このほど、日本各地で大きな問題となっており、今後さらなる生態系への被害拡大の心配がある外来種問題に関して、わが国として初めての対策法が成立した。生物多様性条約で指摘されていた外来種対策に対応する国内法ができたことは意義深い。新・生物多様性国家戦略(平成14年3月策定)において生物多様性保全上大きな3つの危機があるとされたうち、第3の危機(移入種などによる影響)に呼応する法律が今国会で成立したことを歓迎したい。
今国会で審議されていた外来種対策法案に対しては、WWFジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会、地球生物会議等の自然保護団体では、政府、与党および野党と活発な意見交換をし、要望書を提出し、議論を重ねてきた。
NGOから外来種対策法に求めていた主たる要望事項は以下のとおりであった。
・対策を講じる特定外来生物の選定にあたっては、常設の科学委員会を設け、科学的かつ透明性の高い手続きに従うようにし、専門家やNGOからの申し立てに応じる仕組みを設けること。
・特定外来生物の防除計画策定に際しては、関係自治体や地域住民、NGO等の参加する合意形成の仕組みを設けること。また防除事業の評価を行う委員会を設置すること。
・特定外来生物の防除に際しては、鳥獣保護法の適応が除外となるが、在来生物との混獲を防ぎ、また動物福祉に配慮した防除となるよう条件を整備すること。
・地方自治体への防除の取り組みを促す財政的支援を明記すること。
・国内でも特に生物多様性の保全上重要な地域を指定し、厳しい外来種対策を講じること。
・すでに飼養されている特定外来生物の野外への放逐を防止するための措置を講じ、一時的にでも収容するシェルターを設けること。
・水際対策として、海外からの生物の輸入実態の正確な把握に努め、検疫犬を導入するなどして、密輸入を防ぐこと。
・未判定外来生物を輸入しようとする者に、その生物に関する生態情報やリスク評価に資する資料の提出を義務付けること。
※これ以上の生態系への被害拡大防止を図るためには、生態系への影響がないことが明らかな生物種に限って、輸入を認めるという制度の導入を期待していた。
この中には、部分的に附帯決議に反映させられたものもあるが、残念ながら多くは最終的に法律の条文には明記されていない。外来種対策の具体的な中身に関しては、年内に策定される外来種対策「基本方針」や政省令に先送りされ、現時点では不明な点が多い。NGOとしても残された課題は多いと認識している。今後は、外来種問題の実情をふまえた基本方針の策定によって、実効性のある法律として機能させていきたいので、政府にも引き続き協力していく考えである。
■本件に関するお問い合わせ先:
WWFジャパン (財)日本野鳥の会 (財)日本自然保護協会 地球生物会議