今年の 1 月に北里大学の関係者とみられる方から、「北里大学獣医学部で牛の病理解剖を行う中で、症例担当の教授が牛の肉を食べようと提案し、牛は麻酔なしに放血死させられ、苦しそうに死んでいった。解剖中に肉を採取した。」という要旨の投書を受け、北里大学へ1 月に質問書及び 3 月に要望書を提出しました。
当会が送った質問書、要望書と北里大学の回答はこちら。
◎ 北里大学獣医学部における病理学実習に関する質問書
◎ 「北里大学獣医学部における病理学実習に関する質問書」への回答書
◎ 北里大学獣医学部における牛の無麻酔放血殺に関する要望書
北里大学の回答によれば、①動物実験委員会において承認を受けた安楽殺のプロトコールを教員が守らず、②鎮静剤の投与のみで無麻酔放血殺を行ったこと、また、③研究とは関係ない目的で牛の肉を採取し、病理解剖棟から持ち出し、冷蔵庫に保存する等したこと 等が判明しました。
これらの行為は、動物に著しい恐怖と苦痛を与える行為であり、倫理上決して許されない行為です。公衆衛生や教育倫理の観点からも甚だしく問題のある行為であり、環境省告示の「動物の殺処分方法に関する指針」をはじめ、国内・国際の安楽死のガイドラインから逸脱し、動物愛護管理法及びと畜場法に抵触(と畜場以外で食用目的で家畜をと殺)の疑いがあります。
北里大学は事実を認めた上で、安楽殺処分のプロトコール実行の確認処置を追加し、教員や学生への教育を通して再発防止に努めるとしています。また、2/27 にホームページで本件経緯及び対策(お詫び)について明らかにし(※1)、動物福祉に関する相談窓口を設置(※2)する等しています。
当会ではこれらのことを踏まえ、二度とこのような問題が起こらないように、当会の要望事項に対する大学の対応を含め、今後も大学の動きを注視していきたいと思います。
※1:北里大学獣医学部における牛の無麻酔放血殺とその対策の実施について(お詫び)
https://www.kitasato-u.ac.jp/news/n20150227.html
※2:「動物福祉に関する相談窓口を設置しました」
http://www.kitasato-u.ac.jp/vmas/announce/n20150227.html
2015年7月3日