2008.11.27 ブルームバーク・ニュースより：記事の要旨
2009年1月、39トンの象牙がアフリカから日本に入港する。この象牙は9年ぶりに実施された競売で、落札したものだが、今回は競売に中国が参入し、価格の上昇を招いた。取引再開で密猟を助長するという危惧の声もあり、象牙ビジネスは新たな局面を迎えた。
ワシントン条約で象牙の国際的な商取引が全面禁止となったのは1989年。現在は製造業者を登録するなど適正な管理体制を確立した国に限り象牙取引を認めている。99年には世界で唯一日本が象牙の輸入国として認められ、アフリカ３国から49トンの象牙を輸入した。今回はそれに続く２回目の輸入だ。
日本では象牙の大部分が印鑑製造に使用される。象牙業界は、「象牙がなくなると心配していたが、一呼吸つける」と歓迎。ただ、今回競売を実施したアフリカ４カ国は、今後９年間は競売を実施しない。次に象牙を仕入れることのできる時期は未定だ。
一方、象牙取引の再開は密猟を助長させると危惧する声も出ている。ＮＰＯ法人で野生生物保全論研究会（ＪＷＣＳ）の坂本雅行事務局長は、「象牙市場が開いてしまえば、マーケット参入を狙い、より安くより質の高い密猟象牙を供給しようという違法業者を活性化させる懸念は強い」と警鐘を鳴らす。2006年には大坂南港で過去最大の３トンもの象牙の密輸事件が摘発された。
動物保護民間団体の地球生物会議（ＡＬＩＶＥ）の野上ふさ子代表は、「アフリカでは密猟がいまだに行われており、銃や麻薬と並び、野生動物の売買は世界３大悪の一つ。少なくとも生活必需品でないもののために野生動物を使う必要はない」と訴える。国際動物福祉其金（ＩＦＡＷ）によると、アジア市場では象牙が１キロ当たり850ドル以上の高値で取引されているという。
象牙消費大国としての日本－－中国の新規参入で、象牙の安定的な確保が困難となるなか、経済活動としての象牙取引と野生動物保護とのバランスをいかに保てるかが問われている。
＜講演会＞
「ゾウについて知ろう」マイケル・ワミチさん講演の要旨
＜インタビュー＞
象牙のハンコ（印鑑）のためにゾウが殺されていることを知ってほしい
ALIVEの紹介 