肉食による環境破壊
環境保護主義者にとって菜食に転向するのはまたとない良い時期だ。肉中心の食生活が環境に与える影響の証拠が積み重なり、同時に完全に産業化した工場式農業は、動物を狭い場所にぎゅうぎゅうに詰め込むために病気の感染を速めるものであり、最近あちこちで報道されている肉由来の疾病流行の原因ともなっている。日本でも初めて発見された狂牛病のおかげで牛肉の値段が下がり、大勢の人が肉を食べるのを控えるようになった。
その一方で肉の消費量は世界中でその記録を更新し続けており過去50年で4倍となった。地球上には現在200億頭もの家畜がいるが、この数は世界総人口の3倍以上だ。ワールドウォッチ研究所によると、1961年以来、世界の家畜頭数は6割増え、食用に飼養されている家禽の数は42億羽から4倍近い157億羽に増えた。1970年以来、アメリカにおける牛・豚肉の消費量は3倍に、アジアでも2倍以上になった。
肉の消費量が増加した理由のひとつはファストフード・レストランがアメリカ人の食生活の中心として台頭してきたためだ。エリック・シュローサーが、ベストセラーとなった「Fast Food Nation」 (邦題「ファストフードが世界を食いつくす」草思社、楡井浩二訳)で述べているように「アメリカ人は今や高等教育に費やす以上の巨額な金−年間1100億ドル−をファストフードに費やしている。これは映画、本、雑誌、新聞、ビデオ、音楽CDなどに費やす金額を合計したよりも多い」のだ。
肉中心の食生活が不健康であり、肉の生産がほとんどすべての面―放牧による耕作地やオープンスペースの消失、飢餓の存在する世界で膨大な量の水と穀物を家畜に与えることの非効率性、工場式農業による汚染―において広い範囲にわたり、ときとして壊滅的な結果を招く環境災害であるという証拠が山積みになっているにもかかわらず、肉の生産と消費は力強く成長し続けている。オレゴン州立大学の農学教授ピーター・チークは工場式農業を「大規模な地下水と空気の汚染という問題を含む環境への正面攻撃」と称している。
世界の飢餓と資源
4.8ポンドの穀類を牛に与え、1ポンドの牛肉を人間の消費用に生産するのは、今だに深刻な飢餓や栄養失調に苦しむ人間が大勢いる世界においては資源の途方もない無駄使いといえよう。
イギリスの団体 Vegfam (動物の残酷な扱い、世界飢餓、環境破壊を解消する策としてVegan-完全菜食を促進する団体)によれば、10エーカー(約4万500平方メートル)の耕作地に豆を栽培すれば60人、大麦なら24人、とうもろこしなら10人の人間を養うことができるが、同じ面積の土地で牛を飼育すると2人しか養うことができない。国民すべてが菜食になれば人口5600万人のイギリスの国土は2億5000万の人間を養うことができるという。アメリカやヨーロッパの肉食者が消費する穀物は、その90パーセントが間接的摂取(彼らが消費する家畜に与えられている)であり、ひとり当たり年間2千ポンドの穀類を消費していることになる。一方、途上国ではほとんどの穀類は直接消費される。
多くの家畜が耕作地には適さない土地に放牧されているのは事実だが、肉の需要によって何百万エーカーという肥沃な耕作地が 農地台帳から消えていった。その代価は計り知れない。Diet For a Small Planet (邦題:「小さな惑星の緑の食卓」、講談社、奥沢喜久栄訳)の作者、フランシス・モア・ラッぺはこう書いている。8オンスのステーキが置かれたテーブルにつくと想像してみてほしい。それから、空のうつわを前にした45人から50人の人間がいる部屋を思い浮かべてほしい。あなたが食べようとしているステーキを「飼養」するのに必要な飼料は、その人達のうつわをすべて一杯に満たす、調理された穀類と同じ量なのだ。
ハーバード大学の栄養学者ジーン・メイヤーはアメリカ国内の肉の消費量を10パーセント減らせば、6千万の人を養うのに十分な穀類が浮くと概算している。作家のエールリッヒ夫妻は1ポンドの大麦を収穫するには60ポンドの水が必要だが、1ポンドの肉を得るには2500から6千ポンドの水が必要だと記している。
環境的代価
アメリカのエネルギー集約型工場式農業は1996年、140億トンもの動物の排泄物を作り出し、環境保護局 (EPA) によると、他の産業から排出された物質すべてを合わせた以上にアメリカの水路を汚染した。肉の生産はまた、かつては肥沃だった何十億エーカーもの耕作地の深刻な侵食や雨林破壊とも結び付けられている。
