「札幌市動物愛護管理基本構想(案)」に対する意見
札幌市の 「札幌市動物愛護管理基本構想(案)」について、
ALIVEでは以下の意見を送りました。
※意見募集期間 : 平成27年3月10日(火)〜平成27年4月8日(水)
平成27年4月8日
札幌市保健福祉局保健所動物管理センター 御中
「札幌市動物愛護管理基本構想(案)」に対する意見
【該当箇所】
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題 3札幌市の現状(2)犬猫の収容状況(6〜9ページ)
【意見内容】
@ 動物に優しい施設への転換を望みます。
A 麻酔薬投与等による苦痛のない致死処分方法を採用してください。
【理由】
@
行政の動物収容施設の多くは収容動物の健康と安全に配慮し生かすことを目的として設置されたものではないことから、防寒・暑熱対策も施されていない旧態依然とした施設が散見され、収容中に死亡してしまう犬猫が少なくないことがわかっています。すでにエアコンやヒーターなどを導入されている札幌市でも、平成25年度において犬は5頭、猫は144頭の計149頭が収容中に死亡していることが判明しています。今後、本案9ページにあるように収容動物の収容期間が長期化し、これまでより長い間、犬や猫が施設に保管されていくと考えられますが、動物への配慮についても充実させ、動物に優しい施設に転換していくことを望みます。
「人と動物の共生する社会」を目指していくためには、市民への普及啓発の拠点となる収容施設における動物の生活の質(QOL)にも目を向けていくべきです。そのためには、本案中に記載されており、すでにその効果が周知されている「シェルターメディスン」の考え方を取り入れることに賛成いたします。平均気温が10度を下回る期間が半年以上もある札幌市において、地域の事情にあった施設へと転換することで、収容中死亡数を減らす取組が実践されていくことを期待します。
A
収容動物の殺処分方法として、札幌市では一部の動物に事前麻酔なしのガス室という方法を採用しています。しかしながら、炭酸ガスでの殺処分は動物が覚醒下で低酸素状態に陥るか、または麻酔効果が現れたとしても安楽な麻酔状態ではないという研究結果が存在しています。今後、収容動物の飼育環境向上にあわせて処分方法を再検討し、最期まで動物に恐怖や苦痛を与えぬよう、麻酔薬投与等による致死処分の採用を願います。
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【該当箇所】
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題 3札幌市の現状(3)犬猫に関する苦情・相談(10ページ)
【意見内容】
所有者不明の猫への対策強化を記載してください。
【理由】
全国的に所有者不明の猫に関する苦情や相談件数、所有者不明の猫が産む子猫の収容数・殺処分数の多さが問題となっています。この問題の解決策として提唱されているのが地域猫対策であり、すでに他の市などでその効果は証明されています。札幌市においても、日々発生する所有者不明の猫にかかる問題の解決のために、市や活動者の方々がご尽力されていますが、中長期的な方向性が示されている本案においても地域猫対策(TNR活動含む)の推進・支援体制の構築を記載してください。
市が地域猫対策の推進・支援体制を敷いていくことで、活動者の資質向上・現場の実態把握・地域住民への理解も進み、「所有者不明の猫をなくしていく活動」という共通理解が得られるなど協働がスムーズになるという声もあります。 それによって猫に関する苦情・相談がなくなっていくこととなり、苦情・相談の対応に追われる労力を他の部分へと回すことができるのではないでしょうか。
今現在多くの地域猫活動者が自己負担で猫の不妊去勢手術を行い、多大なる経済的・時間的・精神的負担の中で活動を行われている実情に鑑み、市が適切な地域猫対策を行おうとする個人・団体等に不妊去勢手術への助成金等の具体的支援策を講じていくこともご検討ください。
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【該当箇所】
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題 3札幌市の現状(3)犬猫に関する苦情・相談 イ 多頭飼育の問題・相談(11ページ)
第3章基本構想の実現に向けて(2)条例化を検討する事項(27ページ)
【意見内容】
多頭飼育の実態を把握する制度を設けること、さらに多頭飼育者への精神的ケアのために精神保健関連部署と連携を図ることを記載してください。ただし、所有者のいない猫を減らす活動である地域猫対策(TNR活動含む)については、多頭飼育届出制の趣旨・目的からは外れるものとし、除外することを同時に求めます。
