鳥獣保護法違反
違法業者の徹底的取り締まりを求める要望書
平成12(2000)年12月26日
鳥獣保護法違反:違法業者の徹底的取り締まりを求める要望書
岐阜県知事 梶原 拓 様
担当:自然環境森林課 御中
12月24日付けの朝日新聞に、ニホンザルを違法に飼育し、実験用に販売していた業者のことが大きく報道されました。
このような業者が長年の間、鳥獣保護行政の努力を踏みにじるような違法行為を行っていたことは大きな問題です。県では速やかにこの業者の営業実態を把握していただきたくお願いいたします。
有害駆除は、自治体の長による許可行為であり、公的な業務として行われます。
駆除によって不当な利益が生まれるのは、許されるべきではありません。
行政としてもこの機会に徹底的に調査を行い、実態を解明するとともに、違法の証拠によって速やかに告発をしていただきたく存じます。
今回の事件は広く全国に報道され、大きな社会的注目を集めています。この機会に闇業者の実態が解明され、鳥獣保護行政が大きく前進することを心より期待しております。
記
1、サルの管理を厳重に
現在、業者の施設には72頭ほどのサルが飼養されているとのことです。県では今後の実態解明のために、証拠保全の観点から、この年末年始の間にサルが処分や移動されないよう、また万一逃がしたりされないように、厳重に監視をしていただきたく存じます。
2、業者の保管施設にいるすべてのサルの個体識別を
立ち入り調査によりまず、すべての個体の写真をとり、雌雄、年齢、出生地または捕獲地等の個体識別をしていただきたくお願いいたします。
業者がもし本当に出生証明書を付けている販売しているのであれば、その記録が存在しなければなりません。
3、すべてが繁殖個体だということを証明できる理論的根拠がないこと
もし、業者の施設にいるサルがすべて繁殖個体であるというならば、最初の親の飼養許可書があるはずです。またその親からすべて繁殖した個体であれば、ミトコンドリアDNA鑑定によって、共通の子孫であることが証明できます。
しかし、親は死亡し、入れ替えてきたというのであれば、その親については飼養許可が必要です。
4、死体の処理実態の解明を
業者は、この1年間でも県内の市や町、三重県などから近隣の自治体から捕獲を請け負って自施設に運び、それを最初は薬殺しているといい、次には撲殺していると述べているとのことです。動物の処分については、動物愛護法によって安楽死させることが義務付けられていますが、この法律に違反している可能性があります。また本当にそれだけの数を殺しているとすれば、その死体はどのように処理しているのかも、ご確認下さい。
6、動物愛護法による規制を
本年12月1日より施行された動物愛護法に基づく政令で、ニホンザルは飼養を許可制とすべき危険動物に指定されています。岐阜県でも、この機会にニホンザルを動物愛護法上でも飼養許可が必要な指定動物にすべきです。また、この業者が、実験動物専門業者なので動物愛護法上の届出はいらないという恐れもありますので、動物販売業に実験動物業者も含むように条例を定めることが必要です。
いづれにせよ、今回の事件は、法律の隙間をぬって業者が野生動物を食い物にするという悪質な事例であり、法律の不備は県の条例で補って、このような業者が今後出現しないように厳しく規制していただきたく、強く要望いたします。
地球生物会議(ALIVE)
野生ニホンザルの保護のために