マクドナルドは1990年代、イギリスで動物の権利の活動家達を相手取り訴訟を起こした。彼らがこのファストフード界の大物を不健康な食生活や雨林破壊とむすび付けたからだ。被告側はマクドナルドを抜きさしならない状況に追い詰め、自分達の主張を説得力のあるものとした。法廷の記録には、活動家達は「1970年以来、マクドナルドはかつては雨林であった土地で飼養された牛の肉を買い入れていた」と主張した、とある。一方、マクドナルドは自社の社針で「我が社は世界中のどの熱帯雨林も犠牲にするような牛肉は買い入れていません」と述べているが、過去にそのような買い入れはしていなかったともいっていない。
PETA (動物の倫理的扱いを求める人々の会)によると、食用に飼養されている家畜が排出する糞便は、全人口が排出するものの130倍になるという。「憂慮する科学者の連合」(The Union of Concerned Scientists、1969年設立、環境保護、食品安全などの為に活動している科学者と市民の団体)はアメリカの各家庭当たり、年間20トンの家畜排泄物が出される計算になると指摘する。大々的に報道された1989年のエクソン社、ヴァルデス号のアラスカ沖での油流出事故では1200万ガロンの油がプリンス・ウィリアム海峡に流出したが、あまり知られていないノースキャロライナ州で1995年に起きた事故ではニュー・リバーに2500万トンの豚の排泄物が流出。1000万から1400万匹の魚が死に、貝の沿岸養殖場36万4千エーカーが閉鎖された。豚の排泄物流出はフィエステリア・ピシシーダ(Pfiesteriapiscicida,渦鞭毛藻類の一種)と呼ばれる有毒な微生物の急速な増殖の原因となり、ノースキャロライナ州だけでもこの微生物は10万匹の魚を殺している。
アメリカで消費されるすべての原料物質と化石燃料の3分の1が動物の生産に使われている。牛肉の生産だけでもアメリカで収穫される果実や野菜すべてに使われる量以上の水を消費している。ハンバーガーのパティ1枚に相当する量の牛肉を作るのに使われる燃料で車が20マイル走り、その重さの5倍の表土を消失させる。ジョン・ロビンスは著書「 The Food Revolution」の中で「カリフォルニア産の牛肉1ポンドを食べないでいるほうが、1年間シャワーを浴びないより水を節約できる」と計算している。放牧地の開拓によって森林が消滅するので、菜食者は一人当たり年間1エーカー分の木を救っていることになるのだ。
全米野生生物連盟(National Wildlife Federation)のバーバラ・ブランブルは「肉を食べるということは環境的観点からすると、より多くのスペースを取るということになる。食物連鎖のより下にあるものを食べるのは、環境的価値観に沿ったものだと思う」と述べている。
人間の健康という代価
工場式農業における現代の鶏、牛、豚は地球上で最も薬漬けになっている生き物だ。ニューズウィーク誌は「薬の過剰投与という点では、医者はアメリカの畜産業者の比ではない」と書いている。疾病管理センター (CDC) の報告によると、病気治療以外の目的(主に畜産動物の成長促進)で投与される抗菌剤の量が1985年以来50パーセント増加しているという。
ぎゅうぎゅうに詰め込まれて不自然な状態で暮らす動物のストレスを和らげるために薬が投与されるが、それでも鶏の20パーセントはストレスや疾病で死んでいる。
このような状況が招いた結果のひとつに汚染肉の割合の高さがある。スーパーマーケットで売られている鶏肉の60パーセントがサルモネラ菌に汚染しているが、これは肉を充分に加熱しないと人間に感染することもある。別の病原菌、カンピロバクター菌も鶏から人間に感染する危険性があり、感染すると深刻な症状を引き起こす。
1997年、2500万ポンド以上の挽き肉が腸管出血性大腸菌 O157に汚染されていることがわかった。この菌は排泄物をとおして感染する。挽き肉が細菌に汚染されると特にやっかいだ。肉を挽くプロセスが細菌をすみずみまで拡散させてしまうからだ。大腸菌は幼児の腎臓障害を引き起こす最も大きな原因であり、1993年、ワシントン州シアトルのレストランで食事をした3人の子供が食中毒で死亡したときの「犯人」である。
