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犬猫の殺処分の減少へ向けて

犬猫の処分数を減少させるには

ALIVE No.70 2006.9-10

野上ふさ子


■動物愛護管理基本指針

 改正動物愛護法で、動物愛護の施策を進めるために国が基本指針を作り、都道府県が基本計画を定め、実行することが定められました。かなり抽象的な内容ですが、唯一、具体的なものが「犬猫の殺処分数を10年後には半減させる」というものです。とはいえ、犬に限れば、過去10年間で既に殺処分数は半減しており、これは行政の努力というよりは動物愛護団体や一般の人々の意識の変化によるところが大きいということができます。

 今後、さらなる減少を図るためには、行政の制度を改革しなければ頭打ちになることは明らかです。以下に、犬猫に関わる法律や制度をどのように改正すべきかを考えてみたいと思います。

■遺失物法の改正

 すでにお知らせしてきたように、遺失物法の改正により、所有者不明の犬と猫は、警察における2週間の保管がなくなり、直ちに保健所や動物管理センターなどに送られることになります(平成19年12月より)。ほとんどの自治体の施設では、鑑札や迷子札、マイクロチップなどを装着していない、身元不明の犬と猫は原則として2日間の公示を行い、3日目には処分となっています。このことは、飼い主が、飼い犬猫に所有者がわかるような標識を付けるべきこと、そして行方不明になったら直ちに届出をして捜索しなければならないことを意味します。

 とは言っても、わずか2、3日で飼い主が飼い犬猫を見つけだすことができない場合もあります。保管期間が最低でも1週間、さもなければ遺失物と同様に2週間あれば、助けられる命が増えることは明らかです。そのためには、所有者不明の犬猫の保管期間を定めている規則を変えなければなりません。

■狂犬病予防法

 狂犬病予防法はGHQの強い意向の元に昭和25年に制定、28年に施行されました。そしてわずか3年後の昭和31年には、日本での狂犬病の発生は終息しました。それからすでに半世紀を経ています。日本の1000万匹を越える犬を拘束するこの古い法律が、なぜ未だにほとんど改正されないのか、疑問です。愛犬家の皆さまには、我が身の問題としてよく考えていただきたいと思います。

狂犬病予防法

第六条(抑留)

1 予防員は、第四条に規定する登録を受けず、若しく は鑑札を着けず、又は第五条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着け ていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。

9 第七項の通知を受け取つた後又は前項の公示期間満了の 後一日以内に所有者がその犬を引き取らないときは、予防員は、政令の定めるところ により、これを処分することができる。

 迷子の犬やのら犬などがいるのを見つけた人が保健所に通報すると、すぐに捕獲人がやってきて捕獲して連れていき、「犬抑留所」に入れてしまうというのは、この法律に根拠があります。

 しかしこの法律には抑留所の施設の基準や処分のあり方についての規定は特にありません。

■畜犬取締条例

 昭和20年代から30年代にかけて多くの自治体で畜犬(飼犬)取締条例が制定されました。この条例は内容的には狂犬病予防法と極めてよく似ており、犬の捕獲、抑留、処分、それに野犬掃討を行うことを定めています。目的が同じであれば法律の下にそれを越える条例をつくることはできないという原則があり、この畜犬取締条例は法に違反しているのではないかという議論もあったと言われています。

▼狂犬病予防法:公衆衛生の目的

 (国からの委託で自治体が行う事務)

▼畜犬取締条例:生活環境の保全・人身保護目的

 (自治体独自の行政事務→自治事務)

※『条例検討シリーズ2 飼い犬・ペット条例』(昭和59年 北樹出版)

 自治体の畜犬取締条例が狂犬病予防法とは直接の関係がないとすれば、狂犬病予防法を改正しても、条例がそれにあわせて改正されない限り、現状は変わらないということになってしまいます。

 例えば、北海道では全市町村に現在でも「畜犬取締および野犬掃討条例」があり、野犬掃討のために、毒入りの餌をまくことも認められています。野犬の場合は即日処分であるため、飼い犬が捕獲されてその日のうちに処分されトラブルになった例もあります。自治体の条例をどのように改正または廃止していくかが課題となります。ちなみに、狂犬病予防法での「掃討」は、狂犬病発生時のみで可能な行為です。

■自治体の動物条例

 自治体によっては、旧動物保護管理法(動管法)を受けるかたちで、畜犬取締条例や危険動物の飼育規制条例を統廃合して動物愛護管理条例として制定したところもあります。この条例のメリットは、動物行政を自治体レベルで一本化したことにあります。

 旧動管法は、近代日本で初めて動物の保護のために設けられた法律です。昭和48年に制定された当時、国の所轄が総理府におかれたため、都道府県の事業に直接の関わりがなく施策を展開するという点では極めて不十分でした。

