「これらの素晴らしい生き物が５年から10年以内に絶滅する惧れがあると予想している専門家もいる。他の国々がイギリスの例に習ってくれるならば、国連環境計画(UNEP)が果敢にも目標としている290万ドル（約３億６千万円）は必ず集まるだろう。また是が非でも集めなければならない」とマイケル・ミーチャー英環境相はいう。また、マクシェイン外務省副大臣は「大型類人猿が過去の思い出になってしまわないために我々が援助をするのは重要なことだ」と述べている。

　人間と、現存する霊長類は共通の祖先から約700万年前に分岐したといわれている。ピグミー・チンパンジーとも呼ばれるボノボは現人類とDNAの98.4パーセント、ゴリラは約98パーセント、オランウータンは約96パーセントを共有する。

　チンパンジーは手話で人間とコミュニケーションをとる能力、数字を操る能力を持ち、また道具を使用し、文化的情報を仲間に伝える。しかし、人間の人口が爆発的に増加したのにつれて、大型類人猿の生息数は急落の一途をたどっている。

　ボルネオでは野生のオランウータンが危機的な状況にある。アフリカの森林やサバンナ地帯には、約15万頭のチンパンジー、10万頭のゴリラ、1万5000頭のボノボしか現存しない。彼らの生息地は農地開拓や森林伐採によって狭められ、分断されてしまった。多くがブッシュミート取引の犠牲となって殺され、食用にはならない子供は孤児となってペット用に売買される。

　今回のイギリスの援助金は、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ共和国に生息するゴリラの保護、そしてブリストル動物園がカメルーンで現地の団体と協ｦｦ力して行なっている保全プログラムのために使われる。

　「さらなる援助が必要だが、資金だけではなく、それをどう使うかも問題だ。現状をきちんと分析することが必要だが、大型類人猿の研究は何百年も行なわれてきたにもかかわらず、意外なことにその生息数、亜種、生息地ｂについて正確なことは分かっていない。現状を把握できていないとせっかくの保全努力が的外れになることもある」とUNEP世界動植物保全監視センター(WCMC)のマーク・コリンズは述べている。

Guardian