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クローン動物の食用化に反対する意見

2009.4.6

クローン動物の食用化に関するパブリックコメントについて、ALIVEでは以下の意見を出しました。

<関係サイト>
体細胞クローン技術を用いて産出された牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についてのご意見の募集
パブリックコメント期間:2009年3月12日〜4月10日まで
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_shinkaihatu_clone_210312.html



内閣府食品安全委員会事務局評価課内
「新開発食品の食品健康影響評価」意見募集担当 御中

体細胞クローン技術を用いて産出された牛及び豚並びにそれらの後代に由来する食品に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見

2009年4月6日 地球生物会議(ALIVE)

1,パブリックコメントの範囲

本「新開発食品評価書」では、体細胞クローンの牛と豚を食用にすることについて、一般の繁殖技術で生産した牛・豚と同じ安全性を持つと結論づけ、従って食用としても安全性に問題はないとの見解を出しています。

しかし、多くの市民は、安全性の問題よりは、クローン動物を生み出すことそれ自体に違和感を覚えています。動物の福祉をないがしろにし、生命の尊厳を冒涜し、種の多様性を減失させ生物の多様性をおびやかすものと感じています。ある動物の品種を限りなく単一化して大量生産していくという生命操作技術は、 人類の文明や文化が培ってきた生命観や自然観、動物観にもそぐわないものです。このような重要な問題を、単に「食の安全」の見地からのみ議論し、その認可を食の安全委員会にゆだねるというのではなく、もっと時間をかけて、広い視野から、さまざまな分野の人々が参画して議論を重ねていくことを要望します。


2、誕生・生育に伴う苦痛

 本「評価書」によると、体細胞クローン動物では、他の繁殖技術と比較して、胎盤の発生異常による流産、死産がきわめて高い状態です。また、胎児には内臓の肥大、水腫等が見られ、生後すぐに死亡した子牛では心臓の構造異常、心筋組織、腎臓の結合組織、腱等の軟部組織の異常等があり、生後1週間までに死亡した子牛では、過温症、呼吸障害、腹水症、脂肪肝、心臓奇形、四肢奇形、消化管異常などが報告されています。

 これは、遺伝子が正常に発現しないために、母親は流産等で苦痛を受け、生まれる子牛も誕生の時点ですでに体内に様々な遺伝子異常を抱えている状態であると言えます。生きること自体が苦痛であるような状態であることは間違いなく、このように動物の心身に苦痛を与える「新開発技術」は、動物福祉の観
点からも、とうてい容認できません。

3、安全性試験について

 専門調査会は、生後6カ月まで生き延びたクローン牛・豚は、ドナー動物と核内のDNAの塩基配列が理論的に同一であるため、新規の生体物質が産生されることはなく、アレルギーを誘発することはない、と結論しています。

 またその確認のために、クローン牛・豚の肉および牛乳について、ラットとマウスを用いて亜急性毒性試験、慢性毒性試験、アレルギー等誘発試験を実施し、従来の繁殖技術を用いた場合と比較して、安全上の差異は認められなかったとしています。

 しかし、アレルギーは、アレルギー物質のみならず環境要因や、ストレスなどの心的要因も含む多様な因子が複合して発現するものであり、このような実験自体に意義があるとは考えられません。
また、人はマウスやラットと比べて生理機能や食性も異なり、このような動物実験のみを以て食品として安全だと結論するのは短絡的です。

4、子孫に現れる異常の可能性

 「評価書」では、体細胞クローン動物が一定期間まで生き延びた場合は、生育が安定し健全になるとしています。また、クローン動物を従来の人工授精方式で繁殖させた場合、子孫には異常はないとしています。

 しかし、世界で初めての体細胞クローン動物が英国で誕生してからわずか10年しか経ておらず、代を重ねていく中でどのような遺伝的異常が発現するのかは現時点では不明です。

 また、遺伝子は環境の変化に適応して発現しあるいは抑制され、変動する環境に応じて順応的に変異していく可能性があります。人間は変動する環境を完全にコントロールすることは不可能であり、常に予測のつかない事態が発生することを考慮すると、代を重ねれば正常になると結論することはできません。

5、クローン動物の大量生産への道

 「評価書」では、体細胞クローン胚3374個から317頭の産子があったと記されており、人工受精の胚が着床しないか着床しても流産することにより9%しか出産しない状態です。農林水産省では作出効率が低すぎるため商業生産するには現実的に困難だとしています(平成21年3月4日、参議院農林水産委員会)。

 その一方で、クローンの一代目は死亡率が非常に高いとしても、半年以上生き延びた場合、従来の繁殖方法(人工授精)と同様の肉質であり、食用としても安全であると結論づけています。
 この結論は、今後クローン動物の子孫の大量生産への道を開くものとなります。しかも、子孫の場合はクローン繁殖ではないため、特別の表示はなされないおそれがあります。

 一般の多くの国民は、クローン繁殖由来の動物の肉を食べたいとは欲していないにもかかわらず、無表示の食肉等が出回ることは消費者を欺くものとなります。

6、体細胞クローンの食肉の輸入の道

 今回、日本がクローン動物の食用化を「安全」だと認めた場合、仮に日本では生産が行われないとしても、アメリカ等から輸入されるクローン肉の流通を許すものとなります。しかも、BSE対策の例でわかるように日本の監視は海外にまでおよびません。日本の消費者がアメリカ産のクローン動物の受け口にさせられるのはたまったものではありません。

 日本は食肉消費量の半分を輸入に依存しており、むしろ日本で厳しい規制や監視体制を設けることが、輸入産物における食の安全の確保に直結します。 

 また、戦後日本の食肉消費量はうなぎのぼりに上昇し、そのつけが食糧自給率の低下に加えて、肥満やさまざまな疾病を呼び起こし、健康のために肉食を控えるのが常識となっているこの時代に、さらに消費をあおる政策をすすめる必要はありません。

7、多様性の喪失

 動物を含めすべての生命体は、複雑多様で常に変動する地球環境の中で生存していくために、遺伝子レベルでも個体としても種としても自ら多様性を獲得しながら、共に長い時を経て進化してきました。生物多様性は生物の種の存続に不可欠です。

 この生物進化の過程に反して、クローン動物は可能な限り多様性を排除しようというものです。これが意味することは、さらなる遺伝的均一性の拡大であり、個体・遺伝子・品種の多様性を喪失させることにほかなりません。クローン動物を大量生産していくこと自体について、生物多様性に対するリスク評価が行われるべきです。

8、生命倫理

 ある動物の品種を限りなく単一化していくという生命の根幹に関わる研究開発を単なる「食の安全」の見地からのみ議論し、その認可を食の安全委員会にゆだねることは不当です。人類の文明や文化が培ってきた生命観や自然観、動物観と相容れないこのような新技術の開発にそのものの是非について、国民に広く意見を問うべきです。

 一般の国民は、体細胞クローン動物の肉を食べたいとは欲しておらず、このような需要のない研究に多額の公的資金(税金)が乱費されることを望んではいないことを、関係者は認識するべきです。


以上


⇒クローン動物の食用化に一般市民8割強が反対(2009.6.8)


 
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