さる５月24日、大阪のペットショップ「梅田ワンワンランド」の経営者と店主が、府の「危険動物の飼養保管条例」及び「絶滅に瀕する動植物の種の保存に関する法律」（種の保存法）違反容疑で逮捕されました。

　６月１日に、同店の通信販売の広告に記載されていた子供のオランウータン４匹が元従業員のマンションで発見され、押収されました。14日には経営者らが再逮捕され７月５日に起訴、さらに７月４日にはオランウータンを販売したインドネシア在住の日本人に対して外為法違反等で逮捕状が出されています。

　本警察庁は野生動植物の違法取引を「環境犯罪」として、その取締強化を打ち出しており、絶滅に瀕する野生動物の密輸・販売・飼育事件がこれほど大がかりに摘発された例はありません。

　今回の一連の事件は、ペットブームのもと、日本では野生動物の絶滅に手を貸す違法かつ恥ずべき行為がまん延していることを証明するとともに、ワシントン条約及びその国内法である種の保存法が効果的に施行されているかどうかに疑義を生じさせました。

　これまで私達はＮＧＯとして、悪質ペットショップの調査、大阪府警、大阪地検に対する違法取引ルート解明の要望、オランウータンのインドネシア現地リハビリセンターの受け入れ体制の調査、海外の団体への協力要請、等の取り組みを行ってきました。今後、さらに政府関係機関が以下の問題について適切に対処し、絶滅に瀕する野生動物の保護を図るように、要望致します。

　ワシントン条約が有効に機能するよう、オランウータン等の違法に取り引きされた動物を本来の生息地に返還できる体制を作ること（通産省、環境庁）

　野生動物の違法取引を厳重に取り締まると共に、再発を防ぐために違反者には厳重な処分が必要であること（警察庁、検察庁）

　絶滅危惧種を含め野生動物の輸出入・販売等に関わる業を許可制にし、効果的な立入調査や業務停止を可能にするよう法整備を進めること（環境庁、総理府）

　一般国民に対して、絶滅の恐れのある動物の保護及び感染症予防等の観点から、野生動物をペットとして販売・購買・飼育しないよう普及啓発をはかること（環境庁、厚生省、総理府）

　野生動物の違法取引を防ぐために、国際的な情報交換等、協力体制を進めるべきこと（外務省、通産省、環境庁、警察庁、大蔵省（税関））

（添付文書）

７月５日付

外務省、通産省、環境庁等に対する要望書

（呼び掛け団体）

オランウータン保護管理委員会　代表　鈴木　晃（国際霊長類保護連盟日本代表）
野生生物保全論研究会　事務局長　坂元雅行
地球生物会議ＡＬＩＶＥ　代表　野上ふさ子

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野生復帰のための支援に多くのご協力大変ありがとうございました。

 

オランウータンの件で、海外からの支援団体
（1999年７月４日現在）

International Primate Protection League(IPPL)-USA
国際霊長類保護連盟

World Society for the Protection of Animals(WSPA)-UK
世界動物保護協会

The Whale and Dolphin Conservation Society(WDCS)-UK
クジラ・イルカ保全協会

The Great Ape Project(GAP)-UK
類人猿プロジェクト

Animals Asia Foundation(AAF)
アジア動物基金

Environmental Investigation Agency(EIA)-USA,UK
環境調査エージェンシー

The Fauna Foundation-Canada
フォウナ基金

Jane Goodall Institute(JGI)-Canada
ジェーン・グドール研究所

Balikpapan Orangutan Society-USA
バリクパパン・オランウータン協会

Asians for Humans,Animals & Nature-USA
人間、動物、自然のためのアジア人

Earth Island Institute-USA
アース・アイランド研究所

Wildlife Protection Society of India-INDIA
インド野生生物保護協会

Earth Care−Hong Kong
アースケア（香港）

本の紹介

『追いつめられた隣人−類人猿たちはいま』
ナショナル･ジオグラフィック･ソサエティー編
同朋舎出版　4800円