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 HOME > 畜産動物 > 家畜福祉食品の消費流通システムに関するシンポジウム報告(2014.07.05/主催:農業と動物福祉の研究会(JFAWI))
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【シンポジウム報告】
家畜福祉食品の消費流通システムの開発
OIEとEUが開発しているアニマルウェルフェア畜産食品
の需要システムを我が国でいかに実現するか?




 2014年7月5日、ALIVEも世話人をつとめる「農業と動物福祉の研究会(JFAWI)」において、消費者や流通業者などを対象とし家畜福祉食品の流通システムの開発をテーマにしたシンポジウム「家畜福祉食品の消費流通システムの開発 ―OIEとEUが開発している家畜福祉(アニマルウェルフェア)食品の 需要システムをいかに実現するか?−」を開催いたしました。

 以下、本シンポジウムの報告をいたします。 (会報「ALIVE」112号より掲載)





〜家畜福祉シンポジウム報告〜

家畜福祉食品のフードチェーンを構築し需要開発を図るには―?


矢崎栄司(農業と動物福祉の研究会世話人)




 産業動物として食品対象にされる家畜の福祉(アニマルウェルフェア)については、畜産・食品・流通分野での関心は低く、消費者の間でもほとんど知られていないのが実状です。家畜福祉を進めるには、工場的畜産を家畜福祉畜産に転換させなくてはなりません。そのためには家畜福祉食品の生産から消費までのフードチェーン構築と需要の開発が必要です。その可能性と方法論を探る取組みの第一歩として、7月5日、家畜福祉シンポジウムを開催しました。




■ 家畜福祉(アニマルウェルフェア)の広がりに欠かせない需要の開発

 農業と動物福祉の研究会(JFAWI)では2002年の設立以来、EUなどの海外のNGOと提携して農畜産業、食品産業、流通・小売業、消費者を対象にシンポジウムやセミナーを開催して家畜福祉の普及・啓発活動を行ってきました。
 2013年にはALIVE基金(地球生物会議)の助成を受け、2回の家畜福祉獣医師研修セミナーを開催し、家畜福祉の普及リーダーとして期待される獣医師との情報の共有化を図ってきました。
 一方で、家畜福祉畜産を拡大するためには生産から消費までのフードチェーンの構築と消費者、流通、レストラン・料理人などによる家畜福祉食品の需要開発が欠かせないことから、今回のシンポジウム「OIE(※)とEU(※)が開発しているアニマルウェルフェア畜産食品の需要システムを我が国でいかに実現するか」を開催しました。
 シンポジウムの第1部では「世界と日本の家畜福祉基準の策定状況とアニマルウェルフェア畜産の動向」(松木洋一/日本獣医生命科学大学名誉教授)、「日本のアニマルウェルフェアに対応した飼養管理指針とその評価方法」(瀬尾哲也/帯広畜産大学講師)、「EUと日本のアニマルウェルフェア畜産食品の現状」(植木美希/日本獣医生命科学大学教授)、「ロンドン、ロサンゼルスにおけるアニマルウェルフェア卵の市場分析」(大木茂/麻布大学教授)についての発表がありました。

 以下はその要旨です。

(1)EUでは政府の政策(家畜福祉直接支払いなど)が家畜福祉を促進してきたが、財政負担の限界から市場経済による推進に舵を切った。市場経済のなかで家畜福祉食品の供給力を高めていくためには「農場から食卓」までのフードチェーンの構築が不可欠という認識が広がっている。

(2)アメリカの家畜福祉畜産システムは畜産業者や食品・流通企業の自主的な家畜福祉畜産基準の主導で進展しており、農務省(USDA)の教育プログラムセミナーで取り上げられたアメリカの畜産が向かうべき2020年目標像の柱に「家畜福祉の改善」が置かれている。

(3)EUでは家畜福祉畜産基準よる家畜福祉食品の評価・ブランド化の動きが活発化しており、日本でも基準及び評価法に基づき、家畜福祉商品として認定・表示する分かりやすいシステムが必要。

(4)イギリスではスーパーマーケットでの家畜福祉食品の品揃えが豊富で、フリーレンジ(平飼い)卵やオーガニック卵、屋外飼育のフリーレンジポークなどが数多く並んでいる。イギリスで家畜福祉食品のフードチェーンが構築されマーケットが広がっている大きな要因に動物保護団体RSPCAが開発した家畜福祉食品規格(フリーダムフード基準)による認証と農場動物保護団CIWFが行う家畜福祉に関するスーパーマーケット調査がある。

 日本でもOIEの世界家畜福祉基準策定に対応して2011年に農林水産省が「アニマルウェルフェアの考え方に対応する家畜の飼養管理指針」を策定し、これに従って畜産業界が畜種別の自主的ガイドラインを作成する段階になっていますが、さらに必要なことは生産される家畜福祉食品を適性に供給するフードチェーンの構築と需要の開発です。
 その具体的な方法論を探るための第一歩が今回のシンポジウムであり、参加者の発言には非常に有効と思われるヒント・アイデアがあり貴重な情報が得られました。


