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 HOME > 野生動物 > オランウータン > 違法取引事件に関する声明文
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 11/14(日)、文京シビックセンターで行った第2回野生生物保護集会「密輸動物の原産国返還、そして生息地の保護とは」で、以下のアピールを出しましたので、お知らせいたします。

オランウータン等
野生動物違法取引事件に関する

声明文


1.はじめに

 梅田ワンワンランドをめぐる野生生物違法取引事件は、違法取引に関与した者らが軒並み刑事訴追され、刑事上の取締りに関しては、野生生物違法取引事件史上画期的な成果を残した。現在は刑事裁判が係属中であるが、厳しい処罰がなされることを強く望む。

 一方、水際における密輸の抑止(税関)、違法な国内取引の抑止(環境庁)、政府の管理下におかれた生きた野生生物の取り扱い(通産省、環境庁)に関しては、日本政府の体制に欠陥があることが露呈し、ワシントン条約の履行に関し大きな課題が存在することを示すこととなった。この声明に署名する下記の団体は、日本政府の各関係当局に対し、別紙のとおり勧告する。

2.種の保存法の返送命令規定が適用されなかったことについて

 本件では生きた野生生物の取り扱いについて、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(以下、「種の保存法」という)の返送命令規定の初の適用事例になるかどうかが注目されたが、実現しなかった。環境庁は、当団体らの質問に対し、種の保存法の適用を見送った理由として、違法取引を行った当事者が任意に返送費用を負担すると申し出ており、強制を伴う返送命令規定を適用する必要性に欠ける、と回答している。しかし、このような理由は成り立たない。

 返送命令の規定の意義は、違法取引を行った者に強制的に返送費用を負担させることに尽きるものではない。この規定の最も重要な意義は、返送に関する意思決定とそれに伴うリスクについて日本政府が最終的な責任を負うことを明らかにした点にある。例えば、施設の選定に問題があったために野生復帰の可能性がおよそ見込めないまま個体に劣悪な飼育環境下で一生を過ごさせることになったり、輸送中の取り扱いの不適切さのために個体を死亡させたりした場合は、日本政府の責任が問われる。この規定は、ワシントン条約の効果的実施を図る上での輸入国の責任を自覚し、進んでその役割を果たそうとするものなのである。

 今回、日本政府は、密輸動物を王子動物園に居ながらにしてインドネシア政府に引き渡した。動物はインドネシア政府が自ら自国へ再輸出する。今後の取り扱いについて日本政府は、再輸出許可以外一切関与しないことになり、何の責任も負わない。この責任放棄が種の保存法を適用しないことの狙いだったと考えられる。返送命令規定は法施行後6年以上に渡って一度も適用されなかったが、その理由が今回の事件で明らかになったといえよう。このような行政の対応を許していては、返送命令規定は死文化させられ、ワシントン条約の効果的な実施にも水を差すことになろう。われわれは、今後とも日本政府(環境庁)に対して、種の保存法の適切な運用を要求していく。

3.インドネシア政府に返還された密輸動物について

 今回返還された密輸動物については、インドネシアの収容先でどのような取り扱いがなされることになるかを監視していきたい。特に、オランウータン関連の施設については、野生復帰プログラムを持つものの、施設から森林に導入した後のモニタリング結果が公表されていないなど実績に不明な点が多いので、注視していきたい。また、専門家とも協力して、密輸された野生動物のインドネシアにおける野生復帰プログラムの改善とインドネシアの野生動物の生息地保全に関心を払っていきたい。

1999年11月14日

日本インドネシア・オランウータン保護調査委員会
地球生物会議(ALIVE)
野生生物保全論研究会(JWCS)


>>>>>>>>>>>>>>>勧 告<<<<<<<<<<<<<<<

1.水際において、ワシントン条約
  対象種の違法な国際取引を
  実効的に抑止するための措置

種の識別体制を充実すること

  • 現場で利用しやすいマニュアル・資料の充実
  • 専門家との連絡体制の整備、特に識別情報のデータベース化とインターネットにより専門家へのアドバイスを効果的に求められるようなシステム作り
  • 条約対象種識別専門官の配置、税関職員の研修の強化

野生生物持ち込みが多い国からの
 入国者・貨物に対する検査の日常的な
 強化、取締り月間の増加

外為法に違反して持ち込まれた標本の没収
 (行政没収)規定の整備

関税法上の犯則事件処理の厳格化

ワシントン条約対象種を取り扱う業の規制

  • 「動物の保護及び管理に関する法律」(以下、「動管法」という)に輸入業者全般も含めた動物取扱業の規制を盛り込むこと(この規制には、取り扱う条約対象種の届出義務を含めるべきである。)
  • 税関・警察庁・環境庁・通産省が協力して、ワシントン条約付属書掲載種を取り扱う業者に関するデータを収集・整理し、リスト化すること

2.ワシントン条約対象種の違法な
  国内取引を実効的に抑止する
  ための措置

  • 種の保存法の規制対象に、ワシントン条約付属書掲載種を含めること
  • 種の保存取締官制度の実効化、とりわけ条約対象種の取引情報を効果的に収集するシステムの確立と地方への取締官配置

3.違法に取り引きされた生きた
  野生動植物の取り扱いについて

  • ワシントン条約決議10.7の勧告に従い、以下の3点を含む国家の行動計画を策定すること(2000年1月よりサルが検疫の対象となるが、検疫において輸入が差し止められた個体も計画の対象とすること)
  • 返送命令の適用を含め、生きた野生動植物の最終的な取り扱いを速やかに決定するための手続整備(条約決議10.7付属のガイドラインに従うこと)
  • 最終的取り扱いを決定するまでの間、暫定的に生きた野生動植物を適切に保護するためのシステム整備
  • 動物園など既存施設をネットワーク化し、万全の受け入れ態勢を確保すること
  • 税関における任意放棄の場合だけでなく、およそ当局が違法に取り引きされた条約対象種を確保した場合すべて(検疫における輸入差止めの結果任意放棄がなされた場合、警察が強制捜査において押収した場合など)につき、上記の受け入れシステムが適用されること。
  • 返送された個体のモニタリングを含め、密輸された野生動植物の生息国に対する支援のあり方の検討(政府開発援助を含め様々な方法を検討すべきである。)
声明の送付先
  • 通産大臣(貿易局輸入課、貿易局農水産室)
  • 環境庁長官(自然保護局野生生物課、同局計画課)
  • 大蔵大臣(東京税関監視部、成田税関支署監視部、
    大阪税関監視部、関西空港税関支署監視部)
  • 警察庁長官
    (警察庁生活安全局生活環境課生活経済対策室)
  • 大阪府警察本部本部長(生活安全部)
  • 大阪地方検察庁検事正
  • 農林水産大臣
    (畜産局衛生課国際衛生対策室国際検疫班国際検疫係)
  • 外務大臣(国際社会協力部地球規模問題課)
 CC.インドネシア共和国大使館
   在大阪インドネシア共和国総領事館

 


 
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