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CSテレビ 朝日ニュースター  「ザ・ディベート」 1996年5月放映

動物実験の是非を問うディベート(その1)

ALIVE 1996.7  No.2 より

日本は、先進国の中で唯一、動物実験に法規制のない国です。
そのため、日本ではどのような場所で、どのような動物が、どれほどの数、
どのような実験に使用されているか等が、まったく把握されていません。

動物実験の是非を問うためには、まず基礎となる実態の把握が必要ですが、
日本ではそれを可能とする法的制度がいまだ存在しない状態です。
1996年にテレビで放映されたディベート番組でもこのことを指摘してきましたが、現状は
ほとんど変化がないために、その内容をここに掲載しました。(2008.1.5)


ディベーター
佐藤温重(東京医科歯科大学教授・日本動物実験代替法学会)※肩書きは1996年当時
野上ふさ子(地球生物会議)
司会: 石田勲(朝日新聞記者)



動物実験の実態について

司会 動物実験の実態について、まず、どういったところで実験が行われているのか、 またどういった問題点があるのでしょうか。

野上 動物実験は、ふつうは医学や薬学のために行われていると思われているのです が、私たちの日常生活の面でも非常に深い関わりがあります。たとえばこの写真で示 したように、私たちの生活や生きるために必ずしも必要でないもの部分でも、たくさ んの動物実験が行われています。

(写真)
 おもちゃや塗料の毒性試験で苦しむビーグル
 化粧品・洗剤の毒性試験で苦しむウサギ
 タバコの無害・有害実験に使われるサル
 脳に電極を埋め込まれたネコ

 たとえば化粧品や洗剤の動物実験です。これは人の皮膚に触れるものに毒があるのではないかということで毒性実験が行われますが、大量の化粧品や洗剤が河川に流されるために、水質汚染や環境破壊にもつながっています。タバコの実験もあります。タバコが体にいいという人も、また悪いという人も、それぞれ両方の立場から動物実験をして、それぞれ自分の立場に有利な証明を得ようとしています。それから、おもちゃの実験。子度たちが口にする恐れがある塗料などの毒性を調べます。また最近流行っている抗菌剤入りのおもちゃや文房具、衣服などにも実験が行われています。猫の頭に電極を埋め込む実験。これは脳神経系の実験です。脳に電極を差し込んで刺激してどのような反応を起こすか調べる。これはほとんど人間の医療や精神的な病気に関係がない、好奇心のための実験であると思われます。
 このように、動物実験は医学ばかりではなく、身近な生活に関わるところで行われており、私たちのライフスタイルに関係があるわけで、無関心ではいられない問題でもあります。

司会 その中で欧米と比較した場合に、動物実験の進め方に違いがあると聞いている のですが、具体的に日本と欧米とはどういう形で違いがありますか。

野上 日本では、動物実験についての許可制あるいは審査制度というようなものが何もありませんので、誰でもがやりたい放題やれるというシステムになっていると思います。たとえば、医学部・薬学部・あるいは理学部などに入ったばかりの、何の訓練も受けていない、動物の生態について何の知識もない学生たちが、いきなり動物を使ってすぐに実験をすることが許されています。

(表:「各国における動物の科学的使用に関する法規」)

 ここに動物実験に関する各国の法律の違いがまとめてあります。欧米諸国では動物実験をする人たちあるいはその機関に免許制度があり、資格や免許がなければできない、それから動物実験そのものを監視する制度などもあります。
 また、動物に苦痛を与えてはいけないというガイドラインや、どうしてもその実験が必要なのかどうかを審査する機関もあります。動物実験倫理委員会の中には、外部の人たちも入っています。スウェーデンなどでは動物保護団体のメンバーが半分近く入っているわけです。そういう仕組みによって、動物実験が密室の中でやりたい放題に行われることを防ごうとしているわけです。
 それから、動物に苦痛を与えないという意味での麻酔措置についも、日本では特に法で定められているわけではありません。
 動物実験の記録の保管やデータベース化についても、日本では整備されていないために、各機関によって同じような実験を重複して行っているという側面があります。
 この表でわかるように、日本はなに一つ動物実験について法整備がない。諸外国と比べると遅れているというのが実態となっています。

司会 佐藤先生は、こういった動物実験に代わる代替法の研究をされているということですが、動物実験に対する基本的なお考えと、また代替法についてご説明ください。

佐藤 動物に対する人道的な扱いについては、イギリスでもっとも発達しております。 英国人の情感として動物実験に対する反対の機運は強いようです。そういう国民性も あって1959年頃から動物実験を人道的に行おうという、「人道的実験手技の原則」 を、ラッセルほかの方が提唱しています。