【理由】
札幌市で昨年発生した猫99匹の多頭飼育崩壊は記憶に新しいですが、全国の自治体で犬や猫等の多頭飼育の崩壊が起こっています。特に猫の室内多頭飼育においては飼い主の死亡や失踪等で初めて判明するケースもあり、取り返しのつかない事態になってからボランティアの団体や個人、行政がその対応を迫られている事態が続いています。
多頭飼育において適切な管理を少しでも怠ることは、周囲への迷惑行為や生活環境への悪影響、動物虐待につながることとなり、実態を把握する手段のない自治体においては、常に後手に回る対策しか取れません。多頭飼育届出制はこうした受動的にしか動けない体制を一新し、行政が率先して能動的な対策を講じ、動物の福祉を確保することで、多頭飼育に起因する人や生活環境、動物による迷惑等の問題を防止することにつながるものです。多頭飼育届出制を条例化の検討事項(本案27ページ)に加えることに賛成いたします。
さらに、犬については全頭登録・全頭の狂犬病予防接種を促し、犬猫共に繁殖制限(不妊去勢手術の実施)や適正飼養の指導をすることがよりスムーズになると考えられ、人の生活環境と同時に動物の安全や健康が担保されることとなります。また、震災等の災害時に多頭飼育の所在地や犬猫の頭数が明確である場合、犬猫の救護についても的確で効率的な対策を行うことができると考えられます。
また、多頭飼育の問題には往々にして多頭飼育者自身の飼養管理能力と経済状況を考えずに動物の預かり等を繰り返し、手放すことを極端に嫌い、その数を見境なく増やしてしまう当事者が存在します。海外で行われた調査でも、多頭飼育崩壊者の多くはその根底に精神的な問題を抱えていることがあるという結果が出ています。劣悪な環境にいる多くの動物を保護しようとしても、その対応や所有権の問題に追われ、動物の保護が進まない現状があり、多頭飼育に係る問題を的確かつ迅速に解決するには、ボランティア・動物愛護管理行政からの対応だけではなく、精神保健福祉に関わる専門家の力を借りた人の精神的ケアからのアプローチも必要であると考えます。すでに市でも取り組まれていることと思いますが、本案においても具体的にこれら体制について明記することを検討されてはいかがでしょうか。
ただし、地域猫活動及び飼い主のいない猫の不妊去勢手術や譲渡を行う活動の過程で一時的に保護する猫については当然ながら「飼養」とは異なり、多頭飼育届出制の趣旨・目的から外れるため除外することを同時に求めます。
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【該当箇所】
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題 3札幌市の現状(5)動物取扱業登録状況(16ページ)
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題 4札幌市が抱える課題(2)飼育動物の適正管理について(20ページ)
【意見内容】
@ 定期的な立入調査を行うことを明記してください。
A 移動販売・展示業者への立入調査強化を望みます。
【理由】
@
第一種動物取扱業に対しては様々な管理・規制体制が敷かれていますが、依然として飼養保管基準を守っているとは言い難い業者が多く存在しています。このような業者を発見し、指導を行い、動物が劣悪な環境に置かれることを防ぐためには、新規登録や登録更新時のみの立入調査だけではなく、定期的な立入調査が必要であると考えます。
さらに第一種動物取扱業者に対して立入検査を行う際、多くの行政担当者が数日前から当事者に連絡することによって、違反事項がもみ消されるケースが散見されます。証拠隠滅や改竄を防止するために事前連絡なしの抜き打ちの立入調査や、市民等からの苦情・相談で動物虐待が疑われる業者への立入検査の際には、虐待罪を見過ごす結果とならないよう、場合によっては警察官と同行した立入検査を行っていく体制が必要ではないでしょうか。札幌市内には飼育環境が著しく悪い展示施設も存在しており、監視強化について本案に記載するようご検討ください。
A
第一種動物取扱業の中でも、特に移動販売・展示業者は、2日以上の営業でなければ登録が必要ないことから、全国的に実際の展示状況の立入検査が疎かになっており、展示動物の飼養保管基準や動物愛護管理法を守らず、輸送や狭小な仮設飼養施設等により動物に著しく負担をかけているのが現状です。当会の調査でも移動販売・展示業者において、無登録営業であったり、動物を玩具のように扱うという極めて不適切な取り扱いがあることが判明していることから、重点的な対策を望みます。
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【該当箇所】
