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【アメリカで動物保護法を学ぶ】

動物保護と政治・立法

ALIVE No.51 2003.7-8  高橋満彦


日本の皆さんお元気ですか。短いもので、一年間の留学期間も終わりに近づいてきました。私の奨学金の一部を支えてくれた納税者の皆様にも感謝です。さて、今までの通信とは少し趣を変え、今回は動物保護運動の政治的な面に光をあてます。

■アメリカは政治の国―動物にもロビーイスト

 皆さんも報道等で耳にされたかもしれませんが、米国は政治が盛んであると同時に、多くの事柄が法律に直結しています。そのため、多様な利害団体が国や地方のレベルで議員さんたちに働きかけを行うためにロビーイストという専門家を雇い、自分たちの主張に沿った法律を通すように活動しています。動物保護団体もこの例外ではなく、動物を代弁するためにロビーイストを雇用し、活動しています。

 アメリカ動物福祉協会(Humane Society of the United States)
 http://www.hsus.org/ace/352)
のような大きな団体では、政治活動の部署があり、動物に関係のある法案を調べ、動物保護団体としての賛否を検討します。協会のロビーイストたちは、首都ワシントンDCを根城に、よい法案なら議員に対し賛成投票を呼びかけ、悪い法案なら廃案にするよう働きかけます。

 動物を巡る問題は、国が違えどもかなり共通します。一部の州で盛んな闘鶏の問題など特殊なものもありますが、犬猫の処分問題、動物実験、有害鳥獣の駆除、狩猟の規制など、多くの問題は同根です。しかし、ロビー活動の規模と活発さの面では日米の違いは大きいです。

 米国の見習うべき点は、動物保護団体が議員に働きかけて積極的に法案を提出させる点、そして草の根レベルの会員にまで、電子メールなどを通じて、Action Alert(訳すと運動指令でしょうか)というものが配信され、各個人が焦点となっている法案について、地元や関係の議員に電話やFAXで働きかけを行うことが組織的に奨励されている点です。日本の国会議員は、鳥獣保護法改正の審議で、ファクスを「一方的に送りつけられてくるのは・・・ちょっと失敬じゃないか」と言っていましたが(田村公平・自民、2000.4.15参院国土環境委員会にて)、その意識の差には大きいものがあります。

 このような政治的活動は、国政レベルだけではありません。州などのレベルでも行われています。私の住むオレゴン州でも、動物保護・福祉専門のロビーイストが少なくとも一人は活動しており、オオカミの個体群の復活の伴う問題では、自然保護団体と連帯して活動しています。私も公聴会前の作戦会議でご一緒しました。また、地元の活動家や団体は、傍聴とデモのために州議事堂に参集しよう、などという呼び掛けをしばしば行っています。

 しかし、裏を返せばこのような活発な行動を起こさないと、動物は守れないということです。たやすく想像できるように、米国における牧畜や医療、薬品などの動物利用産業の規模は巨大で、その政治影響力も絶大です。農業団体のロビーイストなどは数え切れません。オレゴン州のオオカミ復活問題でも、牧畜業者がオオカミは羊を害すると猛烈に反対をしました。科学的根拠や世論の大勢よりも業界の政治力がものを言うことはしばしばです。それと比べれば、組織力、資金力で動物保護側が劣るのも事実です。そのためにも、組織拡大キャンペーンが行われます。


■司法はまだ人間中心

 このような地道かつ積極的な活動のおかげで、動物を助ける法律は増えてきています。また、裁判所でも動物に好意的な判決が増えてきました。米国の裁判所では、自分と利害関係のない動物に関してでも、動物園などで苦しんでいるのを見ることで、不愉快な思いをこうむった、ということで訴えが起こせます。(これは景観を巡る自然保護訴訟の成果に負うところが大きいものです。)したがって、ズー・チェックでけしからんことを目にすれば裁判に訴えることもできてしまう訳です。これでは動物園もうかうかしてはいられません。本来、司法とはそのように機能するべきでしょう。
(日本では、当然、我々が訴えることはできません、念のため。)

 しかし、今、動物保護にかかわる法律家たちが認識している大きな壁があります。それは、これらの法律が人間を主体として運営されている点です。いくら劣悪な動物園を訴えることができるといっても、それは人間の受けた損害を根拠にしています。決して動物そのものが主体として訴えているのではありません。したがって、公開されていない実験施設の動物などは救いようがありません。動物保護法律家協会(ALDF)などでは、例えば人間と近縁である霊長類に一定の権利を認めようとするGreat Ape Projectや、動物の受けた苦痛を問題にする損害賠償訴訟など、さまざまなチャンネルを通じて、この問題に取り組んでいます。ALDFは訴訟活動も積極的に行っていますが、判決は前例として判例法となるため、ALDFの訴訟活動も一種の立法活動なのです。


■東西の連帯を

 こうして法律だけから見ても、米国の動物保護運動はより深く、そしてより多方面に広がっていることが感じ取られます。自然保護運動や児童虐待、ドメスティック・バイオレンズなど、他の運動との連携も増えてきています。多くの団体にとって、運動の対象は地元の郡や州の問題ですが、中国の熊や日本の鯨など、国際的問題にも関心が広がっています。ヨーロッパに比べて完成度には欠けるかもしれませんが、ダイナミックな米国の動物保護運動に学び、かつ連帯できれば得るものは大きいと思います。日本では、捕鯨論者のように、ことさらに東西の文化の違いを持ち出し、動物保護をないがしろにする人を多く見かけます。たしかに現在の動物保護策には西洋で先に発達したものが多いのが事実ですが、動物の問題は社会が異なっても、共通するものが多くあります。また、米国の動物保護家には、欧米以外の生活哲学や、動物と人の関係に関心を示す人も多く、私たちが教えることもあるはずです。


 
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