野生動物のために意見を出そう！
鳥獣保護法施行規則のパブリックコメント
狩猟鳥獣の指定等に対して意見提出
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案（概要）ついてのパブリックコメントが行われましたので、当会では下記のような意見を出しました。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8179
意見募集期間：平成19年3月22日（木）～平成19年4月20日（金）17:30まで
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を
改正する省令案についての意見
＜該当個所＞
１，狩猟鳥獣の見直し（カワウの指定）
＜意見＞
カワウを狩猟鳥獣に追加することに反対する。
＜理由＞
（１）狩猟によって被害が減少するとは考えられない。
カワウのように元々狩猟対象（食用）ではなかった野鳥を狩猟鳥にしたところで、狩猟者にとっても魅力がなく、被害対策に有効とは考えられない。カワウは数十キロメートルも離れた営巣地と採食地の間を群れで飛び交う習性がある。地元の狩猟者がやみくもに捕獲しても、群れを拡散させ、かえって被害を拡大させてしまう可能性がある。
（２）カワウの狩猟は地域住民に危険
銃による狩猟は、川面で採食しているにいるカワウを水平面で射撃することになり、危険性が高く、地域の住民は散歩もできなくなる。また、鉛散弾が生態系への悪影響を増大させる。
（３）特定鳥獣保護管理計画で対処すべき
すでにカワウについては自治体での広域的保護管理計画が策定され、2004年には環境省が詳細な特定鳥獣保護管理技術マニュアルを公開している。この計画を評価するにはまだ十分な時間を経ていない。今後は、計画の実施の更なる充実及びモニタリング等に人手と予算を投じるべきである。
（４）放流による餌付け状態の見直し
カワウによる被害として、放流したアユが捕食される漁業被害が挙げられているが、アユの大量放流はある意味でカワウへの餌付けになっているとも考えられる。オトリアユの放流がアユの「冷水病」の原因だったこと判明したが（2007年3月26日付 紀伊民報）、放流漁業においても河川の生態系に配慮した方法で行うべきである。
（５）生態系の指標調査
カワウは、1960年代には絶滅が危惧されるまでに急速に減少した。その原因は、河川改修や内水面の埋め立てなど生息地の消滅とともに、ダイオキシンやＤＤＴ、ＰＣＢなどの有害化学物質の影響によるものと推定されている。現在でも有害化学物質の影響と見られる奇形や障害が多々見いだされるとのことである。特定計画のもとに、生態系の指標動物として捕獲個体の疫学調査を実施するべきである。
（６）生態的役割の認識
カワウは「水域生態系と陸域生態系の物質循環を連結する」重要な役割を担っている。漁業関係者や釣り関係者においては、カワウに対して被害感情からくる復讐心や敵視のみではなく、生態系に占める役割について認識し、共存のための対策を共に考えていただきたい。
＜該当個所＞
２．（１）対象狩猟鳥獣の禁止・制限の見直し
＜意見＞
ウズラの捕獲禁等の禁止に賛成する。さらに狩猟鳥獣から外すことを求める。
＜理由＞
今回の措置は、野生のウズラが生息地の消失等により全国的に減少し、地域によっては絶滅危惧種に指定されていることを受けて、５年間に限り狩猟を禁止するというものである。しかし、今回、狩猟鳥獣の指定は５年ごとに見直しをするとも定めているので、その方針に基づいて狩猟鳥の指定から外すべきである。
なお、一部の狩猟者団体は、猟犬のトライアルにウズラを使うという理由から、ウズラを非狩猟鳥にすることに反対している。しかし、トライアルに使用するウズラは繁殖させたものであり、野生のウズラの保護とは無関係なので、反対の根拠はない。
＜該当個所＞
２．（２）メスジカの捕獲等の禁止の解除
＜意見＞
メスジカの捕獲等の禁止の解除に反対する。
＜理由＞
シカについては、1999年の鳥獣保護法改正において、環境省は生息地管理、被害防除対策、個体数調整の３本柱にもとづく科学的計画的保護管理制度の下に対策を講じるという方針を打ち出した。これは、狩猟者の高齢化と減少に対応し、狩猟者依存から脱却する方針でもあった。
しかし、現実にはこの計画制度については財政的支援がなく、実施にあたる人材も不足し、モニタリングも評価もなされないまま、漫然と個体数調整（捕獲）のみが一人歩きをしている。今回、メスジカの捕獲制限を解除するなどの自由狩猟を促進することは、自治体における特定鳥獣保護管理計画を策定するインセンティブを失わせ、この制度を骨抜きにするおそれがある。あるべき野生鳥獣の科学的保護管理制度からさらに遠のき、環境行政の後退を招くことになりかねない。
以上
2007年4月20日
地球生物会議 ＡＬＩＶＥ
狩猟は、危険防止や生態系保全の観点から各種の厳しい規制がありますが、基本的には個人の趣味であり、自由意志に基づく行為です。一方、許可捕獲、野生鳥獣による農林水産業等への被害対策として、行政の許可によって行われる行為です。
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