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題 3札幌市の現状(6)特定動物飼育状況(17ページ)
第2章動物愛護管理の基本的な考え方 3基本施策 ★目標実現に向けた基本施策 A動物の適正管理の推進(23ページ)
【意見内容】
特定動物飼養施設への定期的な立入調査と個体識別率の向上について記載してください。
【理由】
特定動物はその危険性をはじめ、適正飼養が容易ではないこと等から「もともと飼養すべきではない」動物です。しかしながら、許可さえあれば誰でも飼養可能であり、特定動物種の生理・生態及び習性に配慮された飼養保管及び展示を行い、終生適切に飼養しているとは限らないのが現状となっています。こうした状況で特定動物から人の生命・身体及び財産への危害を防止し、動物の健康や安全を保持するために、特に問題のある施設についてはこれまで市が定山渓熊牧場において取り組まれてきているように、特定動物飼養施設への定期的な立入検査や指導・監督していくことが必要であると考えます。問題が生じる可能性のある施設についても、これまで市が取り組まれてきたように引き続き監視を行っていくことで、特定動物の適正な飼養管理の推進につながるものではないでしょうか。
さらに、特定動物の意図的・非意図的な逸走を防止、責任の所在を明確にするために、個体識別率を上げるように取組んでいくことも必要です。 あわせて、特定動物が逸走した際に一番早く対応を行うのは市や市民からの通報を受けた警察であることから、特定動物飼養施設の所在地、動物種、頭数等の情報を、市と警察機関の間で共有することが求められています。
特定動物飼養者は、犬や猫等の特定動物以外の飼い主よりも、高度な飼養保管・管理や法令遵守が求められており、確実な法令の遵守や適正な飼養・保管を行っているか監視していくためには、市が定山渓熊牧場などの事例において実施してきたような施策が展開されることを期待します。
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【該当箇所】
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題3札幌市の現状(7)犬の登録と狂犬病予防注射実施状況(18ページ)
第1章動物愛護管理行政の現状と札幌市が抱える課題4札幌市が抱える課題(2)飼育動物の適正管理について(20ページ)
【意見内容】
犬の登録と狂犬病注射において、特に実験動物飼養施設及び多頭飼育者への指導と普及啓発を行ってください。
【理由】
狂犬病の登録や予防注射は人の飼養する全ての犬に課せられていますが、当会が静岡県へ行った情報開示では、動物実験施設で狂犬病予防法に基づく犬の登録や予防注射がされてないケースが多々あることが推察される結果となり、札幌市内の動物実験施設内でも同じような状況にあると予測されます。また、過去の多頭飼育崩壊事例をみると、往々にして狂犬病の注射や犬の登録を怠っている飼い主が多いことが伺われます。
こうした状況の中で、もし仮に登録を行っていない犬が多数存在すると推定される実験動物飼養施設や多頭飼育施設で狂犬病が発生した場合、発覚にも時間がかかり、多くの感染犬・人を出すこととなりかねません。以上のことから実験動物飼養施設や多頭飼育施設に対して、重点的な指導と普及啓発の実施についてご検討ください。
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【該当箇所】
第2章動物愛護管理の基本的な考え方 3基本施策 ★目標実現に向けた基本施策 A動物の福祉向上(24ページ)
【意見内容】
警察機関との連携に賛成いたします。
【理由】
本案において、虐待や動物遺棄などに対して関係機関との連携体制の構築が謳われています。関係機関の中でも特に警察関係機関は虐待・遺棄罪の捜査を担う機関として、また拾得動物として動物が持ち込まれた際に対応を行う機関として、動物愛護管理行政と関連性が高いものです。こうした性質に加え、法改正によって虐待罪の要件が明確化し罰則が強化されたことで、より摘発が容易になったこと、犯罪を見過ごさないためにも動物愛護担当部局と警察関係機関との情報共有や連携は必須であり、本案中に掲げられた施策に賛成いたします。
遺棄・虐待罪や拾得動物への対応が警察署や警察官によって千差万別であり、場合によっては動物にもたらされる結果が180度変わってしまう現状があることから、市と警察がどのように連携するかという方針に加えて、警察官への普及啓発を実施することもご検討ください。
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【該当箇所】
第3章基本構想の実現に向けて 3動物管理センターのあり方の検討(1)動物管理センターの機能の充実 ア(28ページ)