 その原則は3つあり、一つは動物実験に代わるものに置き換えていこうということ で、狭い意味で代替法はこれをさしています。二つめは、使用する動物の数をなるべ く少なくするということです。三つめは、なるべく動物に苦痛を与えないような実験 手技をとるということです。この3つを英語の頭文字をとって、3Rと呼んでいます。
 このように実験をする側の人々も適正な動物実験をしようというようになっている のではないかと思います。この3つの原則を含めて、広い意味で動物代替という概念が育ってきています。

動物実験に対する考え

司会 ここで動物実験の是非について、それぞれのお立場を述べていただきたいと思います。

野上 私は動物実験の反対運動をちょうど10年前から始めたわけですが、最初は一般の人々と同じで実験についてはほとんど何も知らなかったのですが、アメリカで公表された動物実験の実態ビデオを見て、大変なショックを受けました。余りの残酷さに目をそむけるようなシーンの連続でした。動物実験は医学の進歩に貢献しているというきれいごとの、その背後にこんな残酷なことが行われていることを、全然知らなかったわけです。日本でも、この事実を知らせ、動物実験がどういうものかもっと考えていく機運をつくるべきだと考えました。

 そこで私たちが会を始めたときに3つの方針を立てたのですが、1つは実態を知るということです。私たちの知らないところで動物がたくさん犠牲になっている、しかも、その犠牲は私たちの税金や消費行動によって支えられているということをまず知った上で、選択していきたいと考え、可能な限りいろいろな資料を集めたり、実験施設を訪れたりして、実態を知ることに努めました

 2つめは、残酷・無益な実験から無くしていこうということです。私自身もいろいろな論文を読んで、素人でもこんな研究に何の意味があるのかというようなものが余りに多いことに気づきました。とにかく無くせるところから無くしていこうとことです。

 3つめは、すべての生命の尊重ということです。これは私自身、長年環境保護の活動に関わってきた立場からですが、地球的規模での環境破壊はもう破滅的なところにきていると思います。これは動物実験に限らず、野生動物の絶滅など、生態系の連鎖が破壊され、それが回り巡って私たちの生存を脅かすような事態になっています。

 人間の生きる姿勢として、基本的に動物の犠牲のない生活を心がける、あるいはできるだけ自然環境にダメージの少ない生活を心がける、そういうことを私たちが意識することによって、少しでも世の中の破局的な側面を救っていけるのではないかということで、この3つめの理念をかかげました。この3つの方針のもとに、10年間、さまざまな活動を進めてきたわけですね。

司会 佐藤先生は、研究者のお立場で、今の現状の動物実験を、どういった点で必要であり、また問題点があるとしたらどこか、あげていただきたいのですが。

佐藤 動物実験で安全性が確かめられているものをここにあげてみました。

(表:「動物実験で有効性・安全性を確認している化学物質」)

 医薬品・動物医薬品・化粧品・歯科材料・農薬・食品添加物・家庭用に使用されている化学薬品など、こういうものをわれわれが使用する前に、すべて動物を使った試験が行われているわけです。

(表:「医薬品の製造承認の過程」)

 行われている手順は、次のようになっています。まず新しい化合物が合成されると、動物実験でそれが効き目があるかということを調べます。効き目があるものについて、次に、これは人に与えて危険はないかということで、動物を使って安全性の確認を行います。それからさらに、人で有効性や安全性の確認をします。この場合の人はボランティアです。

 こういう全体のデータを、中央薬事審議会などで評価をし、そこではじめて製造承認されて、その上で新しい薬として市販されます。市販後も、今度は追跡調査が行われ、安全性が確かめられています。

 今、動物試験を止めてしまうと、この新しい化合物をいきなり人間にあてはめなければならないということになります。20世紀になってから、いきなり人間でやることは倫理的に許されない、身代わり的ですが動物で予め調べようという考えが確立して、これが今日一般的に行われていることです。

 新しい有用な物質がでてきたときに、動物に全然テストをしないで、あなたはその投与を受けることを了承しますかと質問されたら、やはり 皆さんはちゅうちょするだろうと思います。そのちゅうちょが、動物を犠牲とすることになってきた。私が個人的に考えても、最小限そうした過程を経ないで、人間にいきなり投与することは無謀ではないかと思います。

新薬開発の問題

野上 それについての私の意見ですが、まずこの表のような新薬の開発の過程そのものにいろいろな問題があると思います。
 まず第一に、医薬品がそれだけ必要かどうかという問題があります。今、日本で承認されている医薬品は約1万5千種類くらいあると言われていますが、実際に人間の医療に必要な医薬品はWHOの資料では500種類くらいであるとされています。そうすると、なぜこれからもそんなに大量の医薬品を新たに開発する必要があるのでしょうか。それは医療に必要と言うよりは、例えば薬価の問題などで、常に新薬を次々と開発していかないと企業が儲からないという仕組みの中で、つくられている部分があるのではないか。

