前回までの記事でお伝えしているように、文部科学省は動物性集合胚(ヒトの細胞を混ぜ合わせた動物の胚)の規制緩和(動物胎内への移植や個体産生の解禁等)の検討について、最終取りまとめ段階に入っています。
前回の記事で少し触れたように、昨年(2017年)11月に開かれた第102回特定胚等研究専門委員会で示された取りまとめ文書
「動物性集合胚に係る主な論点と今後の対応の考え方(案)」には、これまで長年にわたる議論で積み重ねられてきた方針を無視し、突然に方向転換している点が多々あります。
具体的には、個体産生や霊長類の使用、生殖細胞や脳神経細胞等を作成する研究について、今までの議論では、禁止も含め慎重に検討すべき、あるいは段階的に拡大していくのが適当などとされていたのに対し、上記の文書では、いずれも容認し得るとされています。
これまでの議事録を読んでも、これらの論点がいつ、どのような根拠で方針転換されたのかが全く不明です。
委員会(審議会)の事務局である文部科学省(ライフサイエンス課)が独断で案を示して、委員が特段の議論もないままに追認しているだけというふうにしか見えません。
これらの点について、今まで内閣府(生命倫理専門調査会)や文部科学省の作業部会、委員会で出された議論の取りまとめ文書との比較を行い、疑問点や矛盾点について、25項目の質問事項として、文部科学省特定胚等研究専門委員会(主査)と、その事務局であるライフサイエンス課(課長)に宛てて
質問書を提出しました。
市民のみなさまもぜひご覧の上、文部科学省と関係委員へ意見を送っていただけますと幸いです。
意見提出先や例文など詳細は以下をご覧ください。
http://www.alive-net.net/animal-experiments/animal-human-chimeric-embryo/action_171116.html
※2018年4月追記:文部科学省から回答がありました。こちらをご覧ください。
<以下、当会が提出した質問書>
2018年01月08日
文部科学省 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会
特定胚等研究専門委員会
主査 髙坂新一 殿
同委員会事務局 文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課
課長 永井雅規 殿
(回覧希望)
文部科学省 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会
部会長 福井次矢 殿
特定非営利活動法人 地球生物会議(ALIVE)
〒160-0008 東京都新宿区三栄町6 オグラビル203号室
TEL:03-5315-4247/FAX:03-5315-4248
E-mail:alive-office@alive-net.net
動物性集合胚の取扱いに係る取りまとめ資料に関する質問書
当会は、地球上に生息するすべての生物が尊重される社会を構築することを理念として、動物、生命、環境に関する問題の実態調査および改善提言等を行っている非営利団体です。
貴省において検討されている動物性集合胚の取扱いの見直しに関し、検討作業の取りまとめ資料として、特定胚等研究専門委員会から最近出された「動物性集合胚の取扱いに係る総合的検討について(たたき台)」(第101回配布資料)及び「動物性集合胚に係る主な論点と今後の対応の考え方(案)」(第102回配布資料)について、これまでの貴省における議論や、内閣府総合科学技術・イノベーション会議 生命倫理専門調査会における議論及びそれらの取りまとめを反映していない、あるいは相反すると思われる点が多々見受けられます。
扱っている内容の重大さにも関わらず、これまでの長期に渡る貴省および内閣府における議論の経緯や検討結果が無視され、方針の変更がいつなされたのか、どのような根拠でなされたのかもわからないままに、突然このような取りまとめがされていることに対して驚くとともに、深い憂慮と危惧を覚えています。
つきましては、これらの件に関して、別紙の質問事項を提出させていただきますので、お忙しいところ恐縮ですが、内容をご確認の上、
2月23日(金)までに文書にてご回答をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。何卒、真摯なご対応をよろしくお願い申し上げます。
以上
<質問事項>
以下、これまでの関係調査会、部会、委員会で取りまとめられた資料ごとに、各該当箇所に対応する質問事項を列挙させていただきます。質問事項のうち、「総合的検討」は「動物性集合胚の取扱いに係る総合的検討について(たたき台)」(特定胚等研究専門委員会第101回配布資料)を指し、「今後の対応の考え方」は「動物性集合胚に係る主な論点と今後の対応の考え方(案)」(特定胚等研究専門委員会第102回配布資料)を指すものとします。
○動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて(平成25年8月1日 生命倫理専門調査会)
該当箇所 |
質問事項 |
P7
動物性集合胚の動物胎内への移植を認めるためには、発生する個体が人にならない、またはヒト性が大きくならず、人の種としてのアイデンティティを侵害するおそれがないことを科学的に説明する必要がある。 |
質問1
「総合的検討」では、ヒトと動物との境界が曖昧となる個体の産生について、特殊な動物実験の例を示しただけで「可能性は極めて低い」などと断じていますが、「科学的な説明」は行われていないと考えます。(例えば、ヒト由来の脳神経細胞の影響について、「脳のサイズ、大脳皮質の容量及び機能等」がヒトと動物で異なることを挙げていますが、なぜ「脳のサイズ、大脳皮質の容量及び機能等」がヒトと動物で異なることによって、ヒトのような認知機能を持つ動物が生まれないのか、その科学的メカニズムが全く説明されていません。)この点を如何お考えでしょうか?(これから議論や説明がされるのであれば、それも含めて。)
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P7