 自治体では動管法を所轄する部署として、狂犬病予防法を所轄してきた公衆衛生部署(生活衛生課など)に置かれることになりました。そのような背景があるため、動管法制定後もなお、犬の取扱いは捕獲・処分・掃討といった徹底的な管理中心の方針で行われてきました。収容した犬を適切な施設に保護し、新たな飼い主に委ねるといった愛護的な政策はたいへん遅れをとってきたのです。

■動物愛護管理法

 旧動管法は動物愛護管理法と名称を変え、動物取扱業の規制など条文も時代の変化に対応したものに改正されてきました。しかし残念ながら、行政による「犬及びねこの引取り」の条項は現在に至るまで何の改正も行われていません。


動物愛護管理法

第35条(犬及びねこの引取り)

1 都道府県等は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。

2 前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又はねこの引取りをその拾得者かその他の者から求められた場合に準用する。


 動愛法には、犬とねこの引取りが定められていますが、引き取ったあとの動物をどうするかということに関しては明確な定義がありません。これは狂犬病予防法でも同様です。本来であれば、収容施設の基準、動物の世話や再飼養のための一般譲渡に努める等の旨が明記されるべきだったのです。それがなされなかったために、救命のための施策が常に蔑ろにされることになってしまいました。

■犬猫の引取り措置

 動愛法で収容された犬と猫の扱いは「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」という環境省告示で示されています。今年の1月に大幅改正されましたが、残念ながら犬猫の保管期間に関する部分はまったく改正されませんでした。

 この告示では、引取り、あるいは拾得した犬と猫の保管に関しては狂犬病予防法の規定に準ずる措置(2日間の公示、3日目の処分)をとるように指示しています。もともと狂犬病予防法は厚生労働省の法律ですし、動物愛護法は環境省の法律であり、目的が異なるものでありながら、動物の保管期間のみは狂犬病予防法に準じるというのは、ご都合主義的です。速やかにこの告示を改正し、少なくとも動物愛護法に基づいて収容された犬と猫については保管期間を延長し、飼い主探しを優先するべきです。これによって各地元の動物愛護団体も、行政の施設の犬猫の里親探しに手助けをすることができるようになるでしょう。

■犬猫の殺処分を減少させるには

 以上のような現状を踏まえて、犬猫の殺処分数を減少させることと同時に新たな飼い主探しによって救命率を高めるためには、次のような法改正等が必要だと考えられます。


1,狂犬病予防法の改正

(1)捕獲犬の公示期間の延長

・現行の2日を2週間程度に延長するとともに、公示方法を改善すること

(2)「抑留」施設の改称

・捕獲犬「抑留所」の名称を「一時保護施設」に名称変更すること

(3)動物愛護法との連携・整合性

・収容犬の取扱いは動物愛護法にもとづくものとすること

(4)市町村における動物行政の向上

・市町村の畜犬取締条例等の改正を促すこと


2,動物愛護法の改正

(1)行政の収容保管に関する定義付け

・所有者不明の犬及び猫を引き取った場合(警察経由を含む)、公示期間を遺失物法に準じて2週間とすること

・犬猫等の収容施設を「一時保護施設」とすること

・収容動物の健康の確保等のための保管基準を定めること

(2)動物の救命率の向上

・収容動物は殺処分よりも返還・譲渡を優先すること

・施設の運営、動物の世話等に市民参加を促進すること

■動物愛護団体等の参加

 欧米諸国では民間団体がシェルターを設け、多くの犬や猫を一時保護して新しい飼い主探しをしています。一般の人々も新たに飼いたいという場合はこれらのシェルターを訪れ、家族の一員を迎え入れるためのさまざまなアドバイスを受けることにより、正しい飼育方法を身につけていくことができます。

 一方、日本には民間シェルターはごくわずかしかありません。その理由は、欧米諸国のように市民活動があまり活発でなく、また非営利市民活動に対する税制上の優遇措置がないなど資金的な困難もあります。このような状況がすぐには変わらないことを考えると、日本ではすでに存在する行政の保管施設を改善し、これを一時保護施設(シェルター)に転換していくことの方が現実的と考えられます。

 その場合に、犬猫の世話や里親探しについては、地元の動物愛護団体などに民間委託することが有効と思われます。それによってきめ細かく温かい取扱いがなされるようになることは間違いないでしょう。現実に、全国各地で犬や猫を個人やグループで一時保護をして新しい飼い主探しをしている人々は数多く、それらのボランティア活動のエネルギーはたいへん大きいものがあります。

 施設というハード面は行政が管理し、収容動物の世話や譲渡等は民間に委ねることで、日本におけるシェルターが機能していくことを期待したいと思います。

<狂犬病予防法の改正について>

厚生労働省に質問(2006.7.19)

■参照

犬猫の処分数の減少に向けて


 
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