■ 消費者団体・オーガニック食品流通企業によって担われてきた日本の家畜福祉

 日本では環境保全や食の安全に意識の高い消費者団体(生協)、オーガニック食品流通企業、自然食品店やオーガニックレストランなどで家畜福祉食品の需要が広がっています。
 シンポジウムの第2部では生活クラブ事業連合、パルシステム生活協同組合連合会、東都生活協同組合、株式会社大地を守る会、らでぃっしゅぼーや株式会社、イオンリテール株式会社、レストランエルパソ、有難豚(ありがとん)チェーンの10団体・企業が家畜福祉の取組みを発表しました。いずれも環境保全や食の安全に強い関心を持つ人たちが加入者(組合員・会員)や顧客で、農畜産物の生産・加工・取扱いに厳しい基準を作って質の高い食品を供給するとともに、田んぼや畑の生き物調査、農家支援、食農教育、高齢や障がいのある生活弱者のサポート、被災地支援などさまざまな社会活動を行っています。
 家畜福祉の面でも定期的に学習会やセミナーを開き、現地見学や調査を実施するなど積極的な活動を行っています。また、家畜が健康に過ごせる飼養環境(放牧、平飼い、開放型畜舎による換気・採光、自由な行動を妨げないスペース、生理に適合した住環境)の確保、健康で安全な畜産のための自己点検・改善システム、自給・国産飼料による持続可能な資源循環型畜産、採卵鶏の強制換羽の禁止、豚の断尾・抜歯の禁止、牛の断尾の禁止、抗菌性物質や動物薬の恒常的不投与などの取組みをしています。こうした取組みが加入者・顧客の関心を高め、家畜福祉食品の購買のみならず家族や周囲への普及にも大いに貢献しています。
 消費者に家畜福祉の情報が広がり関心が高まるにつれて、すでにEUやアメリカの状況を掴んでいながら、国内の消費者動向を様子見していた大手食品・流通企業も国内での対応に着手しつつあります。
 今回のシンポジウムで取組みを発表した10団体・企業のうち7団体・企業は加入制(組合員・会員)のいわばクローズドなマーケット(限定マーケット)でのビジネスモデルで、それだけにコミュニケーションの双方向性があり、家畜福祉に関しても情報や意識を共有しやすかったという要因もありました。


レストランエルパソの平林氏による家畜
福祉食品の取組みの発表では、エルパソ
豚牧場の放牧豚「どろぶた」の肉に含ま
れるオレイン酸の測定が行われた。
100名近い参加者が集まり、
シンポジウムは盛況のうちに 終了した。















■ 業界横断的な組織(委員会・協議会)や基準・評価、広報活動が必要

 家畜福祉食品はイギリスなどEU諸国でも、当初はオーガニックやナチュラルフードの専門店など比較的限定された小規模なフードチェーンを通じて販売されていましたが、消費者に広く情報が伝わり関心が高まるに伴い大手スーパーマーケットが積極的に扱いを始めたことでオープンなフードチェーンができ、独自の家畜福祉PB(プライベートブランド)商品の開発・販売によって多くの消費者の関心を集めて需要が拡大し規模の大きなフードチェーンに発展してきました。
 イオンリテール株式会社の篠原雅義さんは、「家畜福祉は、日本ではまだごく一部の流通業者・消費者に関心を持たれているに過ぎず、家畜福祉食品をNB(ナショナルブランド)として開発するにはまだまだ長い時間がかかると予想されるので、PBのこだわり商品としての開発をお奨めする」と述べています。  また、業界での議論を広げるために業界横断的な組織(動物福祉推進委員会あるいは協議会など)を作って定期的な活動を行い、家畜福祉畜産基準や商品取扱規格を開発して評価機能を持ち、広報活動によって国民の関心を高めることが大事とも話しています。
 欧米の畜産先進国では生産性を重視する工場的畜産から家畜福祉畜産への転換を始めています。日本でも家畜福祉畜産への転換を図るには、生産から消費に至るフードチェーンの構築と幅広い需要の開発が必須です。
 幸いにも、今回発表していただいた消費者団体・企業の家畜福祉食品の取組みをベースに、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも家畜福祉食品を入手できるフードチェーンと需要システムの構築がポイントになっています。業界を横断する協議会や委員会、自主基準による評価と表示・ブランド化、広報体制などもその要素の一つといえるでしょう。
 農業と動物福祉の研究会では、家畜福祉食品の需要拡大計画、家畜福祉ブランドの認証制度、家畜福祉フードチェーンの研究開発の組織化などについての検討会・勉強会等を開いてみたいと考えています。ご意見等をお持ちの方は、ぜひお寄せください。

<用語説明>※OIE:世界動物保健機関、旧名称国際獣疫事務局 / ※EU:欧州連合


【連絡先】
農業と動物福祉の研究会 事務局 
〒180-8602 東京都武蔵野市境南町1-7-1
日本獣医生命科学大学・動物科学科・食料自然共生経済学教室内
Tel:0422-31-4151内線5535
直通Tel/Fax:0422-32-4348 (植木)
E-mail: mail★jfawi.org (※「★」部分を「@」に変えてお送り下さい。 )



 
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