高崎山周辺のサルの駆除に関する質問書（要旨）

一、またも鳥獣保護法違反の疑い

　有害駆除の目的は、農作物等の被害を及ぼす野生鳥獣を排除することにあると、駆除の許可を出した大分市耕地林業課は、断言しています。ところが、実際は大分医大の実験施設の収容能力が許す限りの70頭まで実験用に捕獲するとの方針で駆除を行っています。このことは明らかに「詐欺の行為」（鳥獣保護法第21条違反）ではないでしょうか。

二、大分市の管理責任を問う

　昨年８月に発覚した鳥獣保護法12条、13条、20条違反（無許可捕獲、無許可飼養、違法捕獲鳥獣の譲渡）事件は、いずれも実刑付きの重い罰則があるにもかかわらず、市は担当職員の訓告、戒告程度で事件を終了させました。その上、保護管理ガイドラインを作成することを約束していながら、それも行わないまま、今回の捕獲が強行されました。
　サルを観光に利用し犠牲にしながら誰も責任を取ろうとしないこのようなやり方では、行政に対する不信感が高まる一方で、教育にも悪影響を及ぼし、さらには市の観光にも打撃を与えるのではないでしょうか。

三、管理委員会の責任を問う

　大分市と高崎山管理委員会は、これまで高崎山のサルの個体数の削減について根本的かつ有効な対処を何ら行ってきませんでした。その理由は、当初から餌付けしてサルの数を増やし、実験室に送り込むという意図があったからではないでしょうか。

四、管理員会の越権行為

　野生のサルの保護管理は、自治体の鳥獣保護業務であるにもかかわらず、高崎山委員会が周辺地域にいる野生サルの有害駆除事業に対してまで意見を出しているのは、越権行為とではないでしょうか。また、大分市が、有害駆除及び駆除個体の処理に関して、同委員会に諮問する事自体も逸脱行為ではないでしょうか。

五、野生サルの保護と被害対策を

　高崎山での観光用餌付けは、サルに人慣れさせ、人間の食べ物を覚えた野生サルを周辺地域に拡散させる役割を果たしてきました。被害の根元は、餌付けにあり、そのことを反省しないままサルの頭数だけを実験提供という形でコントロールすることは、安易で無責任です。高崎山周辺のサルの生息調査、餌付けの段階的削減と廃止、被害防除の対策、被害農家への補償等とあわせて、生息地保護やサルとの共存のあり方を考える学校や地域での環境教育の施策を進めていくべきではないでしょうか。

六、霊長類には人間なみの福祉を

　ニホンザルを含む霊長類は、人間に最も近い種であり、人間と同じように精神的・肉体的苦痛を受ける動物です。それゆえに、霊長類の実験は人体実験にも等しい行為であり、７３１部隊やナチスの人体実験を想起させ、人の心に強い怒りと嫌悪の念をいだかせます。
　市はこれまで実験に提供したサル（過去４年間で５００頭、及び今年度70頭の予定）に関して、その追跡調査を行い、情報公開すべき責任があります。直ちに、実験施設の立ち入り調査を行い、サルを使った個々の研究のデータやその処分方法等の提示を求め、それを公開することが、これだけサルを犠牲にしてきた過去に対しての取るべき最低の責任ではないでしょうか。

　以上、ご回答をお願いいたします。