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カエルが絶滅の危機に?
ALIVE No.73 2007.3-4
■日本でもツボカビ症発生確認 今年の1月、新聞等の報道によると、カエル類に致命的な打撃を与えるツボカビ症 の感染例が、とうとう日本でも発見されたとのことです。記事では、「ツボカビ症が 見つかったのは、東京都内で個人がペットとして飼っていた中南米産のカエル。(略) 10月末に購入したカエルから感染した可能性が高い。今年に入り、関東地方のペット 小売店でも中南米産のカエルが陽性と分かった」と報じられています。 ツボカビ菌はアフリカ起源とされ、実験用のアフリカツノガエルと共に世界中に輸出され、拡散していったと推定されています。致死率は90%と大変高く、 世界的に拡大しつつあって、日本での確認はまさに「緊急事態」です。対処が難しい のは、そのカエルを飼育していた水槽にツボカビ菌が長期間生き続けているため、水 槽の水を川や沼に流すと、その流域系も汚染されてしまうことです。こうなってしまっ ては、どんな対策も手遅れになってしまいます。
■カエルも飼育規制が必要では 両生類は自然破壊の影響を受けやすく、世界各地で絶滅の危機が迫っています。把握されている約6000種のうち、43%に生息数の減少が見られ、32%に絶滅の恐れがあり、この25年間で120種が絶滅したと推測されているのです。絶滅を加速させている原因の一つが「ツボカビ症」だとみなされています。 一方、日本では、カエルを輸入しペットとして店頭販売したり、インターネット通販やオークションで販売している個人や業者を見かけます。 海外から持ち込まれる動物の感染症の問題では、感染源として一番あぶない場所は、ペットや実験用にカエル(野生由来動物)を輸入販売している業者の施設だと考えられます。飼育動物については動物愛護管理法がカバーすることになっており、動物取扱業の登録制、及び飼育動物の遺棄の禁止等が定められています。しかし残念ながら、対象動物がほ乳類、鳥類、は虫類までで、両生類と魚類は対象になっていません。 本来であれば、今回のような緊急事態にはおいては両生類を取り扱っているペットショップや実験動物業者に情報の提供や販売の自粛などを求めるべきですが、どんな業者がどこにいるのか、把握する方法がありません。 また、実験動物施設は、登録制から除外されているため、どこの研究室で、どのくらいの数が飼育されているかもまったく不明です。 かつて水産業に大きな打撃を与えたコイヘルペスの流行も、輸入鑑賞魚が感染源ではないかと言われていました。この感染症によって霞ヶ浦のコイが大量死したことはまだ記憶に新しいところです。世界中から野生動物をペット用に輸入している日本では、今後、どのような感染症が発生してもおかしくない状況にあります。 このような危険性に対する防止策として、新たな法制度が必要な事態となっています。現行法では、人と人の財産である家畜にうつる感染症については明確な法制度がありますが、野生動物の間で発症する感染症や、生態系に悪影響を及ぼす感染症については、何の法制度も存在しません。遺伝子組換え生物規制法や特定外来生物法ができたように、野生動物の種や生態系に悪影響を及ぼす感染症についての法制度が、今や必要な時期となっているのかもしれません。 現行法の改正で対処できることとしては、動物の遺棄を禁止している動物愛護管理法の改正です。少なくともペットや動物実験用の両生類、魚類を扱う動物取扱業者を登録制とするべきです。また、一般常識としても、ペットとして飼育したカエルや魚を捨てたり、放流したりすることのないように、規制を設け、飼育者責任の周知徹底をはかるべきでしょう。
【提案】 ▼新たな法制度の必要性 ・野生生物の種に致命的なダメージを与える感染症の侵入に対する水際規制措置、まん延防止対策措置等を定める。 ▼動物愛護管理法の改正 ・動物愛護管理法の対象を両生類及び鑑賞魚に拡大し、遺棄の禁止を定める。 ・ペット・実験用に両生類、観賞魚を輸入・販売する業者を登録制とする。 ・両生類、観賞魚の飼育ガイドライン(マニュアル)を制定する。
■私たちにできること ・ペットショップでカエルが売られているのを発見したら、ツボカビ症に関しての質問をする。 ・販売されているカエルが野生から捕獲されたものかどうか質問する。 ・店側の環境問題や生態保護の意識について質問する。 ・インターネットで両生類の販売サイトにアクセスし、ツボカビ症に感染していないことの証明書の発行を求める。 ・販売サイトに対して、ツボカビ症対策を載せているWWF等のサイトへのリンクおよび、販売・飼育にあたっての注意情報等を掲載するよう求める。
記:野上ふさ子
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