2005年、動物愛護法改正へ

2004年6月　地球生物会議

動物愛護法の改正を求める署名

■署名の呼びかけについて

　なお、これは前回の要望で実現されなかった項目に重点をおいたものとなっています。

１．動物虐待の定義を明確にすることについて

　現行法では、何を虐待と見なすかの拠り所がないために、行政や警察が様々な動物虐待に対処できない状態にあります。法律の実効性を確保するためには、もう少し具体的に虐待の定義を行う必要があります。
　特に、意図的な暴力だけではなく、病気にさせて放置するといった飼育の怠慢による虐待行為が目立って増えているようです。飼い主による飼育の怠慢は、児童虐待でしばしば指摘される保護の怠慢と同様に見なすことができます。

３．動物実験の規制について

　本法の目的と基本原則は、動物はいのちあるものであり、みだりに殺し、傷つけ、苦しめてはならないと定めています。これに基き、動物を医科学等の研究目的で利用する場合でも、できるだけ苦痛を与えない方法を取るべきこととし、実験動物に対しても虐待罪が適用されることになっています。

　動物実験は実験室という厚い壁の中で行われており、一般の目にふれにくいため、なおのこと、外部の目が届くようにできる仕組みを設ける必要があります。欧米諸国では、動物実験者、動物実験施設、動物実験計画のそれぞれのレベルで、免許制、許可制、査察制などを設けています。日本にはいまだこれらの法的な仕組みは何一つ存在しない状態です。

　ちなみに、この法律は動物を虐待から守るための法律なので、実験における虐待的行為を禁止・規制はできますが、医科学目的で動物を利用すること自体を禁止・規制することは法の範囲外のこととなっています。

４．動物取扱業の範囲を広げることについて

　現行法では、動物の販売、訓練、保管、展示などを業とする施設を有する者には届出義務が課せられています。しかし近年は、施設を持たないブローカー（仲介業）や通信販売業者などが増大していますが、これらの業には届出義務がありません。

５．動物取扱業を許可制にすることについて
　（営業資格を審査し違反者を営業停止できるようにする）

　動物取扱業者が届出義務を怠った場合は罰金20万円とされています。しかし、依然として悪質業者はあとを断たず、ペットの購入トラブルや、動物を餓死させるなどの劣悪飼育の実態が、毎年のように事件となってメディアで報道されています。行政の再三の勧告にも従わず届出を出さない業者もいます。

　届け出制は実態把握の手段であって、行政はそれ以上の強い改善勧告、指導の権限を持ちません。動物の習性や生態にもとづく適切な飼育を定めた取扱業の遵守基準がありますが、これも守らなければ営業できないという強制力がないために「絵に描いた餅」状態となっています。

　私たちは長年の間、より強い規制である「許可制」にすべきと要望しています。法律的には、許可制は、「原則禁止の解除」を意味します。許可条件に反した場合は、軽い場合は改善指導、重い場合は営業停止（免許停止）という行政処分があり得るもので、法律や基準の遵守をより強く課すことができるようになります。