クローン技術規制法や同法制定時の「国会附帯決議」の趣旨に反することなく動物性集合胚の動物胎内への移植の研究を認めるには、次のような要件が必要と考えられる。
① 不必要な個体産生を防止する措置がとられること
② 個体産生を認める場合、発生した個体が、ヒトの種としてのアイデンティティの侵害の意味で、「人の尊厳」を侵害するものとなるおそれがないこと
③ 研究が、科学的合理性と社会的妥当性とを有し、「人の尊厳」を侵害するものではないこと
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質問2
「今後の対応の考え方」では、生殖細胞や脳神経細胞等及びそれ以外の細胞・臓器を作成する研究について、「個々の研究計画ごとに、当該研究の科学的合理性や必要性等について審査を行う」とされており、左記の意見と比較すると、「社会的妥当性」の観点や言葉が入っておらず、「必要性」という言葉に置き換えられてしまっています。「社会的妥当性」と「必要性」は異なります。「社会的妥当性」を担保する方法について如何お考えでしょうか?また、個々の研究計画ごとに審査するにしても、「社会的妥当性」の有無の判断基準がなければ、判断できないと考えます。「社会的妥当性」の有無の判断基準について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P7
動物性集合胚に係る研究において、ヒト細胞由来の脳を作成すること及びそれに関する研究には、個体産生に至らない段階でも規制すべき研究がある。
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質問3
「今後の対応の考え方」では、脳神経細胞等を作成する研究について、左記の「個体産生に至らない段階でも規制すべき研究がある」という意見が全く反映されていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P8
動物性集合胚を霊長類の胎内へ移植する研究については、特に慎重な配慮が必要である。
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質問4
「今後の対応の考え方」では、脳神経細胞等を作成する研究について、「霊長類の胚を用いて個体産生を行う研究の審査にあたっては、個体産生の必要性等ともに、先行研究等の状況を参考に人と動物の境界が曖昧な個体の産生がないことを確認する。」との記載があるだけで、「特に慎重な配慮」が反映されているようには思えません。また、胎内移植だけでなく、個体産生についても容認されています。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P8
動物性集合胚に係る研究における個体産生の検討に於いては、動物愛護の観点からの配慮も必要となる。
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質問5
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、左記の観点が全く反映されていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P8
動物性集合胚の動物胎内への移植等の具体的要件については、英国医学アカデミー報告(平成23年)の「ヒトの要素を持つ動物(Animals containing human material)」の分類に関する提言等も参考にして検討すべきである。
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質問6
英国医学アカデミー報告(2011年)の分類では、(移植したヒト細胞が、発生する胎仔の「センシティブ」な表現型を変化させないことについて確実な根拠なしに、)「ヒト以外の霊長類とヒトのES細胞または多能性幹細胞を混合して得られた胚を、発生から14日以降、または原始線条形成の最初の兆候が現れた段階(どちらか先に生じた方)以降も発生させること。」を禁止すべきカテゴリーに分類しています。しかし、「今後の対応の考え方」では、霊長類の胚を用いて個体産生を行う研究まで容認し得る案となっています。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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同上
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質問7
英国医学アカデミー報告(2011年)の分類では、「ヒト由来神経細胞のヒト以外の霊長類への移植であって、国の専門機関において、「人間のような」ふるまいを生み出す等ヒト以外の霊長類の脳の重要な機能的改変をもたらす可能性があると判断されたもの。」を禁止すべきカテゴリーに分類しています。しかし、「今後の対応の考え方」では、この点への方策について触れられていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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同上 |
質問8
「今後の対応の考え方」では、英国医学アカデミー報告のように規制の段階によるカテゴリー分けがなされていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P8
動物性集合胚は、動物胚の性質を有するものであるが、その動物への胎内移植により、人の尊厳の保持等に影響を与えるおそれが皆無でない。
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質問9
「総合的検討」では、ヒトと動物との境界が曖昧となる個体の産生について、「可能性は極めて低い」としており、左記の生命倫理専門調査会の見解「人の尊厳の保持等に影響を与えるおそれが皆無でない」という側面を反映していません。このような取りまとめ方は、物事の都合の良い側面のみを取り上げ、リスクを無視し、結論を特定の方向に誘導する公平さを欠いたものだと思われますが、如何でしょうか?
