東京　−　日本では動物の福祉活動家らが、国内の実験施設における動物の使用規制をどの程度まで厳しくするかという問題をめぐり、研究者らと対立している。

国会で、１９７３年に制定された動物愛護法の改正が見込まれるこの時期、両者の対立はますます激しくなっている。この法案は６月までに国会を通過する予定である（Nature430, 714;2004参照）。動物の福祉活動家側は、実験の法規制導入を求めているが、研究者側は任意のガイドラインで十分だとしている。

高まる国民の関心が、国会でも法規制強化に向けての圧力となっている。野党第一党である民主党の金田誠一議員は、現存のシステムでは実験施設内で何が行われているか推測するしかない、と、２月２４日、東京で行われたヒアリングで述べた。

現在、１９７３年の法律に基づく基本指針は環境省の管轄だが、実験研究者の計画通りに動物を使用する必要があるのかどうか、などの特定の実験に関する倫理的な問題は、助成金を出す各省庁に委ねられている。

研究者側も、制度に改善の余地があることは認めている。科学学会の連合である日本学術会議を代表してヒアリングで答弁した神経科学者は、日本は「法規則のない無法地帯」だという評判がある、と語った。動物福祉活動団体の嫌がらせを恐れ、匿名を希望しているこの科学者は、任意のガイドラインを作成し、これを学術的実験施設だけでなく企業の施設にも適用すべきだと述べた。

日本学術会議の提案するガイドラインは、研究機関が動物実験監視委員会を設置しなければならないとし、また、米国に拠点を置く国際実験動物管理認定基準協会のような第三者による実験施設の評価をこれまで以上に取り入れる必要があるとしている。日本学術会議は、このようなガイドラインが制定されれば、動物実験の法規則は必要ないとし、また、法律が制定されても、その施行は、各地方自治体の職員の判断に任される可能性もあるという。

しかし、ALIVEなどの動物の保護団体は、研究者たちによる自己規制では不十分だとしている。昨年９月にAVIVEが行った調査では、ほとんどの大学の医学部では使用した動物の数すら記録していない。あらゆる説明責任を避けようとしているだけだ、とALIVEの代表である野上ふさ子氏は語る。

改正法には、最低でも、行政機関への実験報告を実験施設や研究者たちに義務付ける登録制を入れるべきだと野上氏は語る。 海外ではほとんどの国で、これよりはるかに厳しい規制がある。

英国では、動物実験を行う実験施設は免許を取得しなければならない。また米国では、任意のガイドラインと法的措置（罰金を伴う抜き打ちの立ち入り調査を含む）を併用している。

日本の民主党は連立与党がさらに厳しい法案を作成するよう望んでいる。役人や実権を握る自民党はそのような規制にさほど熱心ではない様子だが、改正へ向けた勢いは強いようだ。