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 HOME > 野生動物 > オランウータン > 違法取引の根絶に向けて
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オランウータンをふるさとの森に

野生動物の保護と違法取引の根絶に向けて

(オランウータン保護調査委員会、野生生物保全論研究会、地球生物会議の三団体共催)


 さる9月11日(土)、東京の文京シビックセンターで、「野生動物の保護と違法取引の根絶に向けて」という集会を行いました。100名の会場は満員となり、マスコミ各社が取材に訪れました(トピックス参照)。集会の内容をお知らせします。

オランウータン等密輸事件の経緯

 今年の五月に、大阪の「梅田ワンワンランド」というペットショップが、オランウータンを含む多数のワシントン条約で取引が禁止されている動物を密輸したことで摘発された。この業者は、同条約で取引が禁止されているI類の動物だけで十二頭を密輸し、その半数を死なせてしまった。オランウータンは判明しているだけで5頭が密輸され、1頭が死亡、4頭は神戸市王子動物園で保護されている。ワシントン条約で商取引が規制されている動物は、その希少性の故に高値がつき、密猟・密輸によっていっそう絶滅を加速化させている。野生動物消費大国に住む日本のあり方を考え直さなければならない。

(ALIVE代表・野上)


インドネシア政府の要望

 多くの日本人がオランウータンの保護のために関心を持っていることに感謝する。インドネシアでは野生生物保護法を制定しているが残念ながら密輸事件は絶えない。インドネシア政府としては密輸動物の返還を求めており、外務省と協議中である。オランウータンについてはリハビリセンターがあり野生復帰を促している。日本の皆さんもぜひ協力してほしい。

(インドネシア大使館・ファトニー氏)


オランウータン保護調査委員会の鈴木晃氏が、インドネシアでの活動をビデオを使って報告。地元住民のスタッフが撮影した野生オランウータンの生き生きとした姿を紹介されました。

鈴木氏の報告要旨

 インドネシア東カリマンタンではオランウータンの生息数は2千〜3千頭と推定される。政府が運営する同地のリハビリセンターには二〇〇〜三〇〇頭の孤児が収容されているが、母親は殺されているので、急激な現象が進んでいる。母親は七〜八年に一頭しか子供

を生まない。熱帯雨林の大規模伐採や植林、山火事などによって生息地も急速に失われている。日本はインドネシアの大規模開発に関与しており、私たちと無関係の問題ではない。


野生生物保全論研究会の坂元弁護士による司会で、パネル・デスカッションが行われました。

環境庁の見解

 ワシントン条約は絶滅のおそれのある希少動植物の商取引を規制する国際条約で、付属書Iの動物にはパンダやトラ、オランウータンなどがあり、商取引が禁止されている。このような動物に対しては外為法で輸出入の管理を行っている。国内取引に対処するために「絶滅のおそれのある動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法・一九九三年制定)が制定された。違法な輸出入をチェックするのは税関で、国内に密輸されたものについては警察と環境庁が対処している。
 保護された動物の受け入れ先については、現在ネットワーク作りを考えているところ。

(環境庁野生生物課・高橋氏)


日本は野生生物輸入大国

 日本はワシントン条約で取引が規制されている付属書IとIIに記載の生きた動物を大量に輸入している。1996年の調査では、リクガメの輸入量は世界一で、総数の約55%を占める。鳥類も42%以上。霊長類は約22%で、5、347頭にものぼる。中でもインドネシアからの輸入が最も多い。

 このような密輸事件が起こった場合、幾つもの困難に直面する。一つは、税関に野生動物に関する専門家がいないこと。また、警察にも専門家がいない。摘発しても保護した動物を受け入れる施設がない。全国の動物園では受け入れが限界にきているし、預かり費用も餌代ていどしか支払われない。

 1997年ジンバブエで開かれたワシントン条約の締約国会議で、生きて保護された動物をどう取り扱うべきかの規準が定められた。それによると、1飼育を続ける、2野生への復帰、3安楽死(病気の伝染を防ぐ等の正当な理由のもとで)という選択肢が提示されている。各国で規準を定めるべきであるとの決議がなされたが、日本は未だ何もしていない。

(トラフィック・ジャパン・清野氏)  


