1999年の5月、インドネシアの熱帯林に生きる野生のオランウータンの子供たちが日本に密輸された事件は、日本社会に大きなショックを与えました。生息地の破壊と密売によって絶滅の危機にある幼い彼らの運命に、今、多くの人々の関心が寄せられています。
残念ながら、日本では野生動物の違法取引が摘発されても、少なからぬ数の動物が適切な保護施設もないまま、生息地に返還されることもなく、空しく死を迎えています。今回の事件を教訓として、今後二度とこのような事件が起こらないような体制作りを考えていかなければなりません。
幸いにも事件当初よりインドネシア政府は密輸動物の返還を求めることを明らかにされ、4頭のオランウータンは本来の生息地に返す前に、インドネシアのサマリンダにあるワナリセット・オランウータン・リハビリセンターに送られることになっています。そして、この1月29日、本国より同センターの責任者(女性)及び獣医師、BOS基金のスミッツ博士、ならびに野生動植物保全局のクス・サパリヤディ局長を含む2名の政府関係者の方々が、オランウータンを迎えに来日される予定です。
この機会に、日本における野生動物の違法取引の根絶と生息地保全の必要性を訴えてきた私たちNGOは、インドネシア大使館の後援をいただき、政府関係者及びメディア、および一般の関心を有する皆さまに、以下の問題を訴える集会を開催することといたしました。
- オランウータンの生息地の保全について
日本ができること
- 今回の4頭のオランウータンを含む
リハビリテーションのあり方
- 日本における違法取引の根絶のための
体制整備について
- 保護された生きた個体の
取り扱いに関する体制整備について
戦後の日本経済は、インドネシアの天然資源への大きな依存によって発展してきました。地球環境保全の観点から、21世紀に向けて今後日本がインドネシアの自然と野生生物の保全のために果たすべき役割は非常に大きいと認識しております。
日本とインドネシアの政府と民間レベルの友好親善を進めるためにも、ぜひお出で下さるようお願い申し上げます。
・日時:2000年1月29日(土)午後1時〜4時(終了)
・会場:日本プレスセンター9階(千代田区内幸町2-2-1)
・主催:オランウータン集会実行委員会
構成団体:
日本インドネシアオランウータン保護調査委員会
カカップ基金
ペットモンキーラボラトリージャパン
野生生物保全論研究会(JWCS)
地球生物会議(ALIVE)
・後援:インドネシア大使館
・連絡先:ALIVE
[プログラム]
- 主催者挨拶(簡単な経過報告)
- インドネシア大使館からのスピーチ
- 衆議院議員佐藤謙一郎氏のスピーチ
- インドネシア野生動植物保全局長
クス・サパリヤディ氏のスピーチ(予定)
- 野生復帰プロジェクト責任者
ウイリー・スミッツ氏のスピーチ
- ワナリセット・リハビリセンター責任者
ニタ・ボエスタニ氏のスピーチ
- オランウータン研究者、京大霊長類研究所の
鈴木晃氏メインスピーチ
−オランウータンの生息地保全に関して−
- 違法取り引きされた野生動物の取り扱いについての
問題提起(実行委)
- 会場からの発言(政府関係者の方々、他)
- 質疑応答
- 閉会の挨拶
[お知らせとアピール]
- オランウータンに関し、これまでインドネシア側と協議してきたこと
- 日本とインドネシア間で、税関での違法取引を防止するための情報交換の呼びかけ
- 4頭のオランウータンの名前の公表
- リハビリセンター収容後のあり方、そのトレースのための体制
- オランウータンの生息地保全のための財政支援の呼びかけ
- インドネシアオランウータン保護調査委員会への支援の呼びかけ
なお、オランウータンたちは、2月2日関西空港からインドネシアに返送される予定です。