イギリスでのBSE,いわゆる狂牛病の流行は1986年に始まり、20万頭近い牛が処分されたが、種の壁を越え、汚染肉を食べた人間に致命的なクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)となって感染する。イギリスでは年間平均10人から15人が肉を食べることによってCJDに感染しているとCDCは報告している。
1998年、英国医師会は国会議員に提出した報告書の中で次のように警告している。「本国における食品安全に関する現状は、すべての生肉が病原性微生物に汚染されていると仮定しなければならないような状況である」
報告書はさらに、1997年にはイギリスで百万人がサルモネラまたは大腸菌に感染したと述べている。BSEは他の動物の汚染された中枢神経細胞を与えられた牛から広まった。「将来的な規模や地理的分布についてはまだ予測不可能である」とCDCは報告している。アメリカでは、イギリスにおけるBSEと多くの類似点を持つ慢性消消耗性疾患がシカの間で発生しているが、これが人間に感染するという確証はまだない。
マイケル・W・フォックス博士は、著書 "Eating With Conscience" の中で動物かす粉 (animal tankage)と呼ばれる油脂を取り除いた後の動物の残余部分が動物用飼料や肥料からペットフードといったさまざまな製品に使われていると述べている。フォックス博士はまた、ヨーロッパで、動物かす粉を含む飼料を食べた数百匹の猫(そして動物園の何頭かの動物)がBSEの一種に感染したことにも触れている。ちなみに日本での狂牛病の発生は、ヨーロッパから輸入されたBSEに汚染された飼料が原因だと考えられている。
米農務省(USDA)によると、1995年には屠殺時に死にかけていた、あるいは病気にかかっていた1千万頭以上の動物はレンダリング(動物の死体を精製し、高タンパク飼料の原料などに使う)され、豚、鶏、ペットのエサに加えられた。屠殺場の入り口や輸送途上で起立不能に陥った動物はダウナー(downers 、日本でいうヘタリ牛など)と呼ばれ、その肉は慣例的に人間の食用として処理される。2001年に世論調査機関 Zogby America が畜産動物保護団体Farm Sanctuaryの委託を受けて行なった調査によると79パーセントのアメリカ人は、アメリカの肉供給過程においてBSEの混入ポイントともなりかねないこの処置法に反対している。Farm Sanctuary は1998年にダウナーの肉を人間の食用として加工することを中止する請願をUSDAに提出したがこれは却下された。
ヨーロッパでは動物の間で感染するもうひとつの強力な伝染病、口蹄疫の流行を鎮圧するために何十億もの金を費やすことになるだろう。口蹄疫はこの二年間に60ヶ国で発生している。
西洋からの主な輸出のひとつは肉食だが、これに伴い心臓病やガンの危険も増した。このような、無駄を生み、病気を流行らせ、人間の健康を脅かすような食生活や食物生産システムにはどこかひどくおかしなところがあるのは明らかだ。
動物を尊重する
肉を食べる人間は平均して一生の間に2400頭ほどの動物の命を奪う。食用に飼養される動物は住環境、輸送、飼料、屠殺などの面で非常な苦しみに耐えなければならないが、このことは食料品店できれいにパックされて売られている肉を見てもわからない。その背後にある事実を知ると、多くのアメリカ人、特に環境保護に関心のある人は、その中に囚われてしまった動物にとっては非常に過酷である肉の生産システムの一環を自分たちが担っていることに慄く。
「放し飼い」動物が農場を走り回ったり牧草を食んだりできた19世紀の個人農場はほとんど過去のものになってしまった。現代の工場式農業においては動物をむごく取り扱うことが平常の運営形態になっている。養豚業界誌 "National Hog Farmer" のある記事は動物1頭あたりのスペースを現在の8平方メートルから6平方メートルに縮小することを提案し、豚を詰め込むことは採算が合う、といっている。CBSテレビの報道番組 "60 Minutes" ではレポーターが今日の工場式農業の豚の生活は「ベイブ」とは大違いだと伝える。「短い一生の間、陽の光を見ることもなく、藁の上で寝ることも、ドロの中でころげまわることもない。雌豚は小さいケージに入れられるが、幅が狭くて向きを変えることもできないくらいだ。ケージの床は格子状の金属で、排泄物は格子の目を通って巨大な「肥溜め」に流される。
