動物実験施設について調べるのに、どこに聞けばいいですか?
日本では、どこにどんな動物実験施設がどれだけの数あるか、誰も知りません。
公的な届出制も登録制もないため、国も、地方自治体も、何も把握していません。(*)
近所に動物実験施設があったとしても、それを知る方法さえないのです。
*兵庫県では条例で動物実験施設を届出制にしています。
どんな種類の動物が何匹くらい実験に使われているかもわからないのですか?
日本では、実験に使われる動物の種類や数について、公的に調べる制度がありません。
唯一、日本実験動物学会と日本実験動物協会(生産者団体)が数年に1度のアンケート調査で
実験動物の飼養数や販売数を調べているだけです。(*)
最近では、日本実験動物学会が2009年6月1日時点での飼養数を調べた調査(*1)、日本実験
動物協会が平成25 年度(2013年4 月1 日〜2014年3 月31 日)の販売数を調べた調査(*2)があ
ります。
*1:1593機関にアンケートを発送し、1074機関が回答(67.4%)。
*2:44社にアンケートを発送し、43社が回答。
実験動物の入手は、専門業者からの購入の他に、自家繁殖や他の研究機関で繁殖したものの
購入・譲受があり、使用数は販売数を大きく上回ると推察されます。
また、飼養数の調査では、回答率が低い上に、「研究機関や企業のすべてを対象とすることは
機関名簿が不備であるため困難である」(「実験動物ニュース」Vol.59 No.2(2010)より)とされて
いる(特に企業の対象機関数が少ない)ことなどから、実数はこれを大きく上回ると推察されま
す。
一方、世界では、公的機関が統計を取り公表しています。
(2015年4月14日更新)

出典:
日本の数値:日本実験動物学会「実験動物ニュース」Vol.59 No.2(2010)
http://www.jalas.jp/journal/jalas-news.html
日本実験動物協会 実験動物の年間(平成25 年度)総販売数調査
http://www.nichidokyo.or.jp/production.html
EUの数値: Seventh Report on the Statistics on the Number of Animals used for
Experimental
and other Scientific Purposes in the Member States of the European Union
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52013SC0497
日本のこれ以前の調査についてはこちらのページを参照してください。
http://www.ava-net.net/fact/data.html
何の目的で動物実験が行われているのでしょう?
日本では、何の目的で動物実験が行われているか、まったく把握されていません。
その理由は、動物実験の内容について国や自治体が把握する制度がないからです。
世界では、国や公的機関が統計を公表しています。

Seventh Report on the Statistics on the Number of Animals
used for Experimental
and other Scientific Purposes in the Member States of the
European Union
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52013SC0497
日本では、誰でもが動物実験できるのでしょうか?
日本では、基本的に動物実験を行う人の資格制もライセンス制もありません。
動物の取扱についての知識や経験がなくても実験できてしまいます。
こんな国は、少なくとも先進国では日本だけです。
諸外国では、動物実験はどのように規制されていますか?
諸外国では早くから動物保護法を制定し、その中で動物実験の法規制が行われています。
1876年 イギリス動物虐待防止法 (Cruelty to Animals Act 、別名動物実験法 Vivisection
Act)
1933年 ドイツ動物保護法 (Tierschutzgesetz)
1966年 アメリカ動物福祉法 (Animal Welfare Act、別名実験動物福祉法)

各国の規制は法律による規制であり、日本で言う任意の「自主規制」とは異なります。
国際機関での取り決めはありますか?
国際機関では、さまざまな取り決めをしています。
2010年、欧州連合(加盟27カ国)は実験動物福祉法の大幅改正を行いました。
2010年、OIE(世界動物保健機構)が、実験動物福祉の指針を制定しました。
2009年、FAO(国連食料農業機関)が、動物福祉のサイトを設けました。
2007年、欧州化学物質規則で、動物実験代替法の促進が導入されました。
2000年、OECD(経済協力開発機構)が不必要な動物実験の廃止に合意しました。
とりわけ、3R(苦痛の軽減、使用数の削減、動物を使わない代替法)の促進とその実効性
の確保に重点がおかれています。
しかし、これらの情報は日本ではほとんど知られておらず、大きな遅れをとっています。