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クマ保護への抜本的対策が必要な時(その1)

有効な被害対策と適切な保護施策が必要

ALIVE No.59 2004.10.19


●場当たり的な有害駆除からの転換を

 今年(2004年)の秋、各地でツキノワグマが人家近くに出没し、多数が有害駆除されています。4月1日から10月4日までに、クマとの遭遇で被害を受けた人は18の県で73人とも報じられています。特に北陸地方で多発しており、富山、石川、福井の3県ですでに179頭が捕獲・射殺されたとのことです。

 日本では数年ごとにこのようなクマ騒動が発生し、その度に、異常気象や、餌不足、生息環境の破壊などが指摘されています。しかし、本当にそうなのか、その背景を調査し対策を講じるという努力がなされてきたとは言えません。いつも理由もわからないままクマが突然出現したかのように受け止められ、緊急事態だというのでその場限りの有害駆除で終わるのが常です。一度大量に捕獲すると、数年の間は数が減少するのでしばらくの間は皆がクマのことをを忘れ、対策も研究も行われず、数年たつと、また同じことが繰り返されます。

 このようなことを繰り返しているうちに、クマの個体数は減少し、ついには絶滅ということになるでしょう。であればクマの射殺シーンが全国のTVに流れ国民的な関心となっているような今年こそ、科学的な調査や住民への啓発普及、被害防除対策など長期的、根本的対策に取り組みべきではないでしょうか。

●幅広い視野での取り組みを

 クマの保護は単に「殺すな」というだけでは解決できない様々な問題があります。人里に出てきたクマを「奥山放獣」する取り組みはぜひ進めていただきたいですが、その奥山にクマが生きていける自然環境があることが前提です。それが確保あるいは回復できなければクマには行き場がありません。

 一方、地元の人々にとっては、どのようにしたらクマの被害を防げるかの対策がない限り、早く駆除しろという要求しか出てこないことになります。

 このような現状では、直ちに唯一これだという解決法がないので、以下のような取り組みを行い、中長期的に保護をすすめていくことが、一番の近道であるように思われます。

▼地元での取り組み

 地元の高校生や自然保護ボランティアなどでもぜひ調べていただきたいこと。

1.生息地の調査
・クマが生きていける自然環境があるか、森林伐採、人工林化、秋の実りの状況などを調べる。

2.クマの行動域と食性の調査
・クマがどのような場所でどのような食べ物を探しているかを調べる。また人里に引きつけられて出てくる要因を調べる。

3.被害防止対策
・集落にクマの食べ物がないようにする。クマを引きつけないように残飯やゴミをすべて片づける、果樹などを取り残さない。

4.啓発普及
・日頃からクマの出没に対し物理的・心理的に備えておく。行政、専門家等をまじえての地域集会の開催、対策パンフレットの配布など。またクマ対策の先進的事例を取り上げ紹介。

▼研究者の取り組み 

 地元の行政や住民と協力してデータの収集と分析、対策を検討していただきたいこと。

1,捕獲個体のデータ収集

  • 捕獲地点、日時、時間、場所の特定
  • 個体の推定年齢、体重、胃の内容物等

2,行動調査と生息調査

  • 前記よる捕獲地点を地図におとす。
  • 上記地図には、果樹園、柿の木など果実のなる木も書きこむ。
  • 周辺地域の植生図、果実などの植生と実りの状況を把握する。 
  • (1)~(3)を重ねあわせ、クマの出没の原因を調べる。

▼行政が取り組むこと

 住民、研究者、NGO、NPOなどの協力体制によるクマの総合的保護管理対策の方針を立てること。また施策の実施に財政的支出を行うことなど。

1.被害防除対策と研究者の支援。

 前記1や2の活動の財政的支援。

2,有害捕獲体制の改善

  • 被害の有無に関わらず年中有害捕獲の許可を出し続けるのをやめる。
  • 銃器を必要とする場合は必ず警察の立ち会いを求め、安全の確保を行う。
  • 捕獲檻を使用する際は、近くに誘引するための餌を置かない。クマを餌付け状態にしないこと。
  • 捕獲後の処分方法を定める。
  • 捕獲者に上記データの記録を義務付け。
  • 上記のデータをもとに「奥山放獣」の可能性を検討。

3,都道府県での対策会議を設置する。

  • クマの生息域が隣接する他県と協力して対策の共有化をはかる。
  • 同様に市町村間においても連絡協議会を設け、情報と対策の共有化を進める。

▼市民にできること

  • 国や都道府県にクマの調査や被害対策、保護対策に財政的支出を行うように要望する。
  • 果樹へのトタン巻きや「柿の実取りボランティア」など、地元の対策に参加、支援する。
  • クマの保護NPO等に寄付をする。
  • 国や議員に自然林の保全など、鳥獣保護と農林業における環境保全の施策を統合するよう要望する。

 いずれにせよ、このような取り組みを進めるためには、地元の負担だけで終わらないように、様々な分野の人々の理解と協力の輪を広げていくことが必要不可欠と考えられます。

 


 
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