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P9
人と動物との境界が曖昧となる個体を産生することによって人の尊厳を損なうおそれのないよう、科学的合理性、社会的妥当性に係る一定の要件を定め、それを満たす場合に 限って、動物胎内への移植を認めることが適当である。
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質問10
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「科学的合理性、社会的妥当性に係る一定の要件」にあたるものが見当たりません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
|
P9
動物性集合胚の動物胎内への移植を認めるための要件の検討に当たっては、次のような点について、慎重に検討することが必要である。
① 禁止又は一定の制限を設けるべき動物胚の種類、移植先の動物の種類。特に 霊長類の扱い
② 禁止又は一定の制限を設けるべき、集合させるヒトの細胞の種類又は作成目的とするヒトの細胞・臓器の種類。特にヒトの脳神経細胞・生殖細胞を作成対象とすることの扱い
③ 移植した動物性集合胚を特定のヒト組織・臓器に分化させる技術の精度
④ 動物胎内移植後の研究に必要な期間の範囲
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質問11
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、左記の③については全く触れられていませんし、①、②、④についても具合的な「要件」についてはほとんど示されていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P9
動物性集合胚の動物胎内への移植の是非について、個別の研究計画ごとに適切に判断できるような体制・運用の在り方を検討することが適当である。
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質問12
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「個別の研究計画ごとに適切に判断できるような体制・運用の在り方」について全く触れられていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P9
意図しない個体発生が起こった場合の対応について検討することが必要である。
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質問13
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「意図しない個体発生が起こった場合の対応」について全く触れられていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P9
動物性集合胚の動物胎内への移植の是非の検討においては、動物愛護の観点からの必要な配慮をすることが適当である。
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質問14
質問5に同じ。
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○動物性集合胚の取扱いに関する作業部会における調査・検討状況について
(平成26年5月29日 動物性集合胚の取扱いに関する作業部会)
該当箇所 |
質問事項 |
P5
研究者側からみると、人の尊厳等を損なうことのないキメラ動物の定義を明確に示してもらうことが重要。
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質問15
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「人の尊厳等を損なうことのないキメラ動物の定義」について全く触れられていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P5
社会的な善し悪しは社会で考えていくもの。動物性集合胚に関する研究については、情報公開等を通じて社会への透明性を高めて理解を得ていくことも重要。
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質問16
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「情報公開等を通じて社会への透明性を高めて理解を得ていく」ための具体的方策について全く触れられていません。この点について如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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P9
動物性集合胚の胎内移植を認めたとしても、すぐに個体産生まで認めるのではなく、取扱期間を段階的に拡大していくのが適当ではないか。
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質問17
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「取扱期間を段階的に拡大していく」という案について全く触れられていません。この点について、いつ議論がされ、かつ却下する結論が出たのでしょうか?
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○動物性集合胚の取扱いに係る科学的観点からの調査・検討の結果について
(平成28年1月19日 動物性集合胚の取扱いに関する作業部会)
該当箇所 |
質問事項 |
(概要)のP2
移植用臓器の作成については、ドナーが不足している臓器(肝臓や腎臓等)について作成の必要性は高い。また、難治性の疾患についてモデル動物の作成の必要性は高い。脳神経細胞や生殖細胞については、他の方法によることが安全面、倫理面、社会面からは妥当と考えられる。
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質問18
「今後の対応の考え方」では、左記の動物性集合胚の取扱いに関する作業部会による調査・検討結果「脳神経細胞や生殖細胞については、他の方法によることが安全面、倫理面、社会面からは妥当と考えられる。」が全く反映されておらず、脳神経細胞についても生殖細胞についても作成を容認し得る内容となっています。作業部会の検討結果と相反する案を出されたことについて、どのような考え方や根拠があるのでしょうか?
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○動物性集合胚の取扱いに係る倫理的・法的・社会的観点からの整理
(平成29年1月25日 特定胚等研究専門委員会)
該当箇所 |
質問事項 |
P2
諸外国の規制等を踏まえ、いずれの研究目的についても、脳や生殖細胞の作成を対象とする研究や、取り扱う動物胚や移植先の動物の種類を霊長類とする研究については、当面の間禁止することも含めて慎重に検討していく必要がある。
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質問19
「今後の対応の考え方」では、脳や生殖細胞の作成を対象とする研究、取り扱う動物胚や移植先の動物の種類を霊長類とする研究のいずれについても容認し得る内容となっています。「当面の間禁止する」ことについては、いつ議論がされ、かつ却下する結論が出たのでしょうか?また、どのような考え方や根拠に基づくものでしょうか?
