2003年5月20日付けの北海道新聞で、函館市熱帯植物園のサルが実験用に京都大学霊長類研究所に譲渡されることが報道されました。当会では、以下の要望書を函館市長にお送りしました。
熱帯植物園におけるニホンザルの飼育に関する要望書
函館市長 井上博司 様
(担当部署:函館市水道局温泉課)
このほど、貴市営熱帯植物園で飼育されていたニホンザルが、増えすぎたことを理由に、京都大学霊長類研究所に実験用に譲渡されるとの報道がなされています。
当会では、以下の理由でこの計画を中止していただくよう、強く要望いたします。
1、適切な繁殖制限措置を
植物園の担当部署に電話でうかがったところでは、このサルはそもそもどこで捕獲された個体であるかといった来歴が不明とのこと。また、1971年に飼育を開始して以来現在に至るまで個体管理を一切してこなかったため、雄雌の区別も、年齢も不明であるとのことでした。単にサルを狭い檻に入れて餌を与えるだけで34年間が過ぎ、増えるにまかせていたために、昨年は140頭にも達し、40頭を韓国の動物園に譲渡したとのことです。
まず、何よりもこのような無責任な飼育体制への反省の上に、今からでも遅くはありませんので、個体管理および識別作業に着手すべきです。そして繁殖期にある個体に対しては、適切な繁殖制限措置を施し、これ以上の増加を防ぐ必要があります。個体管理がなされないままやみくもにホルモン剤等を投与しても効果は期待できません。
2、実験譲渡計画の取りやめを
このサルは文部科学省の「ナショナル・バイオリソース・プロジェクト」における遺伝子資源の収集のために使用されると報じられていますが、かつて個体識別がなされたことがなく、由来も病歴も不明のサルが、なぜその対象とされるのか、理解に苦しみます。
しかも、このサルは鹿児島県奄美大島の専用繁殖施設で繁殖させられるとのことです。おそらくこれを母群として、生まれた子ザルを実験用に供給する計画であると考えられます。
日本には動物実験に関しては、飼育施設や動物供給業者に関してのみならず、実験そのものに対してもいかなる法規制も存在しません。今後、サルたちがどのような痛みや苦しみに満ちた実験に使用されるのか、誰も知る菅がないのです。
このような事態の中、「増えすぎていらなくなったから動物実験に渡した」などという大人のあまりに身勝手な行為をどうやって子供たちに説明できると言うのでしょうか。
動物愛護施設として定義されている動物園の展示動物を実験用に供給することは、動物福祉の観点からも、教育的観点からも、容認しがたいものがあります。
3、サル山の閉園、飼育の廃止計画を
貴園では、今後は速やかに、動物に苦痛を与えない方法でサルの繁殖を制限する措置を取り順次その数を減少させて、いずれはサル山を閉園するという方向で、長期的計画を立てられるよう、要望いたします。
私たちは、人間の一時の娯楽のために、日本列島に棲息する貴重な野生動物を見世物として終生監禁するという悪習が、一時も早く廃止されることを心から願っております。