2009年11月18日
ポスト2010年目標日本提案(素案)への意見
環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室 御中
地球生物会議(ALIVE) 代表 野上ふさ子
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<該当箇所>
個別目標D:生物多様性への脅威に対する対策を速やかに講じる。
達成手法D4:絶滅のおそれのある種に対する脅威を軽減する。
Ex .(1)種の捕獲殺傷・採取損傷の禁止、(2)保護増殖事業の実施、(3)国際取引の規制
数値指標D4:絶滅危惧種の数、個体数、保護対象種の数、生息域外保全の実施巣、
保護区の面積、保護増殖事業計画の策定された種の数
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<意見>
2002年のCOP6で策定された条約戦略計画で定められた2010年までに達成すべき目標の一つとして、「現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」ことがあげられています。
生物多様性の損失をはかる明確な指標が、野生生物種の絶滅であり、絶滅のおそれのある野生生物種の指定を可能な限り減少させていく努力が、この間各国に求められてきました。絶滅のおそれのある種に対する脅威を軽減し、さらには絶滅から回復させることは、生物多様性を確保するための最も大きな課題でなければなりません。
残念ながら、政府はこのような国際的目標が掲げられてきたことを国民に周知徹底させることができず、あらゆる施策が手遅れとなって、国内外における野生生物種の絶滅のスピードは加速しています。2010年目標が達成困難となっていることは、ここに例示されているような従来型の手法では限界があるということに他なりません。絶滅のおそれを取り除くためには、政策の大きな転換を要します。よって以下の達成手法を明記するよう提案いたします。
(1) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)の改正
・同法の目的に生物多様性の確保を明記し、日本における種の絶滅の施策の実効性を高める。
・その上で、国際的にも野生生物の種の絶滅を防ぐ法制度や国家戦略の策定の促進をよびかける。
(2)絶滅に瀕する種の回復計画を策定する
・回復のための具体的な数値目標と年次計画を立てるとともに、定期的な見直しを行う。
・回復事業の効果をはかるため個体数と生息状況の継続的なモニタリングを行う。
・回復計画は生態学的な基礎データに基き、生息地の環境回復により重点をおく。
・事故、疾病、化学物質汚染、人による撹乱等への対策も盛り込む。
・事業計画の実施の際は、幅広い社会的合意形成を得て行うものとする。
(3)絶滅のおそれのある動植物種の生息地を守る
・絶減のおそれのある動植物の重要生息地リストを作成し、リストに掲載された地域の 自主的な保全活動を支援する。
・重要生息地リストのうち地域の合意が得られたものから生息地等保護区に指定する。
・生息地等保護区の指定にあたっては土地買い取りに関する免税措置のみならず、重要生息地の土地所有者に対するインセンティブを検討する。
(4)絶滅のおそれのある地域個体群も対象とする
・国境を越えて生息する地域個体群についても対象とする。
・種、個体群、保護区の指定、研究調査等のための体制の充実を図る。
(5)絶滅のおそれのある移動性動物種についての国際的保護協定を締結する
・ボン条約加盟を促進する。
(6)公共事業によって引き起こされる種の絶滅を防ぐ
・行政機関に対して種の存続に影響を与えないことを保証する実体的な義務を課すように法システムを整備する。
・環境アセスメントにおける種の存続の保証を義務づける。
(7)国際希少種の密輸入の阻止及び密輸された個体の保護
・国内外における違法取引を阻止するため、専門委員会を設け、現地調査や実物確認などの監視を行うとともに、個体識別措置の義務づけを課す。
・密輸されたた生きた個体を飼育あるいは原産国に返還する場合の個体の保護手続き規定を設ける。
(8)罰則の引き上げ
・種の保存法を改正し、罰則を最低でも特定外来生物法なみにする。
・密輸の再犯率を低下させ、犯罪を抑止するため、罰則を大幅に引き上げる。
・密輸された個体の保護・飼育・返還等にかかる費用を密輸犯に負担させる。
(9)国際希少種の国内取引規制の強化
・特に国内加工用原材料とされる条約対象種の取引を業とするものに対しては、輸入から小売に至るまでの流通経過を厳格に監視するための仕組みを大幅に強化する。
・国内に生息するクマ類、クジラ類及びウミガメ類について、他法令に基づき適法に捕獲された個体及びそれから繁殖した個体に対して取引規制を適用除外する施行規則の規定を削除する。
(10)国際協力
・ワシントン条約対象種等、絶滅のおそれのある野生生物の輸入によって生じる海外の生息状況への負荷を調査研究する。
・海外の絶滅危惧種の保全に対する人的・財政的支援を行う。
数値指標D4:
・絶滅危惧種・個体群の数、個体数、生息環境等の実態調査
・保護区の面積、保護回復事業計画の策定及び実施状況
・種の個体数、生息状況への負荷が記載された環境アセスメントの実施数
・各国における野生生物の密輸事犯数を減少させる目標設定
・各国における通貨価値に見合う国際的処罰規定の設定
・自国及び国際版レッドデータブック記載種の数を減少させる目標設定
・ワシントン条約付属書の各種のリストの削減目標の設定
以上
●2010年目標とは
EICネットワーク環境用語集
●ポスト2010年目標パブリックコメント(2009.10.301〜2009.11.27.)
環境省ホームページ
(参考)COP6決議?/26 生物多様性条約戦略計画(抄)
B.使命
11.締約国は、貧困の低減及び地球上の全ての生命の利益への寄与として、生物多様性条約の3つの目的の効果的かつ一貫した実施及び世界、地域、国レベルにおいて、現在の生物多様性の損失速度を、2010年までに顕著に減少させることを約束する。
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