「真に動物を守る法律を!」
2011年動物愛護管理法見直し改正に向けてのシンポジウム
大阪府高槻市 2009.11.21 開催
11月21日、大阪府高槻市で「真に動物を守る法律を」と題するシンポジウムをTH Eペット法塾、動物愛護を推進する会、地球生物会議の3団体主催で開催しました。大阪の関係者の皆さまのご尽力により、300名もの参加者で会場は満員となり、動物を守る法律を求める参加者の熱気がこもる集まりとなりました。大阪府、大阪府獣医師会の後援を得、田島環境副大臣からメッセージをいただきました。各講演のごく簡単な要旨をご紹介いたします。
地球生物会議 ALIVE News 2009.12.15
【基調講演】
「動物のいのちと感受性を守る法律を」
吉田眞澄氏 (弁護士、ペット法学会副理事長、帯広畜産大学特任教授)
現行の動物愛護管理法は、動物の命と感受性に対する配慮についての基本的な理念に乏しい。これを明確にした動物愛護基本法の制定が望まれる。動物虐待については定義をし、法的に根拠のある対策が必要だ。今後は民間の人材の活用が重要。愛護団体の側も社会に対して責任と職業的倫理観をもつ必要がある。
【緊急提言】
「立法に携わる国会議員の立場からの提言」
松野頼久氏 (衆議院議員、内閣官房副長官)
愛護の施策に取り組み、まず捕獲犬の収容日数を延ばし一般譲渡を進めることが決まった。次に譲渡のための財政的措置として地方交付税でワクチン代とエサ代を要求できるようにした。さらに譲渡促進の施設整備事業として国から助成金が出るようになった。また、動物愛護週間60周年記念の寄付金付記念切手、EXILEの協力による動物愛護ポスターなど、さまざまな施策を実現してきた。次の法改正に向けても努力していきたい。
「法律を武器として動物を守る、弁護士の立場からの提言」
植田勝博氏(弁護士、ペット法塾、「動物法ニュース」事務局長)
迷子になった犬や猫が警察に届けられた場合、遺失物法が適用されるが、行政が捕獲すると、狂犬病予防法が適用される。公告期間はわずか2日間で、3日目には処分してもよいとされる。捕獲される犬の多くには首輪があり飼い主がいる可能性が高い。これを狂犬病予防法で処分することは所有権の侵害となるおそれがあり、安易な殺処分を阻止しなければならない。
「動物問題の現場から、犬猫の殺処分を減らし無くす方法の提言」
野上ふさ子氏(地球生物会議代表)
犬猫の殺処分を速やかに減らし無くしていくための現実的で効果的な方法を提案する。殺処分数を減少させる方法は、行政の施設に収容する犬猫の「入り口を狭め出口を広げる」ことである。入口の1つは犬の捕獲で、迷子札や注射済票の装着などで飼い主明示を徹底することで減少させる。2つめは、飼い主からの引取りで、引取りの窓口で飼い主と対面し指導することで減少へ。3つめは殺処分される猫の大半が子猫であることから、効果的な不妊去勢を実施する。出口は、新しい飼い主へ譲渡すること。地元の動物愛護関係者の協力によって促進可能。この4つの施策を効果的に実施することで、殺処分ゼロも夢ではなくなる。
次の動物愛護法改正の課題は悪質な動物業者への規制強化、動物実験の3Rの実効性の確保、畜産動物の福祉などである。
「米国の動物保護の視点からの提言」
西山ゆう子氏(米国獣医師、動物病院院長)
動物保護法がきちんと執行されるためには、それを監視し処罰する機関が必要。先進国のアニマルポリスはそのような役目を担っている。アメリカでは、ペットを繁殖販売する業者はもとより、レスキュー団体、譲渡団体も許可制となっている。許可を得るために費用を払い、毎年更新制。 ロスアンゼルスでは、犬や猫を飼育する場合、一部の例外を除き、すべて不妊去勢をしなければならない。手術をしない場合は、初回は罰金刑、2回目はさらに多額の罰金で、3回目以降は実刑もあり得る。
アメリカの法律はとても具体的ではっきりしている。例えば犬や猫を24時間一人で放置してはならない、といったように、具体的でないと、現場で適用が難しく検挙できない。
※講演の詳細は、『動物法ニュース』に掲載される予定です。
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