【意見内容】
市が行っている普及啓発事業において行われる、生体を使わない様々な形の啓発・教育方法について賛同します。また、動物愛護教育の機能を充実・強化していくにあたって、今後も本取り組みの実施を願います。
【理由】
多くの自治体の普及啓発事業で、ウサギやモルモット等がふれあいに供されています。しかしながら、このような移動ストレスに弱い繊細な小動物を伴っての訪問による普及啓発活動は、怯えて不動状態に陥っている動物を触らせるような状況に陥りやすいことから、その種に対する正しい理解や配慮が欠けてしまうおそれがあります。
また、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準には「家庭動物等の種類、生態、習性及び生理に応じた必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びにその健全な成長及び本来の習性の発現を図るよう努めること」と規定されています。本来夜行性であるウサギやモルモット等の小動物をふれあい活動のために連れ回して不特定多数に接触させることは、たとえストレスに配慮して実施したとしても睡眠や休息・本来の行動の発現を奪うことになり、同基準が遵守されないおそれがあります。第二種動物取扱業を取得している場合でも、動物の生態、習性及び生理への理解と配慮という観点から問題があります。さらに、ウサギやモルモット等を触れ合いに供することは、生体流通経路において多くの犠牲が生じている薄利多売型のペットショップ等からの生体購入動機になったり、安易に飼養を始めて、結局飼いきれなくなり途中で手放すなど本末転倒な事態にもつながりかねません。
こうした懸念があるなかで、札幌市は13ページにあるように動物を飼育していない層や若年層に対して、動物への興味・関心を深めるため、普及啓発の場を市内の図書館や児童館、円山動物園にまで広げ、動物関係図書の展示や16mmフィルムの映画上映、パネル展示を実施しています。さらに読み聞かせなども行っており、これらの取り組みはいずれも高評価であると聞いています。毎年9月20日〜26日に動物愛護週間に行われる動物愛護フェスティバルだけにとどまらず、広域的に教育活動を行っている市の姿勢はとても素晴らしいものです。いかに市民の心へ訴えかけるか、市が試行錯誤を繰り返し、苦労をしたことが伺い知ることができ、読み聞かせ体験や読書、16mmフィルム映画やパネル展示を見ることで市民に培われていく動物愛護の精神は、人集めのために生きた動物を用いた場当たり的なふれあいでは獲得しえないものであると考えます。今後の普及啓発事業においても、このような優れた広域的な教育活動を実施していくことをお願いいたします。
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【該当箇所】
第3章基本構想の実現に向けて (2)条例化を検討する事項(27ページ)
【意見内容】
条例化の検討項目に実験動物飼養施設の届出制、特定犬指定制度、飼い主のいない猫対策(地域猫対策)の推進・支援、関連部署・機関との連携を加えてください。また、条例の目的に生物多様性保全を盛り込んでください。
【理由】
市内には獣医学科や医学科などを有する大学が存在し、それにあわせて実験動物飼養施設も市内に点在していると考えられます。公衆衛生や災害対策、動物福祉の観点から、条例で実験動物飼養施設を届出制とし、実験動物の飼養に関する実態把握を進める必要があると考えます。
また、犬による咬傷事故は全国各地で発生しており、犬によっては人の生命・身体に大きな被害を及ぼしています。北海道内でも、2014年に白老町で土佐犬に襲われたとみられる女性が溺死体で発見されるという痛ましい事件が発生しました。北海道は原則として闘犬が禁止されていますが、土佐犬に関しては許可制であり、札幌市内や近郊において闘犬大会が開催されている状況で、市内においても闘犬が多く飼養されていると考えられます。茨城県や佐賀県においてすでに導入されている特定犬指定制度を導入し、飼い主責任の明確化・強化を行い、市民・犬の安心・安全を保障していくことをご検討ください。
飼い主のいない猫への対策については先述のように、地域猫対策を推進していくことが大きな鍵となります。条例中に地域猫対策の推進・支援を盛り込むことによって、住民の理解の促進を促すことなどにつながり、効果的な活動につながると考えられます。
さらに、様々な分野にまたがる動物愛護管理行政において、現在札幌市が多様な場面で実施しているような関連部署・機関との連携は、今後より一層必要になると考えます。広域的・横断的な取り組みを深めていくためにも、条例化の検討事項に加えてください。