 次に、「動物試験その他の試験で有効性の確認」とありますが、ある種の動物で有効性が出たとしても、人間で有効性があるかどうかはわからないと思います。「種の壁」ということがよく言われます。今話題の狂牛病は人間にはそう簡単にうつらない、種の壁があるからと言われます。ところが一方では、動物実験をしてそのまま人間にも適用できると言います。そこには種の壁はないかのようです。つまり、その時々の
産業の利益なりそれを必要とする人々の恣意的な判断によって、それが勝手に動かされているのではないか、と思います。

 また、安全性の確認と言われますが、これは安全性試験というより、毒性試験だと思います。すべての医薬品は、本来毒物でもあるという前提があります。それをどの位の量用いたら、人間に有害性が出ないか、副作用が少なくてかつ効果が出るかというその接点を探すものであって、安全性の試験ではありません。   

 次に、人、ボランティアで有効性や安全性を確かめると言われますが、確かに動物実験の次に行う第1相試験はボランティアかもしれませんが、その次は病人で治験(人体実験)を行うわけです。新薬の開発にあたって、きちんとインフォームド・コンセントがなされていないということがよく指摘されています。新薬についての正確な説明がなされないまま患者に投与されているという問題があります。

 また、中央薬事審議会でのデータの評価についても、審査機関としての信頼性はしばしば問題になるところです。国際的にも日本の新薬の評価の基準が信頼されないために、日本の薬は海外に輸出されることがあまりありません。

 そういうことで、この新薬の開発の課程自体に問題がある。そしてこの過程の中で、無数の無益な動物の犠牲、そして人間の被害も出ているのではないかというのが私の立場です。

いきなり人間で実験か?

佐藤 私が一番言いたいことは、ではこういう動物の試験を全部省略してしまって、いきなり新薬を使うことは可能なのか、ということです。

 今の野上さんのお話で、有効性の確認には「種差」があって難しいのではなないかということがありました。確かに、動物と人とは違う点があることは否定できない。しかし、共通な部分があることも否定できないわけです。たとえば、すべての生物はDNAを持っているというような、一元的な部分もあります。今薬の効き目を調べる人たちが基本的に考えていること、あるいは仮説として基本的に採用しているのは、 人と動物の間には差もあるが、共通する部分もある、それ故にいままで有効な薬も認められてきたのだろうと思います。

 安全性の確認は、確かに毒性の確認だと言うのは、その通りです。毒性は動物で調べられますが、安全性というのはそれを評価した上導き出される結論であるわけです。一般的には動物と人間では種による違いがあるとか、体重が違うとか、薬物・化学物質を排泄・吸収するのが違うということで、安全係数をかけた数値を出します。たとえば、死亡の毒性試験の場合、この動物が死亡してしまう薬物の濃度の最小用量が決められたとすると、それを百分の1にした数値とします。これは経験的なものですが、個々のデータが無い場合は、動物に障害が出る量の千分の1の量を、経験的にだいたいそのくらいの量で安全が確認できるということで、WHOでも定めています。ですから、動物で試験したものは確かに毒性の評価で、それに今のような係数をかけるなりして安全性を決めています。しかし、いずれにしても動物を使っているので、安全性と書かせていただきました。

 それから中央薬事審議会のデータの評価が日本では甘いのではないかということですが、私も中央薬事審議会の歯科調査会の委員をずっと勤めており、私の知る限りでは国際的にきつすぎると言われていました。こんなに厳しいと、メーカーの開発意欲をそぐものだというようなご指摘を受けています。

野上 医薬品については、そのように聞いていないのですが。たとえば、日本の医薬品については輸出よりは輸入の方がずっと多いと思います。

佐藤 日本だけで通じるようなやり方はあまりないのではないでしょうか。医薬品も含めて、国際的に通じないやり方でやったら、輸出もできないのではないでしょうか。

実験の密室性が問題

野上 国際的なハーモニゼーションといっても、動物実験についても基準が全然日本にはないわけです。そうすると、そのような研究が国際的に評価されるかという問題になってくると思います。厳密な第三者機関がないと評価されないと思います。

 たとえば、動物実験委員会に外部の人が入っている大学や研究機関は一つもないと聞いています。ある国立大学の学生から非常に残酷な実験をしているということを聞きましたので、私が電話で大学に実験委員会のメンバーと審査の内容を教えてほしいと頼みましたら、メンバーは非公開である、もちろん審査の内容も教えられないというのです。そうすると、いったい何のための委員会ですか、何を審査しているのですかという疑問を感じざるを得ないのです。

(その2に続く)

動物実験の是非を問う(その1)

動物実験の是非を問う(その2)

動物実験の是非を問う(その3)

 

 


 
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