【英国】
動物には知性も感性もある
−2005年3月の国際会議で明らかに−
ALIVE海外ニュース No.62 2005.5-6 翻訳:宮路
羊は口がきけない(dumb:ばかという意味もある)かもしれないが、ばかではない。
畜産動物には様々な感情と鋭い知能があることが研究で明らかにされた。
ニワトリは、動物の中でも特に愚かだと思われているが、新しい研究で、実はかなり賢いことが明らかになった。
●ただのおうむ返しではない
魚は記憶力のないことで有名だが、非常に巧妙で洗練された生物であるという証拠が示された。
オウムは、ふたつの異なった物を見せられると、その色、形、素材の違いについて言語を用いて説明することができる。
ヒツジは、2年もの間、別のヒツジや人間のことを記憶している。
ニワトリは、意志や期待という感覚を持ち、人を見分けることができる。
ブタは、自分がより多くの取り分を得るために洗練された心理的方法で他を騙す。
ゾウは、枝を折って仲間の死体を覆い、墓を作る。ゾウは発達した海馬を持つが、ここは記憶を作成する部分だ。
●動物の感性に関する国際会議
動物の感性に関するこれまでで最大の会議が行われるが、その中には、ニワトリが複雑な策略を習得する能力を持つことを証明する研究もある。研究は、嫉妬、愛情、喪失感といった、通常、人間が持つとされる感情をニワトリが持つという無視できない証拠を示している。なかには政治家も顔負けの権謀術数に長けたものもいる。
また、愚衆性向の典型のように嘲られているヒツジは、明確な自我の感覚を持っており、少なくとも10人の人間と50頭のヒツジの顔を2年間は覚えていることができる。そして、人間同様、表情に反応し、しかめ面より笑顔を好むことも分かった。
さらに、ヒツジが、いままでいた仲間がいなくなると悲しむことを示す研究は、これまで考えられていたよりもヒツジが人間に似ているという見方を強めるものだ。科学者たちによると、このような研究結果は、畜産動物には「自意識がない」とこれまでのように考え続けることをますます難しくするものであり、この概念はイギリスにおける動物の飼養方法に大きな影響を与える可能性がある。
ブタもまた、家畜に対する一般的な先入観を超える頭脳を持っているのがわかった。 ブリストル大学の研究者は、ブタが、自分の食料の取り分を増やすために他のブタをわざと騙すなど、巧妙に欺く能力を持っていることを発見した。
一方、ニワトリは食物に関して並はずれた自己管理能力を持ち、今、我慢すれば、のちにより多くの食料を得ることができると思うと、あえて食欲を満たすことを先に延ばす。
他にも、これらの動物の空間認識能力が幼児のそれに優っていることも明らかになった。実験を行ったところ、ニワトリは、ドアを開ける、犬や馬と同程度の速度で迷路の出口を見つけるなどのコツを学ぶことができた。これらの調査結果は、”Chicken
Run”という映画で、仲間を先導して農場から脱出した頭のいいニワトリ、ジンジャーも、製作者が意図したほど皮肉でないかもしれないことを示唆している。
また、ニワトリが痛みを感じることを示す研究もある。何らかの不快感や障害のあることがわかっている個体は、選択を与えられるとモルヒネを含む飼料を選び、対照的に、まったく健康なニワトリは鎮痛剤の入っていない飼料を選んだ。
同様に、現代社会においては、おだやかな食料源程度にしか見られていない動物、ウシも、従来、サルしか持っていないと考えられていたレベルの知性を用いて問題を解決する能力がある明敏な動物だということが明らかになった。オックスフォード大学での研究では、ベティという若い雌ウシは、本能的に、自分の給餌皿の隙間を利用して一本のワイヤーを曲げてフックを作り、ビンの底に残っている食べ物をこすり取った。
まもなく、何十人もの科学者と政府代表が43カ国からロンドンでの会議に集まり、動物に対する社会の姿勢を再検討する必要があるかどうかを議論する。
会議出席者は、アカネズミがどのように枝や石を使って独自の道標を作り、食物がたくさんある場所や自分達の穴にもどる近道を記すかについても聞くことになる。
また、ある研究では、ヨウム(洋鵡)が千もの単語を習得し、大人顔負けの話術を学び、オウムは幅広い語彙を使うという通念が再確認された。オウムは人間の5歳児に匹敵する知性を持ち、オウムを飼うことを考えている人は、「小さい子供」を養子にする場合のようにオウムの購入を検討しなくてはいけないという。
●消費者の目覚め
イギリスでは、食品業界と工場式農法の構造に対する消費者の関心がますます高まっており、これについて食品業界が取り組まざるを得ないまさにこの時期に会議が行われる。
スピーカーの中には、マクドナルドの重役や家畜投資などの業務を行っている世界銀行の民間部門の職員も含まれる。また、神学者も、キリスト教やイスラム教の教旨を、動物に対する姿勢を現代の価値観に合わせる、つまり人間に与えられているものと同様の本質的価値を動物に与える必要性について議論する。
この2日間にわたる会議を主催する動物福祉団体 Compassion in World Farming Trust
の最高責任者ジョイス・ドシルバは、政府や企業は動物の感性について本気で取り組む必要がある。というのも、動物の扱いに対する消費者の関心は、これから数十年の間に消費パターンにますます大きな影響を及ぼすようになるからだ、という。
明日、動物福祉に関する超党議員団は、人間用ワクチン開発における動物の使用に関する報告書を発表する予定だ。この報告書は、動物実験の価値に関する議論を再開させるもので、動物を使用しないワクチン検査の新しい方法を早急に開発するよう求めている。現在、EU内では毎年、ワクチン開発に1500万の動物が使用されている。
2005年3月6日
The Observer
http://observer.guardian.co.uk/uk_news/story/0,6903,1431443,00.html
動物の知性と感性に関する国際会議の開催を報じる記事
BBCニュース 2005年4月18日
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