昭和25年に制定された狂犬病予防法によって、徘徊犬の捕獲や抑留が行われてきました。捕獲された犬は2日の間公示され(役場や保健所などに張り紙が出される)、その間に飼主が引き取りにこないと、3日目には殺処分されるのです。
犬の抑留所は処分施設でもあり、人里離れた場所にあり、暗く、狭く、不衛生な場合が多いものでした。
昭和48年に、動物の保護及び管理に関する法律が制定され、行政による犬猫の引取りが行われるようになったとき、その引取り施設は従来の犬抑留所をそのまま使用することになりました。
国の補助金で、動物保護(愛護)センターなどという名称の集中管理施設が建設されてきましたが、その業務の内容は殺処分と動物実験への払い下げが大部分で、犬猫の命を助けるという施策は常に後回しにされてきました。
いま、社会的な意識が変わり、行政が引き取った犬や猫をできる限り新しい飼主に譲渡しようという取り組みがなされるようになりつつあります。
一方、環境省告示「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」では、引き取られた所有者不明の犬猫の保管期間を狂犬病予防法に準ずる措置をとるようにするとしています。本来、目的の異なる法律であるにもかかわらず、なぜ、狂犬病予防法に準じなければならないのか、不明です。
一般譲渡(里親探し)を進めるためには、現行の3日間の保管ではあまりに期間が短すぎるので、この期間を自治体の判断で延長できるようにするべきです。
それと同時に、犬猫の一定期間の収容を可能とするためには、保管収容施設の改善が不可避です。
建築後数十年を経て老朽化した、殺処分専用の時代遅れの施設を、動物の一時保護救護施設(シェルター)へと転換させていくべきときがきています。