肉牛は豚よりは幸運だ。彼らがその一生を他の牛と共に詰め込まれて過ごす肥育場は1頭あたり14平方メートルほどの広さがあるからだ。肉牛の一般的な処置法には焼き印、去勢、除角などがある。仔牛肉用の牛は生まれてまもなく母親から引き離され、一生を暗い場所で、首から鎖でつながれ、身動きのできない状態で過ごす。これらの子牛は大抵、貧血、下痢、肺炎、蹄病にかかっている。
鶏もほとんどが工場式農業による飼養で、アルバム・ジャケットほどの大きさの、金網の床のバタリーケージに6羽ほどの産卵鶏が入れられる。ひとつの「鶏小屋」には10万羽の鶏が収容されている。飼育状況が鶏に多大な心理的重圧を与えるために、つつき合いでケガをしないようにくちばしを焼き切らなければならない。工場式農業では年間2億8千万ほどのオスの鶏が生まれ、生きたままゴミ袋にほうり込まれて処分される。卵も産まず、肉としても経済的価値がないからだ。
工場式農業で飼養された動物の95パーセントはトラックで輸送されるが、その間、すし詰め状態、過酷な天候、餓えや渇きに耐えなければならず、多くの動物が輸送途上で熱射病で死んだり、凍死したりする。
動物が特にひどい扱いを受けるのはその一生を終える時だ。ゲイル・アインスニッツが Slaughterhouse" の中で、屠殺場従業員へのインタビューも交えてその状態を詳細に記録している。ある従業員はこういっている。「自分が働いているところでは、起立不能になった動物をクレート から引きずり出すんだ。それで耳か足に金属の枷をかけて建物の端から端まで引きずっていく。動物は痛がって悲鳴を上げているよ。屠殺するのはかまわないんだ。やりきれないのは動物がまだ生きているときの扱い方だ」。死にかけ、自分で歩けない動物は「ダウナー貯め」にほうり込まれ、その多くは苦しんだ挙げ句、1日か2日経って屠殺される。
屠殺場従業員の安全についてもマスコミはお義理程度に触れるかまったく取り上げない。たとえば、他の面では素晴らしい内容の Mother Jones 誌の屠殺場従業員についての記事も、屠殺場内で苦痛のあまり暴れる動物が原因で起こる負傷についてはほとんど触れていない。人道的屠殺法 (Humane Slaughter Act) やUSDAによる定期的な検査があるにもかかわらず、動物が生きたまま皮を剥がれたり、屠殺処置の途中で意識を取り戻すーこれが従業員の安全にとっては一番の脅威であるがーこともしばしばだ。
菜食という解決法
菜食主義は新しい現象ではない。古代ギリシャの哲学者ピタゴラスも菜食主義であり、19世紀半ばまで肉を食べない人はピタゴラス主義者と呼ばれていた。ピタゴラス同様肉を食べなかった著名人の中にはレオナルド・ダ・ヴィンチ、ベンジャミン・フランクリン、ジョージ・バーナード・ショー、アルバート・アインシュタインなどがいる。「菜食主義者」(vegetarian) という言葉は1847年、イギリスで当時はごく小さなものであった運動のために造語されたものだ。
アメリカでは"Diet For a Small Planet"の発行が健康的な菜食生活を一般に広める大きな要因となった。他にこの傾向を促進するきっかけとなったのは1975年に出版され、菜食主義に倫理的サポートを与えた、ピーター・シンガーの"「動物の解放」(技術と人間、戸田清訳)、動物を狭い場所に閉じ込めて飼育する形態の農業の実情を初めて暴露したピーター・シンガーとジム・メイソンの「アニマル・ファクトリー」、そしてジョン・ロビンズが1987年に書いた「エコロジカル・ダイエット 生きのびるための食事法」(角川書店、田村源二訳)などの本もある。1998年に Vegetarian Journal誌が行った調査によると、82パーセントは健康のため、75パーセントは倫理、環境、動物保護の観点から、31パーセントは嗜好、26パーセントは経済的な理由で菜食であると答えている。
菜食は健康的なのか。世間一般の認識としては食事から肉を取り除くとタンパク質が不足して健康に悪いのではないかと思われている。ラッぺは食事が1)果物、2)サツマイモまたはキャッサパ(根または葉が食 料となる低木植物で熱帯地方では5億人以上が主食としている)、あるいは3)西洋特有の問題、ジャンクフードに偏るとタンパク質が不足する恐れがあるという。
