ご注文方法⇒

ALIVE資料集　No.２１ 海外の動物保護法　６ 「実験動物の福祉に関する欧州協定と主なＥＵ法」 2005年１月10日発行 53ページ　600円

この資料集の発行にあたって

　動物実験は、動物を医学的な研究の材料として用いる行為で、19世紀以降、欧米諸国で盛んに行われるようになりました。これは人や動物の生命体を物理的・化学的に解明しようとする西欧近代科学文明の産物でもありました。

　20世紀になり、医薬品を含むさまざまな化学物質が人工的に工場内で生産されるようになると、その摂取による人体への悪影響などが研究課題となり、動物を使っての毒性試験もまた大量に行われるようになってきました。

　動物実験を世界に先駆けて推進してきた欧米諸国では、同時に、この動物たちの犠牲に対する内部からの批判も絶え間なく起こり続けています。それ故に、これらの国々ではそのような世論を受けて、動物実験の規制や動物福祉の向上のために法律を制定し、また時代の変化に応じてその改正に取り組んできました。

　1986年、欧州評議会（CoE）は実験動物福祉の協定を定め、同年に欧州連合（EU）もその意志決定機関である閣僚理事会の指令として動物実験の法規制を制定しました。本資料集では、それらの法令とその後の改正法を翻訳しており、現時点での欧州全域における動物実験規制と実験動物福祉の法規制に関する詳細を知ることができます。

　日本は、西欧近代の医科学研究に巨費を投じて推進していますが、動物実験の規制や実験動物の福祉を図るための法制度が何もない国となっています。実験施設の所在地、責任者、使用動物の搬入経路、動物の種類と数、主な実験内容といった基本的な実態も公的に把握されておらず、動物の適正な取扱いに関して外部からチェックする機能も存在しません。

　本資料集が、今後、日本でも必ず必要となる動物実験に関する法制度の参考になれば、たいへん幸いと存じます。

　なお、ここに紹介する法令は、近い将来、改訂が予定されており、それによりケージ寸法をはじめとする福祉の水準がさらに向上する見込みです。その改訂内容が公表された折りは、改めて別途、翻訳発行する予定ですので、あわせてご覧いただければ幸いです。

（注）以下については外務省のサイトを参照ください。

　欧州評議会（CoE：加盟45ケ国）
　http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ce/#top

　欧州連合（EU：加盟25ケ国）
　http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/