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2003年6月10日付けの北海道新聞で、函館市熱帯植物園のサルに続いて、札幌市立円山動物園のサルが実験用に京都大学霊長類研究所に譲渡されることが報道されました。当会では、以下の要望書を札幌市長にお送りしました。
写真:円山動物園のサル |
平成15(2003)年6月16日
円山動物園におけるニホンザルの飼育に関する要望書
札幌市長 上田文雄 様
円山動物園園長 北村健一 様
このほど、貴市動物園では飼育ニホンザルが増えすぎたことを理由に、京都大学霊長類研究所に実験用に譲渡されるとの報道がなされています。
当会では、以下の理由でこの計画を中止していただくよう、強く要望いたします。
1、適切な繁殖制限措置による個体数を減少を図ること
新聞報道によれば、貴園のサル山は広さから算定すると、飼育数が100匹が限
度ですが、95年頃から100匹を越す状態が続き、過密状態で生息環境が悪化しているにもかかわらず、今年も子ザルが生まれ、増加傾向が続いているとのことです。
貴園では、96年から避妊手術などの対策を講じているとのことですが、今後とも適切な個体管理と繁殖制限を行うように求めます。これを数年続ければ、個体数は減少に転じ、過密状態も緩和されていくでしょう。
増えたら実験動物として譲渡すればいいという安易な考えは、あたかもいらなくなった犬猫は保健所に持っていけばいいと言っているのと同様で、終生飼育を義務付られている飼育者としての保護管理責任をないがしろにする行為です。
まして動物園は、種の保存や環境教育、動物愛護の啓発普及などを任務としており、市民の税金で運営されている貴園でこのような無責任な行為を行うことは、市民の信頼を甚だしく裏切るものです。
2、実験譲渡計画を取りやめること
このサルは文部科学省の「ナショナル・バイオリソース・プロジェクト」における遺伝子資源の収集のために使用されると報じられていますが、当会では動物園の「余剰動物」を実験動物として提供することに反対しております。
日本には動物実験に関しては、飼育施設や動物供給業者に関してのみならず、実験そのものに対してもいかなる法規制も存在しません。今後、サルたちがどのような痛みや苦しみに満ちた実験に使用されるのか、誰も知る術がないのです。
このような中、「増えすぎていらなくなったから動物実験に渡した」などという大人の身勝手な行為をどうやって子供たちに説明できると言うのでしょうか。
動物愛護施設として定義されている動物園の展示動物を実験用に供給することは、動物福祉の観点からも、教育的観点からも、容認しがたいものがあります。
3、サル山の閉園、飼育の廃止計画をたてること
貴園では、今後は速やかに、動物に苦痛を与えない方法でサルの繁殖を制限する措置を取り順次その数を減少させて、いずれはサル山を閉園するという方向で、長期的計画を立てられるよう、要望いたします。
私たちは、人間の一時の娯楽のために、日本列島に棲息する貴重な野生動物を見世物として劣悪な環境下に終生監禁するという悪習が、一時も早く廃止されることを心から願っております。
以上に関して、貴園のご見解をうかがいたく、お返事をお待ちいたします。