しかし、VRGの栄養アドバイザー、リード・マンジェルスは「いろいろな種類の食べ物を摂り、体重を維持することができるだけのカロリーを摂取していれば必要な量のタンパク質は簡単にとり入れることができる。食物の組み合わせなどについて悩む必要もなく、一日を通して多種類のタンパク質を摂っていれば必要なだけの必須アミノ酸も自然と摂取できている」と述べている。
肉には豊富にタンパク質が含まれるているが、VRGのFAQ(Frequently Asked uestions: よくある質問)リストにはいも類、全粒粉パン、米、ブロッコリ、ほうれん草、アーモンド、えんどう豆, ひよこ豆, ピーナッツバター、豆腐、豆乳、レンズ豆, ケール(キャベツの一種)なども良質のタンパク源になると書かれてある。
スーパーの棚には大豆や麦の肉代用品が所狭しと並んでいる。大豆は8つの必須アミノ酸をすべて含み、人体が吸収できる有効タンパク質の量も肉より多い(ただし、大豆アレルギーの人もいる)。動物の権利活動家はまた、食肉・酪農業界の宣伝とは異なり、人間が摂取しなければならないタンパク質の量は必要カロリー総量の2から10パーセント程度にすぎないと主張する。
アメリカにはどのくらいの菜食主義者がいるのだろうか。誰に聞くかによってその数は異なる。PETAの資料によると1200万のアメリカ人が菜食で毎週1万9千人が菜食に転向している。。"101 Reasons Why I'm a Vegetarian" の著者パメラ・ライスは
最近の調査に基づき全人口の訳2.5パーセント、450万という数字を使っている。少し古いものだと、1992年の調査では「自分自身を菜食主義者と見なす」人の数はアメリカ人の7パーセント、なんと1800万人もいた。1991年のギャラップ調査では、20パーセントの人が外食をする際、菜食のメニューを探すということだった。
実際の菜食者の数はおそらくもっと少ないだろう。VRGが1994年と1997年にローパー社に委託して行った調査ではほとんど同じ結果が出た。一般市民の1パーセント、200から300万は菜食(肉や魚は食べないが、乳製品、卵は食べる)で、その3分の1から半数が完全菜食(すべての動物製品を避ける)だった。どちらの調査でも約5パーセントは絶対に赤身肉を食べないと答えている。2000年に行なわれた調査は少し前向きな数字がでており、人口の2.5パーセントが菜食と答えている。男性より女性のほうが菜食者が多く、驚いたことには民主党支持者より共和党支持者の菜食者のほうがわずかに多い。
アメリカ栄養士協会は、協会の公式見解として「適切な菜食は健康的で、必要な栄養基準を満たし、特定の疾病の予防・治療法として効果がある」といっている。菜食主義者は今、栄養のバランスをよく考えた食事を作ることができる。Nutrition Business Journalという業界紙によれば、自然食品店で販売されるオーガニック食品の売上は食品業界でも一番の伸びを示し、1999年には22パーセント増、40億ドルの売上を記録した。今日の自然食品店はこれまでの小さな店舗ではなく、すべてを取り揃え、大手全国チェーンと熾烈な競争を行うスーパーマーケットだ。野菜を使った様々なメインディッシュがほとんどのスーパーマーケットに並び、レストランのメニューでもその数を増やしている。
菜食主義者になるのが今ほど容易なときも、また環境保護主義者としては今ほどその選択を迫られるような理由が存在しているときもない。菜食に転向するのは必ずしも容易ではないし、多くの環境保護主義者は今だに肉を食べているが、潮流の向きは変わり始めている。
菜食主義に関する情報(英語)を入手できるサイト
International Vegetarian Union (http://www.ivu.org)
North American Vegetarian Society (http://www.navs-online.org)
Vegetarian Resource Group (http://www.vrg.org)
Vegfam (http://www.veganvillege.co.uk/vegfam/)