北海道有珠山噴火

知られざる被災動物たち

　ALIVE　2000年7月

　数十万羽規模の大規模養鶏場では、ニワトリの避難にかかる費用と全滅した場合の損失をてんびんにかけて、前者の方がコストがかかると判断し、あえて避難を行いませんでした。昭和新山クマ牧場では、クマを避難させること自体が困難で一時期は完全放置の状態となっていたようです。また、エゾシカ牧場は閉鎖され、エゾシカ42頭、ニホンザル42頭などが「もらい手探し」の対象となっています。
　当会では、福島県に本社のある成井農林が経営するエゾシカ牧場に連絡をとり、以下の要望をしました。

ニホンザルの処遇について

　ニホンザルの受け入れ先を探しているとのことだが、以下の点を配慮していただきたい。

　いくつかの業者から実験用に売ったらどうかという提案があったというが、動物実験施設には絶対に渡さないでいただきたい（特に、日本モンキーセンターは動物園で増えすぎたサルを引き取っては実験に売却している施設なので、こことは交渉しないでいただきたい）。

　北海道危険動物飼養規制条例により、サルは飼養許可が必要な動物であり、移譲する場合、受け入れ先の施設の構造等に関して道（胆振支庁）の許可が必要であるので、安易な譲渡は行わないでいただきたい。

　飼い主は終生愛情をもって動物を飼育するように定められている貴社の本州の土地で、どこかに電気柵等で囲いを作り、サルの放飼場を作れないか検討していただきたい（その場合、繁殖制限をしてこれ以上数を増やさないようにする）。これからの林業は環境保護を考慮して進めるべき。環境教育的な施設として転換できないか検討していただきたい。

　また北海道自然環境課（動物担当）には、今年度に制定される新しい条例で、不可抗力的な自然災害における危機管理の問題も含め、火山や地震などのおそれがある地域における危険動物の飼養の原則禁止を要望しました。

　六月中旬に成井農林本社に電話をして確認したところ、ニホンザルの動物実験用売却の話は断ったとのこと。受け入れ先は依然として見つからず、困っているとのことでした。

ALIVE会報33号より