動物取扱業の規制を

 今回摘発されたペットショップは、経営者、店主らが逮捕された翌日にもう店を開いて客寄せをしていた。まだ裁判中であるのに広告を出して販売を続けている。最近の広告ではサーバルキャットを200万円で売りに出している。

 日本では、動物の輸出入業者やペットショップなどの動物取扱業者に対して、何の規制もない。欧米諸国では動物取扱業者は許認可制になっており、法律違反の業者には営業の禁止措置も取られる。野生動物の取引は国際的な問題であり、消費大国としての日本に何の規制もないのは恥ずべきことだ。

 自民党による動管法改正案では、動物業者を「届け出制」にするとしているが、これでは甘すぎるのではないか。許可制にして違法業者を営業停止に持ち込むことはできるような法整備を望みたい。

(地球生物会議・野上)


野生復帰の可能性は

 ひとたび人間の手にわたったオランウータンを野生に帰すことはたいへん難しい。インドネシア政府が運営する東カリマンタンのリハビリセンターでは200頭を越える子供が収容されており、ケアも不十分である。何よりも問題なのは生息地が失われていることだ。そのために、本来の生息地では標高1,300メートルの保護区にヘリコプターで運んでリリースしている。しかし、その後の追跡も行われておらず、本当に野生復帰できているのかどうか懸念される。リハビリセンターの運営にはたいへん多額の費用もかかる。また、病気の感染に対する治療も必要だ。リハビリセンターがあるから安心だという考えでは困る。

 野生オランウータンの生息地がどんどん失われていることに危機感を覚える。

 日本は、熱帯林や石炭、鉱物資源などインドネシアの自然資源に依存している。その上、オランウータンやテナガザルなど希少動物をペットとして手に入れようとしている。我々の消費文化を考え直さなければならない。

(インドネシア・オランウータン保護調査委員会・鈴木氏)


霊長類の福祉について

 野生の霊長類を飼育することはきわめて困難。野生下では多種多様の果実や期の葉を食べているが、飼育下で与えられる食べ物はとても貧弱。ペットとして霊長類を飼育している場合、10年以上を越えて育てられるケースはまれ。みな途中で死なせるか、手放すことになってしまう。

 今回保護されているオランウータンはまだあまりに幼く精神的、獣医学的ケアが必要。ただ原産国に帰せばいいというのではなく、この子供達が少しでもよい状態で生き続けることができるようにするためには、何が大切かということを訴えたい。多くの人々の関心のみがオランウータンを助けることができる。

(PML・大庭氏)


野生動物保護の法制度の不備

 種の保存法では、違法に輸入された動物は返還先を日本政府が指定して原産国へ返送できると定められている。また費用は犯人に負担させることができる。ワシントン条約の理念に従ったこの規定は、残念ながらまだ一度も適用されたことがない。今後の再発防止のためにも、この法律をきちんと適用していくべきではないか。

(野生生物保全論研究会・坂元氏)


野生動物の売買に
厳しい法規制の声を!

つぶらな瞳が訴えるもの

 いったいどのような人々が、オランウータンなどをペットとして飼いたがるのでしょうか?

 人は誰もが自分の欲しいものを買い求める自由を持っているかもしれません。けれどもそれが世界中の野生動物を絶滅させる行為であるとしたら、その自由は制限されるべきでしょう。珍しい野生動物を飼育したいというマニアの欲望を社会のモラルで規制できなければ、法律で規制する以外に解決の道はありません。

 今回の摘発事件は「氷山の一角」とも言われます。それを支えているのはお金を出して買う日本の消費者であり、情報不足からくる人々の無関心に他なりません。野生動物を保護するためには、まず事実を知ること、そして社会に訴えることから始めるしかありません。

 動物園に保護されている4頭のオランウータンはまだ本当に幼い子供です。母親を殺され、ふるさとの森から引き離され、人間社会のただ中に投げ込まれたこれらの孤児たちの丸くてつぶらな瞳は、人間社会が失ってしまった無垢なる自然の姿を映しだしています。

 彼らの運命を哀れに思う一人でも多くの方々が、関係機関に手紙やFAXをして下さるようにお願いいたします。

●通産省(貿易局)
 Fax.03-3501-6006

●密輸犯に厳しい処分を!
 大阪地方裁判所(刑事8部)
 Fax.06-6363-6313

●野生動物の密輸に有効な対策を!
 環境庁(自然保護局)
 Fax.03-3581-7090


 
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