特定外来生物対策法が成立
課題は生物種の指定
ALIVE No.57 2004.7-8
2004年5月、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が成立しました。この法律では、外来種のうち、生態系や人への被害の発生度が極めて高いと見なされる種を政令で指定し、その種については原則、輸入が禁止されます。但し、学術研究目的、動物園等での展示の場合は、逃げないよう厳重に檻の中に閉じこめておくことを条件に許可されるということになります。
この特定生物種として哺乳類はアライグマ、ジャワマングース、タイワンザル、アカゲザル、カニクイザルなどが指定される見通しです。指定されると輸入は停止になり、現在飼育している飼い主は、その動物の個体登録をして、その種を繁殖させることなく一代限りにおいて、飼育が許可されることになります。
このような外来動物を飼育しなくなることは望ましいことですが、一方、今飼育されている動物の身になってみると、逃げ出さないように頑丈な狭い檻に閉じこめられることになり、飼育自体が場合によっては虐待というようなケースも出てくるでしょう。特に、アライグマなどはストレスからくる異常行動が強く現れてくる動物で、動物福祉に配慮した施設の設置が望まれます。
特定外来動物の駆除は環境省に申請を行い、これが認められた場合は、鳥獣保護法の適用が外されて無制限にわななどの捕獲器具がしかけられ、無差別捕獲が起こるおそれが生じます。場所によっては、アライグマやマングースの捕獲箱にもっとも多くかかるのは猫だといいます。
あやまって捕獲された動物の保護と放獣のマニュアルを作ること、また特定種の殺処分は苦痛のない方法で安楽死させることを明記するべきでしょう。無意味な殺傷をさせないためにも、つねに市民がこの問題に関心と注意を払い続けていくことが大切と思います。
また、外来種は、海外から連れてこられた種ばかりではなく、国内にいる種でも異なる地域に移された場合はその地域の外来種となります。メダカやホタル、カブトムシなども、安易に売買、プレゼントに使われることは、在来の生態系に脅威を与えるもので、やめさせるべきでしょう。
一部の悪質なハンターが、ハンティングの楽しみのために、イノブタ(イノシシとブタの交配種)を意図的に野に放したために、各地で野生化しているとのことです。これも生態系のかく乱や農作物被害を作り出す許し難い無責任な行為というべきです。
犬やねこの遺棄は、動物愛護法でも禁止されています。山中に捨てられた猟犬が群をなして家畜を襲ったり、野生化したノネコがヤンバルクイナなどの希少動物を食べるといったことが指摘されています。その対策として、すべての犬や猫を個体登録制にすべきだという意見まで出されています。もとはといえば人間の無責任な行為が、野生動物や生態系への被害をつくりだしてしまったものであるので、動物を管理、駆除するよりも先に、まず人間の管理、責任を問うことが重要だと思われます。
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