森林面積が60%以上もある札幌市には、雄大な自然に多く在来の野生動物たちが生息しています。人の所有・占有下にある動物たちと、これら在来の野生動物たちが人為的な放逐などによってその生命を脅かされる結果を生み出すことのないよう、互いにそれぞれの多様性を維持していけるよう、生物多様性保全を条例の目的に盛り込むことは大きな意義があると考えます。
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【該当箇所】
第2章動物愛護管理の基本的な考え方 3基本施策 ★目標実現に向けた基本施策 A動物の福祉向上(24ページ)
【意見内容】
@ 災害対策の対象に、産業動物や実験動物も含めることを望みます。
A 実験動物飼養施設の実態把握のために定期的な立入調査を実施してください。
B 産業動物において、災害対策のために関連部署と情報の共有を行ってください。
C 特定動物飼養施設の定期的な保守点検、災害対応マニュアルの作成を行ってください。
【理由】
@
平成25年度の調査における災害対策のマニュアル・指針作成状況に関して、札幌市は内部規定のみ存在し、動物救護はペットが対象となると回答しています。しかしながら、東日本大震災では多くの産業動物や学校飼育動物が混乱の中に取り残され、餓死といった凄惨な最期を遂げました。実験動物の多くも電気、ガス、水道等ライフラインの停止に伴い死亡または処分されました。さらに、災害時の危機管理を考えるならば、有害な病原体に汚染された動物や遺伝子組換え動物の逸走が起こりえる実験動物飼養施設についても着目する必要があり、人の身体・財産等への危害防止の観点から、災害時の特定動物対応についても十分な対策を講じることが望まれます。
今後、札幌市に大きな被害を与えると想定される野幌丘陵断層帯、月寒背斜に関連する断層、西札幌背斜に関連する断層の地震や、台風・大雨・大雪等に的確・迅速に対応し、危機管理や動物保護を行っていくためには、産業動物や実験動物への対策についてもご検討ください。
A
動物実験施設では公衆衛生上重大な問題のある、細菌・ウイルス感染実験や遺伝子組み換え実験、放射線や放射性物質を使用した実験がたくさん行われています。大規模災害時にこれらの拡散を防ぐためには、施設の所在や飼養保管状況を把握しておくことが不可欠です。しかしながら、国の調査ではこのどちらも把握されていません。 市内には大学等の実験動物飼養施設が点在していると考えられ、万一の場合に備えて、札幌市においても普段から施設の所在や飼養保管状況を把握するため、実験動物飼養施設への定期的な立入検査が必要ではないでしょうか。
B
産業動物について、東日本大震災では産業動物への対応を所管する官庁が環境省なのか、あるいは農水省なのかという混乱が生じ、対応の遅れが発生しました。東日本大震災の経験を踏まえ、迅速かつ適切な対応が求められる災害時において、混乱を避け、動物愛護管理法改正時の附帯決議第十や基本指針に沿った対応を行うために、動物愛護管理行政も産業動物飼養施設について把握する必要があります。そのためには市内の全農家リスト、少なくとも各飼養頭羽数データの共有が必要であると考えられます。
C
人に危害を与える恐れのある特定動物が災害時に逃げ出した場合、逸走地の混乱や危険性は計り知れません。災害時において人の生命・身体及び財産や動物自身の安全を守るためにも、飼い主への逸走防止措置の徹底だけではなく、 定期的な飼養施設への立入調査等の監視体制の構築や、災害時に特定動物の確実な管理を行うための災害対応マニュアル等の作成は大きな意義があると考えます。
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【該当箇所】
その他
【意見内容】
基本構想に、家庭動物のほか、展示動物、実験動物、産業動物、野生動物についても、市の方針を記載してください。
【理由】
近年、犬や猫はペットを超えた「家族の一員」としての認識が高まっていることや、動物管理センターの業務対象となるのが多くは犬・猫ということもあってか、本案における対象は主として家庭動物(特に犬・猫)となっています。しかしながら、札幌市には家庭動物だけではなく、実験動物、展示動物、産業動物など多分野にまたがる動物が存在しています。また、野生動物分野においても、もとは人が飼養していた動物が逸走し、結果として生態系へ負の影響を及ぼすという問題が全国で指摘されており、決して無関係ではないと考えます。
これら動物たちについて目を向け、その福祉を保障してこそ、真に「人と動物が共生する社会」になると考えます。札幌市の今後の基本的な考え方・方向性を示す本案の中に、家庭動物以外の動物に対しても、今後どのような考え方で施策を展開していくのかについて記載することをご検討ください。
以上
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