実験される動物たちの叫びは届かなかった…

改正された項目、されなかった項目について考えよう

要望事項と改正法比較対照

---

　

改正法では、私たちの要望が反映された項目や新たな事項も盛り込まれていますが、一方、動物実験に関する事項などまったく取り入れられなかった部分もあります。それらを比較点検し、今後の新たな活動目標としていきたいと思います。

1.名称

要　望：
現行の「保護の保護及び管理に関する法律」の名称でよい。

改正法：
「動物の愛護及び管理に関する法律」に改称。

2.動物の定義

要　望：
動物は物ではなく人間と等しく心身の苦痛を感受する生命である。

改正法：
動物が命あるものであることにかんがみ・・人と動物の共生に配慮。

3.保護動物の範囲

要　望：
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類（所有者のない動物、野生動物も含む）。

改正法：
人間が占有する哺乳類、鳥類、爬虫類（所有者のない動物、野生動物は含まれない）。

4.動物虐待の定義と罰則

要　望：
遺棄・虐待の定義を六項目にわけ、最高で罰金三〇万円、懲役三年以下。

改正法：
殺傷は罰金一〇〇万円、懲役一年。給餌給水を行わず衰弱させる等、及び遺棄は三〇万円以下の罰金。

5.飼い主の権利と義務

要　望：
飼い主は他者に迷惑をかけない限り動物と平和に暮らす権利を有する。

改正法：
所有者は動物の感染症に関する知識を持つように努めること、動物が自己の所有であることを明らかにするよう努めること。

6.飼育禁止の措置

要　望：
虐待を繰り返す等不適切飼育者に対する一定期間の飼育禁止。

改正法：
多頭飼育により周辺の生活環境を悪化させている場合に、必要な勧告。

7.動物取扱業の範囲

要　望：
ブリーダー、ペットショップ、輸出入業、展示業、実験動物繁殖業、等。

改正法：
販売、保管、貸出、訓練、展示その他政令で定める業。

8.業動物取扱業の規制

要　望：
許可制とし、一年毎の更新。

改正法：
届出制とし、届出ない場合、または虚偽の届出は罰金二〇万円以下、変更があった場合は再届出、国や自治体の規準の遵守義務がある。立入検査ができ、規準を遵守しない業者に改善勧告を出すことができる。

9.担当職員

要　望：
調査指導員を設置する。立入調査、飼い方や施設の改善の勧告、動物の一時保護を行うことができる。

改正法：
地方公共団体は条例により動物愛護担当職員をおくことができる。職員は獣医師等で専門的な知識を有するものとする。

10.民間の協力

要　望：
民間に動物福祉相談員を設ける。

改正法：
動物愛護推進員を委嘱することができる。愛護推進員は犬ねこ等の愛護と適正な飼養、不妊去勢、譲渡等に関して助言できる。

11.国等による啓発普及活動

要　望：
動物の習性と生態に関する理解を広め、動物の虐待を防止する啓発事業を行う。

改正法：
動物の愛護と適正な飼養について教育、広報を通いて普及啓発を図る。

12.動物実験

要　望：
動物実験者及び施設の認定制。半数が外部の各分野から選ばれる動物実験倫理委員会の設置。前記に関する情報公開。野生動物の実験使用禁止。犬猫の実験払い下げの禁止。

改正法：なし


13.公布後1年以内に施行する（付則）。

14.施行後５年を目途として、法律の施行に関し、見直しをする。

15.所轄を、2001年の省庁再編に伴い環境省へ移管する。