絶滅の危機にあるボルネオゾウの輸入に問題あり
2003年の10月、ゾウの保護に係わる国際的NGOより、マレーシアのボルネオ島サバ州の野生のアジアゾウが日本の動物園に送られる予定だとの知らせを受けました。当会では現地の動物保護団体と連絡を取り合いながら情報を収集し、要望書を各関係省庁へ送付しました。
なお10月30日、環境省によりボルネオゾウの輸入許可は認可されなかった旨、確認されました。
ボルネオ産野生ゾウの輸入許可に関する要望書
■ボルネオゾウについて(ニューヨークタイムスなどからの抜粋要訳)
1.CITES 1類に属するアジアゾウは非常に厳しい条件下でのみの輸出入が許可されており、 Article III, paragraph 2a には「輸出はその種の生存を脅かすものであっては決し てならない。」と
記載されています。
ボルネオゾウは他のアジアゾウ亜種とは遺伝子的に異なるものであることが判明しており、アジアゾウの中でもその保全を最優先に行なうべき動物であると指摘されています。
18世紀にボルネオへ導入されたゾウであるという以前の仮説とは反対に、このゾウはボルネオ島固有の動物であり、少なくとも18,000 年をかけて独自に進化してきたということが明らかになっており、他のアジアゾウとは別枠で管理する必要があるとされているのです。
現在1,000 頭から 2,500 頭のみの生息が確認され、生息域も非常に限定、細分化されており、ボルネオ島北東部の5%の地域に限られています。さらに遺伝子多様性も非常に低く、従って(ゾウの遺伝子は)大変傷つきやすいものなっています。
またその生息地は、伐採や森林のプランテーションへの転換などのために急速に減少しており、これに加え、ゾウの殺戮や野生ゾウの捕獲といった脅威にもさらされています。
2. CITESの Article III, paragraph 3cには、1類の動物に関しては、商業目的を主にした場合でな い限りにおいて、輸入が許可されるべきである、と記載されています。
今回の輸出は繁殖目的ということだったのですが、 CITES Resolution Conf. 5.10 Annex, paragraph e) には、繁殖を目的とするいかなる輸入は Res. Conf.2.12において要求されているよ うにその種の長期に渡る保護ということを目的 にしなければならない、と記載されています。
しかし、生息地以外でのアジアゾウの繁殖は一般的に非常に限定されており、加えてボルネオゾウの場合はその独自の遺伝子から慎重を期すべきです。研究者たちはボル ネオゾウに関しては 生息地での保全が必要であり、その遺伝子の独自性から他のアジ アゾウとは別枠で管理されるべきであ ると主張しています。
さらに、このゾウの遺伝子多様性が非常に限定されたものであることから、12頭あるいはそれ以下の数のゾウが異なる施設での飼育下において繁殖を試みられるという保 全の方法にも大変な 疑問が生じます。
最後に、CITES Resolution Conf. 5.10 Annex, paragraph e) には「基本的には、輸入は種の回復を目的とした一般的なプログラムの一部として行なわれるべきである」
と記載されていますが、かつて上記のようなプログラムがボルネオゾウのために存在したことはありませんでした。