<資料>
EU(ヨーロッパ連合)における動物福祉
動物福祉の擁護と尊重の推進についてのEU議定書
(アムステルダム議定書)
1997年6月16日、アムステルダムで開かれたEU各国政府首脳会議において、新欧州連合条約(アムステルダム条約)に、動物福祉に関し特別な法的拘束力をもつ議定書を盛り込むことが合意された。議定書の本文はつぎの通りである:
TEC(新欧州連合条約)に付帯する議定書
《高位なる条約締結者は、感覚をもつ存在としての動物の福祉の擁護と尊重が、確実に推進されることを願い、欧州共同体を設立させる条約に、以下の条項を付帯させなければならないという点で合意した:
共同体の農業、運輸、市場、研究に関する政策の策定と実施において、共同体および加盟国は、動物福祉の要件に十分な配慮を行わなければならず、その際、とくに宗教儀式、文化的伝統および地域遺産にかかわる加盟国内の法的ないし行政的措置と慣習とを尊重するものとする。》
この議定書は動物保護団体からの強い圧力の結果生まれたものであり、共同体の各機構(委員会、議会および理事会)が動物福祉の要件に十分な配慮を行うことを明確な法的義務としている。ただし、共同体が、動物福祉それ自体を問題としてとりあげられるよう、その管轄範囲を拡げたわけではない。
さらにまた、EU内では「補完性の原理」に同調する動きが高まっている。これはEU法をEU貿易/経済に影響をおよぼす領域に限定し、他の事柄--たとえば動物福祉--は国家レベルで扱うべきだとする考えである。