違法捕獲への厳正対処と特定鳥獣(ニホンザル)保護管理計画の実効性を求める要望書
2002(平成14)年2月8日
違法捕獲への厳正対処と特定鳥獣(ニホンザル)保護管理計画の実効性を求める要望書
滋賀県知事 国松善次 様
(所轄:琵琶湖環境部自然保護課)
滋賀県では、平成14年度より、第9次鳥獣保護事業計画に基づき特定鳥獣(ニホンザル)保護管理計画の策定を検討されています。この計画は、長期的かつ総合的に特定の鳥獣について科学的手法を用いて保護管理の施策を講じようとするもので、今回県がニホンザルの計画を他県にさきがけて取り組まれていることを評価いたします。
しかし、この計画の実効性に関しては、以下の点で大きな疑念があります。
さる2月2日に、滋賀県の愛東町が、野生ニホンザルを虚偽の「学術捕獲」の名目で捕獲し、国立滋賀医科大学に実験用に違法譲渡していたことが報じられました。それによると、以下のような違法、不正行為があったと判断されます。
1、愛東町の違法行為
愛東町は、以下の3点において明らかに鳥獣保護法違反行為(第1条ノ5)を侵していました。その内容も以下のように悪質なものです。
1、県から檻による捕獲許可が出されていないにも係わらず捕獲したこと。
2、生態調査(学術捕獲)と偽って、有害駆除を行ったこと。
3、生態調査と偽って、動物実験用に捕獲したこと。
(学術捕獲は、野生鳥獣の保護管理を目的とする研究に限定されている)
4、違法に捕獲したニホンザルを滋賀医大に引き渡したこと。
2、滋賀医大の違法行為
また、滋賀医大の方も、町との馴れ合いで以下の不正行為を行っていました。
1、飼養許可書の添付がないこと(違法捕獲であること)を知りながら、愛東町からサルを譲り受けたこと。
2、また、そのまま数ヶ月も無許可飼養していたこと。
特定計画の実施には市町村の協力が必要不可欠ですが、現場において鳥獣保護法さえ周知・遵守されていない状況では、果たしてこの計画がどのように実効性を以て運用されるか不明です。また、特定計画は従来のような場当たり的有害駆除ではなく、科学的、計画的保護管理を手法として導入することとなっています。その実行のためには、少なくとも計画期間内(5年間)におよぶ専門担当者の配置、市町村レベルにおける継続的モニタリングおよびその予算措置等が必要です。
ついては、計画の策定にあたり、最低限以下の方針を明確にされるよう求めます。
1、銃および檻によるサルの捕獲および飼養の許可権限を県に引き上げること。
2、市町村は県の特定鳥獣保護管理計画に協力義務があり、それに基いて被害対策を実施すること。
3、実験動物用にサルの捕獲が行われるなどの不正行為を禁止すること。
4、科学的、計画的保護管理を実施するために担当部局に専門職を配置すること。
5、継続的モニタリングの必要性と予算を伴うその実効性の保証。
なお本件のような違法行為の再発を防ぐため、関係者に対する厳正な処置を取られるように要望致します。
以 上
野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク