議院環境委員会で、質疑
市田忠義議員(共産党)、川田龍平議員(無所属)
委員長提案により全会一致で可決
・5月28日:参議院本会議で全会一致で可決、成立
⇒参議院インターネット中継:ビデオライブラリ
生物多様性基本法・前文
生命の誕生以来、生物は数十億年の歴史を経て様々な環境に適応して進化し、今日、地球上には、多様な生物が存在するとともに、これを取り巻く大気、水、土壌等の環境の自然的構成要素との相互作用によって多様な生態系が形成されている。
人類もまた生物として、生物の多様性のもたらす恵沢を享受することにより生存しており、生物の多様性は人類の存続の基盤となっている。また、我が国において多くの生物や豊かな自然と共生する固有の文化が育まれたように、生物の多様性は、地域における固有の財産として地域独自の文化の多様性をも支えている。
一方、生物の多様性は、人間が行う開発等による生物種の絶滅や生態系の破壊、社会経済情勢の変化に伴う人間の活動の縮小による里山等の崩壊、人為的に持ち込まれた外来種等による生態系のかく乱等の深刻な危機に直面している。また、地球温暖化等の気候変動に伴う生息環境等への影響という新たな課題も生じており、生物の多様性の確保のためにはなお一層の努力が必要とされている。
国際的な視点で見ても、過剰な伐採や森林火災などによる森林の減少や劣化、乱獲による海洋生物資源の減少など生物の多様性は大きく損なわれている。我が国の経済社会が、国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみれば、我らは、世界の生物の多様性の恵みに支えられて暮らしていることに、改めて深く思いをいたすべきである。
我らは、生物の多様性のもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう、次の世代に引き継いでいく責務を有する。また、我らは、人類共通の財産である生物の多様性を確保するために、我が国が国際社会において先導的な役割を担うことが重要であると確信する。
今こそ、生物の多様性を確保するための施策を包括的に推進し、生物の多様性を損なうことなくその恵沢を将来にわたり享受できる持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出さなければならない。
ここに、生物多様性の保全等についての基本理念を明らかにしてその方向性を示し、生物多様性の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。
<野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク>
・「生物多様性基本法」成立
・「生物多様性基本法」衆議院環境委員会で可決:声明
<生物多様性に関する国際的な動き>
・5月22日(木):「国際生物多様性の日」
・5月19日〜5月30日:第9回生物多様性条約締約国会議(ドイツ・ボン)開催
・5月24日〜5月26日:G8環境大臣会合
・7月7日〜7月9日:先進国首脳会議(洞爺湖サミット)
・2010年:第10回生物多様性締約国会議(日本・名古屋)