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P2
研究目的等の見直しについては、研究者による研究の透明性の確保、科学コミュニケーションなどによる丁寧な説明の実施、国による規制の実施・検討などの取組が必要である。
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質問20
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、左記の点について触れられていませんが、「研究者による研究の透明性の確保、科学コミュニケーションなどによる丁寧な説明の実施」を具体的にどのように担保されるお考えでしょうか?また、「国による規制の実施・検討などの取組」については、今回の特定胚指針の改正にあたり反映される事項と考えてよいでしょうか?そうだとすれば、この点についての具体的内容について如何お考えでしょうか?
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P5
研究や技術の可能性の全体像を示した上で、今、何をどこまで進めようとしているのかをわかりやすく説明することが求められる。全体像と現状を共通認識として踏まえた上で、国民との議論を重ねたり、国民の意見を募ったりして、合意形成に努める必要があるのではないか。
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質問21
「国民との議論」や「国民の意見」の募集などの合意形成については、今回の特定胚指針の改正前に行われるお考えがおありでしょうか?そうだとすれば、いつどのように行われるご予定でしょうか?
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P7(英国の意識調査結果と考察)
ヒトの細胞を霊長類に移植することで、英国では実験使用が禁止されている大型類人猿の能力を獲得する可能性もある。
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質問22
「総合的検討」では、ヒト細胞由来の脳神経細胞の影響により、霊長類が「ヒトのような高次脳機能(認知、行動、精神)」を持つ可能性について、「可能性は極めて低い」としていますが、大型類人猿は一般にヒトに近い認知、行動、精神を持つとされており、左記の考察に反していると考えます。この点について如何お考えでしょうか?
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○今後の検討課題(ただき台)
(平成29年4月12日 特定胚等研究専門委員会(第98回)配布資料)
該当箇所 |
質問事項 |
動物性集合胚の胎内移植は認められるか。
・目的の臓器以外に分化しないよう制御する方法を用いることができる場合はどうか。
・分化制御できない場合はどうか。
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質問23
「総合的検討」及び「今後の対応の考え方」では、「分化制御」の問題について全く触れられていませんが、この点については、いつどのような結論が出されたのでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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個体産生まで認める場合、意図しない個体産生があった場合の対応について。 |
質問24
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、「意図しない個体産生があった場合の対応」について触れられていませんが、如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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動物福祉の観点から、胎仔及び母体等の経時的観察の必要性について。
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質問25
「総合的検討」においても「今後の対応の考え方」においても、左記の点について触れられていませんが、如何お考えでしょうか?(これから議論や取りまとめがされるのであれば、それも含めて。)
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2018年4月追記:
文部科学省からは、2月の期限ぎりぎりになって、以下のような回答がありました。
「動物性集合胚の取扱いについては現在検討段階であり、いただいた質問事項に関する内容については、まだ確定されたものではありません。今後、取りまとめた後、パブリックコメントを行う予定ですので、その際に質問等を提出下さい。提出された質問等への回答は公表予定です。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。」
「質問事項に関する内容については、まだ確定されたものではありません。」とのことですが、直近の3月30日に開催された
特定胚等研究専門委員会(第104回)では、
本件に関する最終取りまとめ案に関する審議が終了し、委員からも今までの方針に反対するような意見は何も出ず、質問事項に挙げた全ての疑問点について、とりまとめ案にはほぼ何も修正や回答にあたるものが反映されないことが確定しました。
また、パブリックコメントが実施されるのは委員会が結論を出す最終段階で、通常、一般市民や市民団体の意見が反映されることはほとんどありません。
文献を見ると、過去にも生命倫理関係の審議会で同じようなこと(議論の後半になって、急にそれまでの議論や慎重意見を無視した結論ありきの案が出てくること)があったという記録が出てきます。(「いのちの始まりの生命倫理―受精卵・クローン胚の作成・利用は認められるか」島薗 進(著) 春秋社2006参照)
このようなことを何度も繰り返させてはいけません。生命の尊厳だけでなく、民主主義も問われています。
民主的手続きを無視した委員会運営を行っている文部科学省へ抗議の声と意見を届けてください。
<抗議・意見先>
文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室
(ライフサイエンス課長 永井雅規)
(郵便)〒100-8959 東京都千代田区霞が関三丁目2番2号
(E-mail) ethics@mext.go.jp
(電話)03-5253-4111(内線4394)