2003年5月28日
スマトラゾウの輸入取り止めを求める要望書
(株)阿蘇熊牧場
代表取締役社長 小笠原徹朗 様
カドリー・ドミニオン
園長 上山栄二 様
(前略)
昨日、インドネシアの学術野生動物保護団体から、ワシントン条約(CITES)付属書Iであるスマトラの野生アジアゾウ5頭
が近日中に貴施設に輸入されるとの情報が届きました。現地では、野生動物研究者たちからもこの輸出に強い反対の声が出ております。
輸入国となる日本においても、当会では、野生動物保護、動物福祉、公衆衛生の観点から、今回のこの輸入(期間限定であっても)を取り止めにしていただきたく要望いたします。またあわせて以下の質問にご回答下さるよう、お願いいたします。
お忙しいところ恐縮ですが、世界的な注目を集めている事例であることをご配慮くだ
さい。
1.野生個体であることの確認ついて
今回、輸入される子供のスマトラゾウ5頭が、野生由来の捕獲個体であることをご存じでしょうか。インドネシアからの情報では、この5頭は野生の個体であるとし、これが事実であるとすれば、CITES7条7項には該当せず、展示目的の輸入は許可されません。速やかにご確認をお願いいたします。
2001年、インドネシアでは、WWF、WCA、FOKSIその他の野生動物保護団体の活動および提言により、野生のゾウの捕獲一時停止が宣言されました。にもかかわらず、有害駆除の名の下に、これらのゾウは商業目的のために捕獲されて
います。
しかし、常に絶滅の危機と隣り合わせにあるアジアゾウをエンターテイメントのために利用、流通させるという行為は、世界中の野生動物の研究者、NGOから批判を浴びております。このことを、貴社はどのように受け止められておられますか。
2.輸送のストレスおよび虐待について
CITESに関わる問題の他に、5頭のゾウが検疫もされずに日本へ輸送されることに非常な危惧を覚えます。
記録によれば2001年以来、南スマトラでは野生で捕獲されたゾウが死亡しているとされます。現地の新聞報道によると、5月31日にスマトラからジャカルタまでは陸路輸送され、6月2日に、ジャカルタから関西空港に輸送するとのことですが、休息もないこの強行日程では、おそらくすでに弱っているゾウにとっては大変なストレスでしょう。
輸送に関わる動物ストレスの問題については、CITESにおいても、輸送や世話において、管理当局が、傷を受け、健康を損ね、もしくは虐待をされる危険性を回避するべき配慮がされているかどうかを確認することが定められています。
しかし、現地からは、日本に送られるゾウたちが激しい虐待を受け傷を負っている 映像が送られてきています。
貴園では、この点を事前に調査されておられるでしょうか、お知らせください。
3.検疫の有無について
現在、世界的なトピックとしてSARSが大きな話題となっております。
SARSウイルスの世界的蔓延に伴い、各国政府が渡航の自粛を呼びかけているのが現状です。さらに、野生動物がSARSのキャリアではないかという疑いが浮上して、調査が進む中、日本でも検疫問題、野生由来の動物輸入問題が、政府でも一般国民のあいだでも広く論じられるようになっております。このようなかで、現在、野生由来の動物を、きちんとした検疫システムの無い日本に導入するという行為は、多くの同意を得られるとは思いません。
当会としては、貴社に、世論を考慮した上、人獣共通感染症の観点からも、ゾウの導入をやめることをお願いしたく存じます。貴社の見解をお聞かせいただきたくお願いいたします。