安全性試験や非臨床試験の受託機関に対して、動物実験代替法の採用状況に関するアンケート調査を行いました。
■ 試験受託機関とは?
試験受託機関は、医薬品や化粧品企業、農薬や食品メーカーその他様々な機関からの依頼を受けて、動物を使った試験やin vitro試験(細胞等を使用し、生きた動物を使わない試験)等を行う機関です。
■ 調査の目的
調査の目的は、試験受託機関における動物実験代替法の採用状況を調査し、今後の代替法促進運動の参考資料とすること、また、試験受託機関に、動物実験代替法や動物の犠牲を減らすことについての意識を持ってもらうことです。
■ 回答率と調査期間、調査対象機関
発送総数は108、回答総数は19(回答率18%)、調査期間は2014年5月~6月です。
調査対象は、インターネット検索から、主に安全性試験や非臨床試験を受託(もしくは取次、代理等)している機関を探して対象としました。
■ 回答機関の内訳
取次や代理店を含めて、動物を使った試験を受託している機関が13機関、in vitro試験のみを受託している機関が3機関、受託試験自体を行っていないもしくは詳細不明が3機関ありました。また、このうち、安全性試験・毒性試験を受託している機関は15機関でした。
回答数が少ないため、この結果だけをもって試験受託機関の動向を判断することはできないかもしれませんが、大まかな傾向を知る手掛かりにはなるのではないかと思います。
■ 全体を通して
アンケートの様式と回答は
こちら をご参照ください。
皮膚刺激性試験や光毒性試験、皮膚感作性試験等における代替法がOECDのガイドラインとして採択されて10年程経過している現状において、安全性試験を受託している機関の中で、これらの代替法を受託可能としている機関が半数以下であったことは、日本でまだ代替法の使用が進んでいないことを示す一つの表れではないでしょうか?
代替法が使われていない理由は様々あるようですが、やはり顧客である企業等の需要によるようです。
代替法は存在するだけでは意味がなく、使われなければ意味がありません。医薬品や化粧品、化学物質等の試験を自社または委託で行っている企業等へ代替法を採用するように訴えていく必要があります。
■ 動物実験代替法について
動物実験代替法は、局所毒性では開発が進んでいるが全身毒性ではあまり進んでいない、(代謝等を含めた)生体へのリスク全体の評価ができない、弱い刺激を判定できない、被験物質によっては使えない等の弱点もあり、動物実験を常に置き換えられるとは限りませんが、動物実験と組み合わせて使うことによって、不要な動物実験をなくしたり、その後の実験動物の苦痛を減らすことができる場合もあります。
(動物実験代替法について詳しくは会報「ALIVE」107号の記事をご覧ください。)