<調査の目的>
(1)トラバサミは、2007年鳥獣保護法改正により、狩猟のための使用は全面禁止となりました。しかし、有害駆除などの許可捕獲においては、衝撃緩衝装置を装着したものに限り、一部認められているのが現状です。有害捕獲の許可があるために、依然としてトラバサミが販売され、市場に流通しているという問題があります。
(2)「地方分権」のもと、現在、都道府県は捕獲の許可権限を市区町村にほとんど委譲しており、市町村での捕獲の実態を把握できていないおそれがあります。
このような理由から、実態把握のためにアンケート調査を行いました。
1、原則許可せず!は、13自治体
有害駆除でも原則許可しない自治体が13件ありました。これは高く評価できます。
理由として、「鳥獣保護法における禁止猟具であるため」(7件)、「錯誤捕獲の弊害が大きいため」(3件・全て関東)などが挙げられています。
ただし、あくまで「原則」禁止であるため、「他に方法がなくやむをえない理由がある場合には認める」という自治体もありました。
2.使用許可は、34自治体
70パーセント以上の自治体が、有害駆除でのトラバサミの使用を認めています。
動物種を限定して許可している自治体では、タヌキ(5件)、キツネ・アライグマ・ハクビシン・ヌートリア(各1件)です。ヌートリア以外は全て農作物被害防止目的です。
しかし、実際の許可件数については18件(平成20年度)と少なく、この理由として「鳥獣捕獲などの権限を市町村に委譲しているので、県では使用状況を把握していない」という自治体がほとんどでした。すなわち、県では市町村におけるトラバサミの使用実態はほとんど把握していない、ということです。
そのような中で、熊本県は「毎年度、有害鳥獣捕獲許可台帳を提出してもらい確認している」と回答、きちんと対処しているとみられます。
3.錯誤捕獲は情報なし!?
錯誤捕獲についてはほとんど件数がありませんでした。これは錯誤捕獲がないということではなく、報告が出されていないということだと推定されます。
錯誤捕獲の対処方法について明記している自治体はわずかです。
・傷害がある場合は動物病院に搬送(北海道)、
・県の事業で野生復帰事業を実施しており、委託獣医師に対応してもらう(山形県)、
・鳥獣の種類、傷の状態により放獣または鳥獣保護センターに搬送(山口県)、
・飼い主特定の場合動物病院へ(長崎県)
・とらばさみを足につけたままのキツネがいるとの通報を受け、保護するために現場に行ったが逃げられて捕獲できず(富山県)
4.違法使用に対する対応・措置は?
違法使用の通報を受けた自治体は13にのぼっています。「ない」と答えた自治体でも、違法使用について厳しい対応を心がけている自治体は多く、
・厳重注意の上、同様の事実があった場合告発(北海道)、
・警察と協力して捜査(群馬県、兵庫県、山口県)、
・現地調査、撤去指示、設置者への説諭(静岡県)、
・鳥獣保護員、所轄市町村、警察署、県職員で現場確認・違反内容を記載した警告書を貼る(和歌山県)
・使用を警察が検挙した事例がある(愛媛県)
といった回答がありました。
5.販売時の実態把握なし
「販売時の注意事項(購入しようとする者に狩猟免許、捕獲許可証の提示を求めること)を、自治体から販売店に周知しているか」という質問に対し、「はい」と回答したのは8自治体のみでした。
また、店頭販売の状況を把握している、と回答したのは7自治体にとどまりました。
「環境省の『わなの購入に関するチラシ』を、県内の各出先事務所を通じ、販売店等にわなの販売に関して配慮頂きたい旨の周知をしている」(宮城県)、「法改正時に環境省が(社)日本DIY協会へ通知したことにあわせて、県内の量販店に対して通知を行った」(岡山県)、という回答もありましたが、多くの自治体では、販売店に対する啓発普及活動はしていません。
また、市町村におけるトラバサミの使用許可実態を把握していると回答したのは23自治体、普及啓発について行っているのは16自治体にすぎませんでした。
<今後の課題と対策>
今回の調査で浮き彫りになったのは、「都道府県が市町村現場でのトラバサミの使用実態を把握することは難しい」ということです。ほとんどの自治体で、一部の希少種などを除く鳥獣種の有害捕獲許可権限を市区町村に委譲していることが大きな理由です。有害捕獲については、市町村に対し猟具別の報告を求めていない自治体が多いことも予想されます。都道府県と市区町村との連携・協力体制が求められます。
警察、鳥獣保護員、市区町村との連携で、捜査や取締りを徹底してほしいというのはわたしたちの願いでもありますが、多忙な鳥獣保護行政のみに期待するだけでなく、市民も積極的にトラバサミへの監視やアクションに参画する必要があります。
今年に入ってからも、少なくとも3件のトラバサミ被害が新聞で報じられています。いずれも被害を受けたのはネコで、無許可の違法使用、さらにこのうち1件(東京都)については、錆付いた緩衝装置のついていない古いトラバサミでした。このネコは動物病院に搬送されましたが、破傷風により死亡。いずれも犯人は捕まっていない状態です。
<呼びかけ>
まず地元におけるトラバサミの販売状況(ホームセンターなど)を調べてみましょう。
地元の市町村に対し、トラバサミの使用を許可しているかどうか聞いてみましょう。
これらに関しての情報はALIVE事務局へお願いいたします。
→わな問題